項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 72-55-9 |
名称 | 1,1-ビス(4-クロロフェニル)-2,2-ジクロロエテン (別名:p,p'-DDE) |
物質ID | H29-A-012 |
分類実施年度 | 平成29年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 新規分類 |
他年度における分類結果 | |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
---|---|
分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品ではない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | 可燃性 (GESTIS (Access on September 2017)) との情報があるが、データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 自己反応性に関連する原子団 (エチレン基) を含むが、データがなく分類できない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B, Si, P Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素及び酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 |
P301+P312
P264 P270 P330 P501 |
ラットのLD50値として、880 mg/kg (ATSDR (2002)) との報告に基づき、区分4とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。高レベルのばく露で本物質はヒトの眼に対して刺激性を示すとの記述 (ATSDR (2002)) があるが、詳細が不明であるため分類できないとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陽性、染色体異常試験で陽性、陰性の結果、姉妹染色分体交換試験で陽性である (EHC 241 (2011)、NTP DB (Access on August 2017))。 |
6 | 発がん性 | 区分1B |
危険 |
H350 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
ヒトでは米国において精巣の胚細胞腫瘍754症例とDDT (ジクロロジフェニルトリクロロエタン: p,p'-DDTとo,p'-DDTを含む混合物)、DDE (ジクロロジフェニルジクロロエチレン: 本物質 (p,p'-DDE) を含む異性体混合物でDDTの推定代謝物) を含む残留性有機汚染物質の血清レベルとの関係を調査した症例対照研究において、血清中DDE レベルが0.39 microg/g脂質以上の群では血清中DDEレベルと精巣胚細胞腫瘍の発生との間に強いかつ有意な相関 (RR = 1.71; 95% CI = 1.23~2.38) がみられたとの報告がある (EHC 241 (2011))。実験動物では本物質 (純度約95%) をラット、又はマウスに78週間混餌投与後、ラットは35週間、マウスは15週間放置後に計画屠殺した発がん性試験では、ラットに発がん性は示されなかったが、雌雄マウスに用量依存的な肝細胞がんの頻度増加がみられた (NTP TR131 (1978))。なお、EPAはこの試験において、雌ラットには甲状腺腫瘍の用量依存的な増加傾向がみられると指摘している (IRIS (1988))。また、上記試験と異なる系統のマウスに本物質 250 ppm を130週間混餌投与した試験において、雌雄ともに肝細胞がんの頻度増加がみられ、その他ハムスターに500及び1,000 ppm を128週間混餌投与した試験でも、雌雄ともに肝臓の腫瘍性結節の頻度増加が認められた (IRIS (1988))。EPAは実験動物では発がん性の証拠が十分あるとして、本物質をB2 (Probable human carcinogen) に分類した (IRIS (1988))。 以上、ヒトでのわずかな知見、複数動物種での発がん性の証拠、及び既存分類結果から区分1Bとした。なお、関連化合物であるDDTの発がん分類について、IARCは従来のグループ2Bからグループ2Aに変更すると発表している (IARC Press release No. 236 (2015))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B |
危険 |
H360 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
ヒトでは血清中本物質レベルと胎児死亡との関連性、血清本物質レベルと妊娠期間の減少及び矮小児の増加、本物質の出生前又は生後早期のばく露と幼児期・思春期の成長遅延などの報告があるが、否定的な報告もあり、本物質ばく露による生殖発生影響として確定的な影響はなく、男児における尿道下裂、AGD (肛門生殖突起間距離) 短縮、潜伏睾丸についても相反する報告があり結論を導けないか否定的である (EHC 241 (2011))。実験動物では妊娠ラットに経口投与 (100 mg/kg/day、妊娠14~18日) した複数の試験で雄出生児にAGDの短縮、乳頭遺残、尿道下裂の頻度増加がみられたとの報告、及び雄ラットに離乳時から生後57日まで100 mg/kg/dayを経口投与した試験で性成熟期の遅延がみられたとの報告がある (EHC 241 (2011)、ATSDR (2002))。本物質は抗アンドロゲン作用を有し (EHC 241 (2011))、雄児動物への影響はその作用との関連性が考えられる。 以上、本物質は実験動物では周産期又は生後早期のばく露で雄児に奇形 (尿道下裂) を含む発生影響を示すことが明らかであるが、ヒトでの生殖発生影響は現時点まで明らかではない。よって、区分1Bとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(甲状腺、肝臓) |
警告 |
H373 |
P260
P314 P501 |
実験動物については、ラットを用いた78週間混餌投与試験 (低用量群 (雄: 437 ppm、雌: 242 ppm)、高用量群 (雄: 839 ppm、雌: 462 ppm)) において、区分2のガイダンス値の範囲内である、雄の437 ppm (ガイダンス値換算: 21.85 mg/kg/day) 以上、雌の242 ppm (ガイダンス値換算: 12.1 mg/kg/day) 以上で死亡率の増加、甲状腺の濾胞細胞過形成、肝臓の小葉中心性壊死、脂肪化がみられたとの報告がある (NTP TR131 (1978))。 以上から、区分2 (甲状腺、肝臓) とした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 |
P273
P391 P501 |
甲殻類(ヨコエビ)96時間LC50 = 0.00457 mg/L(EPA AQUIRE:2017, Ding,Y. et al(2012))であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 |
警告 |
H410 |
P273
P391 P501 |
適切な慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(BioWin)、急性毒性区分1であることから、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。 また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。 * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。 * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。 ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。 他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |