GHS分類結果

名称:クロロホルム
CAS番号:67-66-3

結果:
物質ID: H27-B-050/C-086B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 不燃性である (ISCS (2004))。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 不燃性である (ISCS (2004))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性である (ISCS (2004))。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属および半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素及びフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値として、440〜2,440 mg/kgの範囲内で12件の報告がある。最も多くのデータ (8件) (695 mg/kg (環境省リスク評価第2巻 (2003))、908 mg/kg (雄)、1,117 mg/kg (雌) (NITE有害性評価書 (2008)、DFGOT vol. 14 (2000)、ATSDR (1997)、EHC 163 (1994))、440 mg/kg (14日齢)、1,300 mg/kg (若い成熟体)、1,200 mg/kg (老齢成熟体) (NITE有害性評価書 (2008)、IARC 73 (1999)、ATSDR (1997)、EHC 163 (1994))、1,970 mg/kg (雄) (JECFA FAS 14)、2,000 mg/kg (雄) (NITE有害性評価書 (2008)、DFGOT vol. 14 (2000)、ATSDR (1997)、EHC 163 (1994)) が該当する区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギに対して、3,980 mg/kgの投与で死亡例なしとの報告 (EU-RAR (2007)、DFGOT vol. 14 (2000)) に基づき、区分外とした。新たな情報を追加し、区分を見直した。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットのLC50値 (4時間) として、9,770 ppm (ATSDR (1997))、9,636 ppm (環境省リスク評価第2巻 (2003)) との報告に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (259,211 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。新たな情報を追加し、区分を見直した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質の原液を腹部皮膚に24時間適用した結果、軽度の充血、中等度の壊死及び痂皮形成がみられたとの報告 (EHC 163 (1994) や、NITE有害性評価書 (2008))、本物質の原液適用により重度の刺激性がみられたとの報告が (DFG vol.14 (2000)) ある。また、本物質をウサギの耳に1-4回適用した結果、軽微な充血及び表皮剥離がみられたとの報告がある (EHC 163 (1994)、NITE有害性評価書 (2008))。本物質は皮膚に対して刺激性を示すと記載がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2005)、CICAD 58 (2004))。以上より、区分2とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin. Irrit. 2 H315」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。非可逆的な影響について情報が無いため区分を変更した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質を適用した結果、散瞳、角膜炎、角膜混濁を伴う強度の刺激性がみられ、4匹は2〜3週間で症状が消えたが、1匹は3週間後以降にも角膜混濁の症状が残ったとの報告がある (EHC 163 (1994))。また、結膜への軽微な刺激及び角膜の障害がみられたとの報告 (EHC 163 (1994)、NITE有害性評価書 (2008)) や、本物質は眼に対して刺激性を持つとの記載がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2005)、CICAD 58 (2004))。以上、投与3週間後に完全に回復性しなかったことから区分1とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Eye. Irrit. 2 H319」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
In vivoでは、トランスジェニックマウスの肝臓を用いた遺伝子突然変異試験で陰性、ラットの肝臓、腎臓細胞を用いた小核試験、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性あるいは陰性の結果、ラットの骨髄細胞、マウスの骨髄細胞、ハムスターの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で概ね陽性、マウスの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性の結果、ラットの腎臓を用いたDNA切断試験で陰性、ラット及びマウスの肝臓、腎臓を用いたDNA結合 (DNA付加体) 試験で弱陽性、陰性の結果、ラット、マウスの肝臓を用いた不定期DNA合成試験で陰性、マウスの肝臓、腎臓を用いたDNA修復試験で陰性である (NITE有害性評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、CICAD 58 (2004)、DFGOT vol. 14 (2000)、IARC 73 (1999)、CEPA (2001)、ATSDR (1997))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、陽性の結果、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、マウスリンフォーマ試験で陽性、陰性の結果、染色体異常試験で陰性、姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性の結果、不定期DNA合成試験で陰性である (NITE有害性評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、DFGOT vol. 14 (2000)、IARC 73 (1999)、ATSDR (1997)、CEPA (2001))。以上より、in vivo体細胞変異原性試験で陽性結果があり、ガイダンスに従い、区分2とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトでは本物質の飲料水を介した経口ばく露による疫学研究において、多部位のがん、特に膀胱がん、結・直腸がんの過剰リスクの報告例があるが、副生物のトリハロメタンによる影響の可能性が高いこと、また、職場での本物質吸入ばく露による発がん影響に関する報告は統計解析による検出力が低く、前立腺がん、肺がんの過剰リスクは信頼性に疑問があることを指摘した上で、IARCは本物質のヒトにおける発がん性の証拠は不十分とした (IARC 73 (1999))。 一方、実験動物ではマウスを用いた経口経路による3試験、及びマウスの吸入経路による1試験において、腎尿細管腫瘍が認められ、1試験では肝細胞の腫瘍も認められたこと、またラットを用いた経口経路での3試験で、腎尿細管腫瘍が認められたことを挙げて、実験動物では発がん性の十分な証拠があるとして、IARCは1999年に「グループ2B」に分類した (IARC 73 (1999))。他の国際機関による本物質の発がん性分類としては、ACGIHが「A3」に (ACGIH (7th, 2001))、日本産業衛生学会が「2B」に (許容濃度の勧告 (2015))、EUが「Carc. 2」に (EU-RAR (2007))、EPAが1998年分類で”細胞毒性と再生性の過形成を生じるような高ばく露状況下では「 L (Likely to be carcinogenic to humans) 」、それ以外では「NL (Not likely to be carcinogenic to humans) 」” (IRIS Summary (Access on August 2015)) に、NTPが「R」 (NTP RoC (13th, 2014)) に、それぞれ分類されている。 以上、IARCを含む国際的な既存分類結果はほぼ合致しており、よって本項は区分2とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトでは、本物質職業ばく露と自然流産のリスクの増加との相関性が報告されたが、他の溶媒への同時ばく露を伴う状況であったと記載されている (IRIS Tox Review (2001))。また、飲料水を介した本物質への経口ばく露により、本物質濃度と胎児の子宮内成長阻害との間に相関性がみられたとの報告があるが、塩素消毒により生成したトリハロメタンによる影響の可能性が指摘されている (IRIS Tox Review (2001)) など、本物質ばく露に特異的なヒト生殖能への有害影響について確実な情報はない。 実験動物では、マウスを用いた経口経路 (飲水) による多世代繁殖試験において、高用量群のF1、F2世代の動物では、体重増加抑制、生存率の低下とともに、繁殖指標 (妊娠率低下、同腹児数の減少、出産率の低下) の有意な低下がみられた (DFGOT vol. 14 (2000)、NITE有害性評価書 (2008)) との記述がある。一方、発生毒性影響に関しては、妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6〜15日) に吸入ばく露した発生毒性試験において、ラットでは母動物毒性が発現する用量 (30、95 ppm) で、胎児には胎児重量、及び頭尾長の低値、骨格変異 (骨化遅延、波状肋骨)、皮下の浮腫とともに、奇形 (無尾、鎖肛、肋骨欠損) の頻度増加が認められた (DFGOT vol. 14 (2000)、CICAD 58 (2004)、NITE有害性評価書 (2008))。また、妊娠マウスの器官形成期 (妊娠8〜15日) に100 ppmを吸入ばく露 (一濃度のみでばく露時期を可変させた) した試験でも、母動物に体重増加抑制、軽微な妊娠率低下が、胎児に胎児毒性 (胎児重量及び頭尾長の低値、骨化遅延) とともに、奇形として口蓋裂の頻度増加がみられた (DFGOT vol. 14 (2000)、NITE有害性評価書 (2008)) との記述がある。なお、妊娠ラット、又は妊娠ウサギを用いた器官形成期強制経口投与による発生毒性試験では、母動物に一般毒性影響が発現する用量でも、胎児毒性は軽微 (胎児重量の低値、又は骨化遅延のみ)、ないしは無影響であったと報告されている (DFGOT vol. 14 (2000)、CICAD 58 (2004)、NITE有害性評価書 (2008))。 以上、吸入経路では実験動物で母動物毒性が発現する用量で、奇形を含む発生毒性影響が認められていることから、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用) 危険
警告
H370: 臓器の障害(呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は気道刺激性がある (EU-RAR (2007))。ヒト、実験動物ともに多数の急性毒性データがある。ヒトにおいては、麻酔薬として使用された経緯がある。吸入ばく露により、麻酔作用、咳、眩暈、嗜眠、感覚鈍麻、頭痛、吐き気、嘔吐、腹部痛、衰弱、意識喪失、昏睡、痙攣発作、呼吸速迫、呼吸中枢麻痺、意識障害、急性呼吸不全、不整脈、心血管系抑制作用、心室細動、黄疸、肝細胞変性・壊死、腎尿細管壊死、腎不全、経口摂取で腹痛、悪心、嘔吐、下痢、胃腸管刺激、呼吸中枢麻痺、痙攣発作、昏睡、乏尿症、アルブミン尿、腎障害、腎尿細管上皮の腫脹、硝子及び脂肪変性、肝障害、肝細胞壊死の報告がある (NITE有害性評価書 (2008)、DFGOT vol. 14 (2000)、IARC 73 (1999)、環境省リスク評価第2巻 (2003)、PATTY (6th, 2012)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2005)、EU-RAR (2007)、CICAD 58 (2004)、ATSDR (1997)、ACGIH (7th, 2001)、IPCS, PIM 121 (1993))。 実験動物では、ラット、マウスの経口投与 (区分1相当) で、協調運動失調、鎮静、麻酔作用、肝臓の小葉中心性脂肪浸潤及び壊死、小葉中心性肝細胞壊死、腎皮質の近位尿細管上皮細胞の再生性増殖、腎臓の細胞増殖、腎臓に重度の壊死の報告、ラット、マウスの吸入ばく露 (区分1相当) で、麻酔作用、肝臓の脂肪浸潤、肝細胞壊死、腎近位・遠位尿細管の壊死、腎皮質の石灰化の報告、ウサギの経皮適用 (区分1相当) で、腎尿細管変性がみられている (NITE有害性評価書 (2008)、DFGOT vol. 14 (2000)、IARC 73 (1999)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2005)、EU-RAR (2007)、CICAD 58 (2004)、DFGOT vol. 14 (2000)、ATSDR (1997)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、CEPA (2001))。 以上より、本物質は気道刺激性、麻酔作用のほか、呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓に影響を与えることから、区分1 (呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトでは約1,950 mg/m3の濃度のクロロホルムに最大6ヶ月間ばく露された作業者13人中全員が黄疸を呈し、うち5人から 1〜2.9 mg/Lの血中クロロホルムが検出された (DFGOT vol. 14 (2000)) との記述、他の工場で 80〜160 mg/m3の濃度のクロロホルムに4ヶ月以上ばく露された作業者18人に黄疸が観察された (DFGOT vol. 14 (2000)) との記述、また、14〜400 ppm (68〜1,950 mg/m3) のクロロホルムに1〜6ヶ月間ばく露された作業者では、肝炎の進展、黄疸、悪心、嘔吐などの症状がみられ、肝炎の発症は 2〜205 ppm (9.7〜1,000 mg/m3) のばく露濃度でも生じた (PATTY (6th, 2012)) との記述、さらに製剤工場で 10〜1,000 mg/m3のクロロホルムに 1〜4年間ばく露された作業者68人中17人が肝腫大と診断され、うち3人で肝炎、14人で脂肪肝、10人で脾腫がみられた (環境省リスク評価第2巻 (2003)) との記述がある。 実験動物では、マウスに13週間強制経口、又は飲水投与した試験、ラットに3週間強制経口投与した試験で、区分2相当用量 (ガイダンス値換算: 14.8〜60 mg/kg/day) で肝臓 (肝細胞の腫大、変性、脂肪化、初期肝硬変様変化など)、腎臓 (慢性炎症、近位尿細管の変性、壊死など)、脾臓 (白脾髄の萎縮、抗体産生細胞数の減少) への影響がみられ、またイヌに7.5年間カプセルを介して強制経口投与した試験でも、15 mg/kg/day (ガイダンス値換算: 12.9 mg/kg/day) で、肝臓の脂肪化に加え、血清ALT値の上昇がみられている (NITE有害性評価書 (2008)、環境省リスク評価第2巻 (2003))。さらに、吸入経路では、ラット及びマウスに13週間、又は2年間吸入ばく露 (蒸気と推定) した複数の試験で、区分1該当濃度 (ガイダンス値換算: 0.01〜0.106 mg/L/6 hr/day) から、肝臓、腎臓に上記と同様の組織変化が認められた他、鼻腔への影響 (骨肥厚、嗅上皮の萎縮、化生、嗅上皮及び呼吸上皮の好酸性化) もみられている (NITE有害性評価書 (2008)、産衛学会許容濃度の提案理由 (2005))。 以上、ヒトでの知見より中枢神経系 (悪心、嘔吐) 及び肝臓を、実験動物での知見より呼吸器、肝臓、腎臓を標的臓器と考え、区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓) とした。なお、脾臓についてはヒトでの知見も少なく、肝硬変など重篤な肝毒性による二次的影響の可能性を否定できないため、標的臓器からは除外した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(クラミドモナス)72時間EC50 = 13.3 mg/L(ECETOC TR91, 2003、CICAD 58, 2004、EU-RAR, 2007)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(14日でのBOD分解度=0%、GC分解度=4.6%、難分解性(通産省公報, 1980))、魚類(ニジマス)の21日間NOEC = 0.059 mg/L(環境省リスク評価第2巻, 2003))であることから、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、藻類(クラミドモナス)の72時間EC50 = 13.3 mg/L(ECETOC TR91, 2003、CICAD 58, 2004、EU-RAR, 2007)であることから、区分3となる。 以上の結果を比較し、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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