名称:クロロエテン重合物【ポリ塩化ビニル又はPVC】
CAS番号:9002-86-2
物質ID: | H27-A-019/C-019A_P |
分類実施者: | 厚生労働省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 可燃性を有するが、データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が600℃ (GESTIS (Access on June2015)) であり、常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素及びフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験法が確立されていない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足ため分類できない。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足ため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足ため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、ラットを用いた皮膚刺激性試験において軽度の刺激性がみられたとの報告があるが (PATTY (6th, 2012))、適用時間等の詳細が不明であるため区分に用いるには不十分なデータと判断した。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (NTP DB (Access on July 2015))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 本物質粉じんに吸入ばく露された作業者を対象とした疫学研究が多く報告されており、総粉じん (1-6 μmの粒子が4.5-30%) として測定した作業環境濃度測定時の60%以上が10 mg/m3を超える環境下で5年以上ばく露された作業者では、X線検査で良性のじん肺症が診断され、また吸入性粉じんとして10 (mg/m3 x年) の濃度で本物質の粒子にばく露された作業者に、軽度のじん肺症 (X線検査による診断)、呼吸器症状、及び肺機能の軽度低下がみられたとの記述がある (ACGIH (7th, 2008)) が、本物質ばく露による呼吸器系腫瘍の増加を明確に示した報告はない。実験動物でも、ラット、モルモット、又はサルに本物質 (粒子の90%が粒径1.5 μm以下) を13 mg/m3の濃度で22ヶ月間吸入ばく露 (6時間/日、5日/週) した結果、いずれの動物種でも、肺に腫瘍発生はなく、肺胞マクロファージ内に本物質粒子の存在が確認されたのみであった (ACGIH (7th, 2008))。以上より、ACGIHはA4に分類している。また、IARCではグループ3に分類されている (IARC vol. 19, Suppl. 7 (1987))。よって、本評価においても本項は、分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ACGIH (7th, 2008) に職業的に本物質にばく露されたフィンランドの女性作業者に自然流産のリスクの増加はみられなかったとする報告と、本物質を扱う作業に従事したノルウェー、及びスウェーデンの女性作業者を対象とした症例対照研究において、死産、又は生後死亡児、奇形児、低体重児を出産した症例のオッズ比の増加 (2.3, 95%信頼区間: 1.0-5.1) がみられたとする報告が掲載されているが、その他、本物質ばく露によるヒトの生殖影響に関する報告はなく、実験動物の生殖発生毒性に関する情報もない (ACGIH (7th, 2008)、DFGOT vol. 2 (1991)、PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2015))。よって、データ不足のため分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3 (気道刺激性) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質 (粉じん) は気道刺激性がある (HSDB (Access on June 2015)) ことから、区分3 (気道刺激性) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトにおいては、本物質粉じんに吸入ばく露された作業者を対象とした疫学研究において、総粉じん (1-6 μmの粒子が4.5-30%) として測定した作業環境濃度測定時の60%以上が10 mg/m3を超える環境下で5年以上ばく露された作業者では、X線検査で良性のじん肺症が診断され、また吸入性粉じんとして、累積ばく露10 (mg/m3 x年) の濃度で本物質の粒子にばく露された作業者に、軽度のじん肺症 (X線検査による診断)、呼吸器症状、及び肺機能の軽度低下がみられたとの記述がある (ACGIH (7th, 2008))。 実験動物では、ラット、モルモット、サルを用いた22ヶ月間の吸入ばく露試験 (平均粒径1.2 μm) において、13 mg/m3 (0.013 mg/L) でマクロファージによるPVCの貪食、良性の塵肺症 (線維化、炎症、肺機能の欠損、がんはみられていない) との報告、ラットを用いた15週間-8ヶ月間の吸入毒性試験 (平均粒径1.31μm、1.7μm) において、8-12 mg/m3 (0.008-0.012 mg/L) でマクロファージによるPVCの貪食、肺胞中隔の肥厚、結合組織の増生を含む軽度の間質の炎症、肺のリンパ節に小結節形成で特徴付けられる肉芽腫巣が報告されている。経口経路では、ラットを用いた2年間反復経口投与毒性試験において有意な影響はみられていないとの報告がある。なお、ラットを用いた飲水投与毒性試験において10ヶ月後に胃粘膜の過形成がみられたとの報告もあるが投与期間、投与量等についての記載がない (ACGIH (7th, 2008)。動物実験での肺での所見は、区分1の範囲内であった。 以上のように、本物質の粉塵の吸入ばく露による影響について、ヒトでは良性のじん肺症、呼吸器症状及び軽度の肺機能の低下の報告があり、吸入性サイズの粉じんを用いた実験動物では区分1の範囲で肺への影響が報告されていること、それに基づきACGIH (7th, 2008) では吸入性サイズの画分について1 mg/m3の許容濃度 (TLV) が勧告されていることから、区分1 (呼吸器) とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | デ-タ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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