名称:1,1,2,2-テトラブロモエタン
CAS番号:79-27-6
物質ID: | 22B4516 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 非常に難燃性で、190℃で分解(ホンメル(1996))、Practically non-combustible liquid(GESTIS(Access on Jun.2009))などの情報により引火点は93℃超と思われるので区分外と考えた。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が335℃(ホンメル(1991))という情報により、常温では発火しないと思われる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に酸素、フッ素または塩素原子を含んでいない有機化合物である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50:924mg/kg(雄)、925mg/kg(雌)[OECD TG401; GLP準拠](厚労省報告(Access on July 2009))に基づき、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ラットLD50:5250mg/kg(ACGIH(2006))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分1 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLC50:0.549 mg/L/4h(38.9 ppm/4h)(ACGIH(2006))に基づき、区分1とした。なおLC50値は飽和蒸気圧濃度(52.5 ppm)(飽和蒸気圧 5.32 Pa(ICSC(2004)))の90 %より低いため気体の基準値を適用した。なお、ラットLC50:0.549 mg/L/4h(38.9 ppm/4h)(ACGIH(2006))とのデータが得られているが、飽和蒸気圧のデータが複数あり(0.02 mmHg(Howard(1997))、<0.01 mmHg(Gangolli(2nd, 1999))など)、場合によっては粉塵/ミストの基準値を適用すると区分3の可能性がある。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ウサギを用いた試験で、開放適用の場合は適切な期間内に洗浄すると何ら皮膚反応を示さず、包帯で数時間保定した閉塞適用すると、軽度の紅斑に次いで24時間で浮腫と水疱が多少見られた(PATTY(5th, 2001))ことから区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギの眼に適用した試験で痛みを生じたが、僅かな結膜刺激と角膜表面の損傷のみであった(ACGIH(2006))ことから区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | in vivo試験のデータがないので分類できない。なお、in vitro試験ではエームス試験およびCHL細胞を用いた染色体異常試験で陰性(厚労省報告(Access on July 2009))が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、腫瘍感受性のH2:ICR Swiss系マウスに経皮投与で投与部位の腫瘍の発生増加は見られなかったが、胃の乳頭腫数が統計学的に有意に増加した(PATTY(5th, 2001))と述べられている。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足。なお、哺育期間中のラット新生児に18日間経口投与した試験で、肝臓重量の高値と血清蛋白質の高値を除き、被検物質投与に起因する変化は認められなかった(厚労省報告(Access on July 2009))が、その他に生殖および発生毒性に及ぼす影響に関してデータがないので分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(中枢神経系)、区分3(気道刺激性) | 警告 |
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) H371: 臓器の障害のおそれ(中枢神経系) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質(1,1,2,2-テトラブロモエタン)は中枢神経系抑制物質である(PATTY(5th, 2001))との記載がある。テトラブロモエタンの急性ばく露を受けたヒトにおいて、陽電子放射断層撮影(PET)、脳波および神経行動学的検査の結果、広範な中枢神経系障害が示唆された(HSDB(2005))との報告があり、一方、ラットを用いた急性経口毒性試験(612〜1400 mg/kg)において、関連症状として自発運動低下、腹臥位、少数例で振戦(厚労省報告(Access on July 2009))、エアゾールの吸入ばく露試験(3.7〜4.2 mg/L/2h(1.8〜2.1mg/L/4h))では興奮に続く傾眠が報告されている(PATTY(5th, 2001))。以上のヒトの症例報告はList 2の情報であり、ラットにおける症状発現はガイダンス値区分2に相当する用量であることから、区分2(中枢神経系)とした。 また、本物質のばく露による毒性症状は中枢神経系抑制の他に、皮膚、眼および上気道への刺激(PATTY(5th, 2001))との記載があり、ACGIH-TLV では設定基準に「upper respiratory tract irritation」を挙げている(ACGIH-TLV(2005))ことから区分3(気道刺激性)とした。なお、本物質を扱っていた化学者が吸入ばく露後に重篤な肝障害を発症したとの症例報告(ACGIH(2006))があるが、1例のみの報告であり、他の化学物質の関与も否定されていないので分類の根拠に採用しなかった。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(肝臓)、区分2(甲状腺、肺) |
危険 警告 |
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓) H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(甲状腺、肺) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの28日間経口投与試験において、20 mg/kg/day(90日換算 6.2 mg/kg/day)以上で肝臓の重量増加と小葉中心性肝細胞肥大、60 mg/kg/day(90日換算18.7 mg/kg/day)以上で甲状腺の濾胞上皮肥大がの雌雄ともに認められている(厚労省報告(Access on July 2009))。また、ウサギ、モルモット、ラット、マウスおよびサルに100〜106週間吸入ばく露(蒸気:7時間/日、5日/週)により、14 ppm(0.20 mg/L [6時間換算0.22 mg/L])で肝臓の軽度脂肪変性に加え、肺水腫が対象とした動物種全てにおいて報告されている(ACGIH(2006))。発現用量として肝臓についてはガイダンス値範囲の区分1、甲状腺と肺については区分2に相当することから、区分1(肝臓)、区分2(甲状腺、肺)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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