名称:パラ-ニトロ安息香酸
CAS番号:62-23-7
物質ID: | 22A4084 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類できない | - | - | - | - | 爆発性原子団(ニトロ基)を含むがデータがなく分類できない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 爆発性原子団(ニトロ基)を含むがデータがなく分類できない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が300℃(ICSC(2008))であり、常温では発火しないと考える。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 窒素原子と結合した酸素原子を含む有機化合物であるがデータなく分類できない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値 1960mg/kg bw(NTP TR 422(1994))に基づき区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた試験(OECD TG 404; GLP)で、刺激性なし(not irritating)との結果(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギを用いた試験(OECD TG 405; GLP)で、軽度の刺激性(slightly irritating)との結果(IUCLID(2000))に基づき区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 混餌投与したマウスの末梢血を用いた小核試験(NTP DB(Access on Aug. 2010))、経口投与したチャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた染色体異常試験および経口投与したマウスの赤血球を用いた小核試験(IUCLID(2000))(以上全て体細胞in vivo 変異原性試験)でいずれも陰性結果により区分外とした。なお、in vitro試験としてはエームス試験で陽性、CHO細胞を用いた染色体異常試験で陽性(NTP DB(Access on Aug. 2010))、V79細胞を用いたHGPRT試験で陰性(IUCLID(2000))の報告がある。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足。なお、ラットおよびマウスに2年間混餌投与した試験において、ラットの場合雄で発がん性の証拠はなく、雌で陰核腺腺腫、および陰核腺の腺腫と癌腫を合わせた発生頻度の増加が認められ、発がん性のある程度の証拠と考えられたが、マウスでは雌雄とも発がん性の証拠は見出されなかった(NTP TR 442(1994))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B | 危険 | H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
マウスを用い交尾前7日間および98日間の同居期間中に混餌投与した継続交配試験(Continuous Breeding studies)で、受胎能および生殖能とも用量依存的な障害を生じ、ほとんど全ての生殖指標に悪影響を及ぼした。対照群と0.75%投与群との交差交配でも受胎能および生殖能に悪影響が見られ、対照群の雄と交差交配した0.75%投与群の雌から生まれた同腹仔において、同腹生存仔数、出生仔生存率が有意に低下し、雌の生殖系に対する影響を示した。第二世代の動物の生殖能も損なわれ、F0世代で見られた悪影響と非常に類似していた(NTP RACB90065 Abstract(1990))。以上の影響は、一般毒性として体重増加抑制が起きていない中用量群(0.75%)でも認められたことから、区分1Bとした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(造血系) | 警告 | H371: 臓器の障害のおそれ(造血系) |
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた急性経口毒性試験の所見として肝臓での赤血球の浸潤および脾臓での赤脾髄の骨髄様化生が報告されている(NTP TR 422(1994))。さらにマウスの経口投与においても類似の所見(IUCLID(2000))が得られている。一方、芳香族化合物ニトロまたはアミノ化合物投与後にメトヘモグロビン形成と造血毒性が認められ、毒性はしばしばマウスよりラット方が強いと報告されている((NTP TR 422(1994)))。以上の知見に基づき、LD50値(1960 mg/kg)からガイダンス値の区分2相当と判断されるので、区分2(造血系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ラットおよびマウスを用いた13週間混餌投与試験において、ラットの場合主に高用量の10000 ppm(660〜680 mg/kg/day)でメトヘモグロビン、ハインツ小体および網状赤血球数の増加、貧血を特徴付ける血液パラメータの変化が観察され、2500 ppm(160〜170 mg/kg/day)以上で脾臓のうっ血、色素沈着、マクロファージの蓄積が見られているが、いずれも用量がガイダンス値範囲を超えており、ガイダンス値範囲内で毒性所見の記載はない(NTP TR 442(1994))。また、マウスについては体重増加抑制を除き、高用量の20000 ppm(4000〜4900 mg/kg/day)まで試験物質による悪影響は報告されていない。さらに、ラットおよびマウスに2年間混餌投与した試験において、非腫瘍性変化としてはラットで2500 ppm(100〜125 mg/kg/day)、マウスで5000 ppm(675〜905 mg/kg/day)の用量、即ちガイダンス値範囲を超えた用量で試験物質による悪影響は認められていない(NTP TR 442(1994))。以上の結果から経口経路では区分外に相当するが、他経路(吸入、経皮)についてデータがないため、特定標的臓器毒性(反復暴露)の分類としては「分類できない」とした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 魚類(ゼブラフィッシュ)による96時間 LC50 > 500 mg/L(IUCLID, 2000)であることから、区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性毒性区分外であり、難水溶性でない(水溶解度 = 200 mg/L(PHYSPROP Database, 2011))ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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