名称:メチルイソブチルケトン
CAS番号:108-10-1
物質ID: | 21B3061 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分2 | 危険 | H225: 引火性の高い液体及び蒸気 |
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P233: 容器を密閉しておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P242: 火花を発生させない工具を使用すること。 P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点が14℃(ICSC(J)(1997)、IUCLID(2000)), 18℃(NFPA(13th, 2006))<23℃, 沸点が117〜118℃(ICSC(J)(1997)、Merck(14th, 2006))、117.4℃(Howard(1997))>35℃に基づき、区分2とした。 | |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が460℃(ICSC(J)(1997))、448℃(NFPA(13th, 2006))、457℃(Weiss(2nd1986))で70℃超である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内にフッ素及び塩素を含まず、酸素を含むが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値2080 mg/kg(ACGIH(2001)、3200 mg/kg(PATTY(5th, 2001))、4500 mg/kg(ACGIH(2001))、4540 mg/kg(PATTY(5th, 2001))、4570 mg/kg(EHC117(1990))、4600 mg/kg(EHC117(1990))、に基づき、JIS分類基準区分外(国連分類基準区分5)とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギのLD50値>16000 mg/kg(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 | 危険 | H331: 吸入すると有毒 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P311: 医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLC50(4時間)値=8.2〜16.4 mg/L(EHC117(1990))は区分3または4であることから、危険性の高い区分3とした。なお、LC50が飽和蒸気圧濃度(26184ppmV)より低いので、ミストがほとんど混在しない蒸気と判断しガスの基準値を適用した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギに10時間適用した試験で、適用直後に発生した紅斑が24時間まで持続(即ち24時間以降は回復)したとの結果(EHC117(1990))があり、別のモルモットまたはウサギに24時間適用した試験では、「軽度の刺激性」または総合的に「刺激性なし」の結果(DFGOT vol.13(1999)、PATTY(5th, 2001))が得られている。これらの結果からJISの分類基準による区分外(国連GHSの区分3または区分外)に該当すると判断された。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギを用いた試験で、適用後10分以内に刺激性が見られ、8時間以内に結膜浮腫が現れ、24時間で炎症、浮腫、分泌物を認めたが3日目に消失している(EHC117(1990))こと、および別のウサギのドレイズ試験では刺激性スコアが5(最大値110)であり、軽度の刺激性(mildly irritative)と評価されている(DFGOT vol.13(1999))ことから、区分2Bとした。なお、EU分類はR37に区分されている。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | モルモットを用いたMagnusson-Kligman maximization test(OECD TG406に準拠)で感作性は認められなかった(No sensitizing effect)との記述(DFGOT vol.13(1999))から、区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | マウスの腹腔内投与による赤血球を用いたin vivo小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陰性(EHC117(1990))の結果に基づき、区分外とした。なお、in vitro変異原性試験として、Ames試験(EHC117(1990))・ラット肝細胞を用いた染色体異常試験(EHC117(1990))・マウスリンフォーマ試験(PATTY(5th, 200))などで陰性の報告がある。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用い2年間吸入ばく露により、雄で腎臓の尿細管腺種と尿細管腺癌の発生頻度および単核性白血病の発生頻度がそれぞれ増加し、特に高用量群では有意な増加であった(NTP TR538(2007))。また、マウスを用い2年間吸入ばく露により、雌雄で肝臓腫瘍の発生頻度の有意な増加が見られた(NTP TR538(2007))。その結果、当該物質に関わる発がん性の証拠がいくらかあると結論されている(NTP TR538(2007))ことに基づき、区分2とした。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分外 | - | - | - | - | ラットを用いた二世代吸入暴露試験(IRIS(2003))において、親動物の体重増加抑制が高濃度群でF0雌が試験開始1〜2週目に、F1雌が交配期間中に、さらに、全濃度群のF1雄が一過性または継続的に見られ、仔に対する影響は生後14日目のF1およびF2雌雄の有意な体重低下のみであり、親の生殖指標および仔の発生指標に変化は認められなかった。次いでラットまたはマウスの器官形成期に吸入ばく露した試験(EHC117(1990))において、ラットでは母動物の体重増加抑制および臨床症状、胎児の体重低下および骨化遅延などが認められたが、胎児の奇形は観察されなかった。マウスの場合は、高濃度群で母動物の死亡、不全麻痺、歩行異常などを呈し、併せて胎児死亡の増加、同腹胎児体重の低下が観察されたが、ばく露に関連する胚毒性、胎児奇形の発生増加、即ち催奇形性は認められなかった。胎児死亡の増加(対照群0.1%に対し0.6%)は無視できない事象であるが、母動物の死亡(3/25)が発生した高濃度群でのみ認められた有害影響のため分類の根拠としなかった。以上の結果より、ラット二世代試験における親動物の性機能および生殖能、さらにラットおよびマウスの器官形成期ばく露における仔の発生にいずれも有害影響が見出されなかったことから区分外とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性、麻酔作用) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
モルモットを用いた吸入ばく露試験で比較的低濃度でも眼と鼻に刺激性が認められたとの記述(EHC117(1990))があり、ヒトでの吸入ばく露ではしばしば鼻と咽喉の刺激が報告され(EHC117(1990)、PATTY(5th2001)、IRIS(2003))、実際に気道刺激の訴えもある(EHC117(1990))ことから区分3(気道刺激性)とした。また、モルモットおよびマウスの吸入ばく露による症状として麻酔作用の記述があり(EHC117(1990)、PATTY(5th, 2001))、ラットを用いたその他の試験でも中枢神経抑制、協調喪失、虚脱などの症状が見られる(PATTY(5th, 2001))。さらにヒトの吸入ばく露でも中枢神経系抑制、目まい、麻酔が報告されている(EHC117(1990)、IRIS(2003)、ECETOC JACC(1987))ことから区分3(麻酔作用)とした。なお、モルモットおよびラットにおいて重度の中枢神経抑制症状や病理学的検査による脂肪肝、脳のうっ血などの影響も記載されている(EHC117(1990))が、いずれもガイダンス値を超える高用量での所見である。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットに13週または120日間経口ばく露後、腎症、腎尿管細胞過形成など腎臓への影響が見られ(DFGOT vol.13(1999)、IRIS(2003))、また、ラットおよびマウスに14週間吸入ばく露により、肝重量増加、血小板、コレステロール、尿糖および蛋白などの検査値の変動、腎臓の病変として雄ラット特有とされるヒアリン硝子滴形成が報告されている(IRIS(2003))。しかし、これらの影響はいずれもガイダンス値範囲を超えた高用量での所見のため分類対象とはならない。一方、ヒトでは職業ばく露により19人の作業者の半数以上が、脱力、食欲喪失、頭痛、胃痛、嘔気、嘔吐などの症状を訴え、数人が不眠、傾眠、胸やけ、腸痛などを起こした。作業現場がかなり改善された5年経過後も、なお数人の作業者から消化器症状のみならず中枢神経系障害の訴えがあったと報告されている(EHC117(1990))。さらに、この報告とは別に本物質ばく露と関連している可能性がある末梢神経障害の症例報告が2例ある(EHC117(1990))。これらのヒトの疫学情報に基づき区分1(神経系)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 動粘性率が25℃で0.691mm2/s(溶剤ポケットブック(1997)に掲載の粘性率より算出)から、40℃では20.5mm2/s以下であると推定されるが、炭化水素ではないので「分類できない」とした。なお、低粘性率のため飲み込んだ時に化学性肺臓炎を引き起こす危険性が指摘され(EHC117(1990))、また、ラットを用いたモデル試験系では、肺への吸引により処置動物全例が死亡している(PATTY(5th, 2001))。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 魚類(ファットヘッドミノー)での96時間LC50 = 505 mg/L(ECETOC TR91, 2003)、甲殻類(オオミジンコ)での24時間LC50 = 1550 mg/L(EHC117, 1990)であることから、区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性毒性区分外であり、難水溶性ではない(水溶解度=19000 mg/L(PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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