GHS分類結果

名称:(RS)‐1‐パラ‐クロロフェニル‐4,4‐ジメチル‐3‐(1H‐1,2,4‐トリアゾール‐1‐イルメチル)ペンタン‐3‐オール(別名テブコナゾール)
CAS番号:107534-96-3

結果:
物質ID: 20A2313
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点が140℃以下の固体に適した試験法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、塩素を含むが、これらの元素が炭素あるいは水素とのみ結合している。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値、1700、3350、3930、4000、4260、>5000 mg/kg bw(以上、JMPR No.884(1994))の内、同一区分該当数の多いデータ(3350から>5000 mg/kgまで)を採用しJIS分類基準の区分外とした。なお、>5000 mg/kgの他は国連分類基準の区分5に相当する。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50値が > 5000、> 2000 mg/kg bw(JMPR No.884(1994))であり、いずれも区分外に該当するため、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値、0.818、0.371、5.093 mg/L(JMPR No.884(1994))の内、それぞれが区分2、区分3、区分外に該当するため、最も毒性の強い値をとり区分2とした。なお、0.818mg/Lについては、25℃の飽和蒸気圧濃度は 27.70 * e-11(mg/L)であり、試験濃度 > 818 mg/m3 =(>0.818 mg/L)は飽和蒸気圧濃度以上の値であることから、粉塵/ミストと判断した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた4時間適用の皮膚刺激試験の3件において、いずれも陰性の結果である(農薬抄録(2006))ことから、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギを用いた試験において、50mg適用で眼刺激性なし(JMPR No.884(1994))、100mg適用で軽度の刺激性(JMPR No.884(1994))のデータに基づき区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いたmaximization testにおいて感作性の有無が明らかでなく、Buehler methodにより陰性の結果が得られたとの報告があるが、マキシミゼーション法及びビューラー法(いずれもGLP)により陰性との報告がある(農薬抄録(2006))ことから、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスの経口投与による優性致死試験及び小核試験の陰性結果(いずれも体細胞in vivo変異原性試験)(JMPR No.884(1994))に基づき区分外とした。なお、in vitro変異原性試験:エームステストで陰性、CHO細胞を用いる突然変異試験で陰性が報告されている(JMPR No.884(1994))。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの2年間の経口投与試験において、腫瘍の発生増加は認められていないが、マウスを用いた21ヶ月の経口投与試験の雌マウスにおいて肝腺腫及び肝癌の有意な発生率の上昇が認められる(JMPR No.884(1994))ことから、区分2とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの器官形成期に経口投与した試験で母体の体重増加抑制が見られる用量で、着床後死亡数の増加、奇肢症、鉤つめ形成不全、口蓋裂の発生率の増加が見られている(JMPR No.884(1994))。また、別のラットの器官形成期に経口投与した試験で母体の体重増加抑制が見られる用量で、産仔数減少、発育不全動物の増加、小眼球症の増加が認められることから(JMPR No.884(1994))区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口投与試験において、雌の950mg/kg、雄の1600mg/kgで鎮静が見られ2日後に回復、別の試験でも鎮静が見られ3日後に回復し、さらに別の試験では活動性の低下、腹臥、横臥、反射性の低下がガイダンスの区分2の用量で認められ、マウスにおいても活動性の低下、反射性の低下、腹臥、横臥の症状がガイダンスの区分2の用量で認められている(農薬抄録(2006))ことから区分2(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(眼) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(眼) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ビーグル犬雌雄12匹ずつの1年間の経口投与試験で、白内障惹起のNOAEL値は4.5 mg/kgである(JMPR No.884(1994))ことと、このNOAEL値以上の用量で実施されたビーグル犬を用いた他の試験ではレンズの混濁が試験期間26週から32週の間で、用量10 mg/kg/dayで2匹、60 mg/kg/dayで1匹に明らかになった(JMPR No.884(1994))ことから、区分2(眼)と判断した。なお、ラットを用いた経口投与試験で肝臓の脂肪変化・胆管増生・小葉中心部肝細胞の肥大などの報告(JMPR No.884(1994))があるが適応性変化と考えられ採用しなかった。また、同報告で鉄欠乏を伴う脾臓赤髄質の硬化の記述があるが詳細が不明なため採用しなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(Mysid)の96時間LC50が0.49 mg/L(AQUIRE, 2008)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性が無い(SRC: BioWin V4.10)ことから区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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