GHS分類結果

名称:塩化カルシウム
CAS番号:10043-52-4

結果:
物質ID: 20A2251
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義おける固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義おける固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義おける固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義おける固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(IUCLID(2000))である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義おける固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(IUCLID(2000))である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(IUCLID(2000))である。
12 水反応可燃性化学品 分類できない - - - - データがなく分類できない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義おける固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - フッ素、臭素、ヨウ素、酸素を含まず、塩素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状物質に適した試験方法が確立していない。(亜鉛と反応して水素を発生させる)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50=2045 mg/kg(雄)、1940 mg/kg(雌)(OECD TG 401)(SIDS(Access on Dec. 2008))のうちラット雌のLD50に基づき区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50 >5000mg/kg(SIDS(Access on Dec. 2008))は区分外に該当する。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ラットLD50値が0.16mg/L以上(SIDS(Access on Dec. 2008))のデータがあるが、区分を特定できないので分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - ラットを用いた試験(OECD TG404 GLP)で無水物と2水和物はnot irritating、6水和物はslightly irritating(いずれもSIDS(Access on Dec. 2008))の結果であるが、塩化カルシウムを梱包する作業者(複数)の皮膚に紅斑、剥離が認められることから、塩化カルシウムはヒトの皮膚、粘膜に強い刺激性を示すとしている(SIDS(Access on Dec. 2008))。動物試験のデータは区分外ではあるが、ヒトの事例との相違から分類できないとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
塩化カルシウムを梱包する作業者(複数)の皮膚に紅斑、剥離が認められることから、塩化カルシウムはヒトの皮膚、粘膜に強い刺激性を示すとしている(SIDS(Access on Dec. 2008))ことより区分1とした。なお、ラットを用いた試験(OECD TG404 GLP)で無水物と2水和物はnot irritating、6水和物はslightly irritating(いずれもSIDS(Access on Dec. 2008))の結果がある。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがなく、複数指標のin vitro変異原性試験の強陽性のデータもなく分類できない。なお、in vitro変異原性試験:エームス試験およびCHL細胞を用いた変異原性試験で陰性の結果が得られている(いずれもSIDS(Access on Dec. 2008))。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットおよびマウスを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG 414)において発生毒性は確認されていないがSIDS(Access on Dec. 2008)、親の生殖能および性機能に関するデータがなく分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの吸入試験(0.04、0.16mg/L)において、複数の呼吸器系の刺激の症状(SIDS(Access on Dec. 2008))とあることから区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口投与試験において用量に関係なく複数の試験で毒性影響は見られていないが、ラットの吸入試験において43.1 mg/m3/4時間/day(5days/week, 4ヶ月)(6時間換算値:0.03 mg/L)で、白血球数の減少、血中貪食能の低下、血清中ライソザイム酵素レベルの低下、触媒活性の低下、血漿カルシウム再沈着の減少、凝固反応の時間の短縮、ペルオキシダーゼ活性の上昇など顕著な毒性症状が認めれれ、これら症状は観察期間以降も大概が回復しなかった(SIDS(2008))ことから、区分2(血液系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類、藻類、甲殻類のいずれの試験でもLC/EC50が100mg/L以上(SIDS 2005)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分が区分外であり、難水溶性ではない(水溶解度=745g/L、SIDS 2005)ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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