GHS分類結果

名称:ホウフッ化水素酸
CAS番号:16872-11-0

結果:
物質ID: 1189
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
6 引火性液体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 1995)。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 1995)。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 1995)。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定。(文献に「水によく溶ける」との記載がある。また、本物質は水溶液として市販されている。)
13 酸化性液体 区分外 - - - - 物質固有の国連番号(1775)によりUNRTDGが8、IIに分類されており、5.1が付されていないため、区分外とした。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物。
16 金属腐食性物質 区分1 警告 H290: 金属腐食のおそれ P234: 他の容器に移し替えないこと。
P390: 物的被害を防止するためにも流出したものを吸収すること。
P406: 耐腐食性/耐腐食性内張りのある...容器に保管すること。
試験データはないが、物質固有の国連番号(1775)によりUNRTDGが8、IIに分類されており、用途として"to clean metal surfaces before welding; to brighten aluminum; as a solute in electrolytes for plating metals such as chromium, iron, nickel, copper, silver, zinc, cadmium, indium, tin, and lead(has a high throwing power)"(Merck, 13th, 2001)との記載があることから、区分1とした。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値100mg/kg(RTECS, 2004)および239mg/kg(純度100%換算)[464mg/kg(51.5%)](IUCLID, 2000)に基づき、低い値(100mg/kg)を採用し、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの皮膚に対して腐食性があり重度の熱傷を起こすとの記述(HSDB, 2003; ICSC(J), 1995; SITTIG, 4th, 2002; HSFS, 1999)、およびEU-Annex I(Access on Jul. 2005)で"C; R34"とされていることから、区分1A-1Cとした。 【表示】細区分を行う必要がある場合は、安全性の観点から1Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ヒトの眼に対して腐食性があるとの記述(ICSC(J), 1995; SITTIG, 4th, 2002; HSFS, 1999)から、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitro変異原性試験(Ames test)では陰性との報告(IUCLID, 2000)があるが、in vivo変異原性試験のデータはなく、データ不足のため分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - ACGIH-TLV(2005)ではフッ化物をA4(区分外相当)に分類しているが、データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - MAK/BAT(2005)ではフッ化物をC(発生毒性がない)に分類しているが、データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 2文書のICSC(J)(1995)、SITTIG(4th, 2002)、HSFS(1999)に、気道腐食性があり肺水腫を起こすことがあるとの記述があり、区分2(呼吸器系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(骨) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(骨) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 1文書のACGIH-TLV(2005)ではフッ化物として骨への影響(フッ素症)があるとしており、Priority 2文書のICSC(J)(1995)、SITTIG(4th, 2002)、HSFS(1999)にも同様の記述があるため、区分1(骨)とした。なお、SITTIG(4th, 2002)およびHSFS(1999)では腎臓、血液、呼吸器系にも影響があるとしているが、裏付けとなるデータが見つからなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50=2.6g/L(IUCLID、2000)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=8700mg/L(IUCLID、2000))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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