GHS分類結果

名称:フタル酸ジメチル
CAS番号:131-11-3

結果:
物質ID: 917
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点>93℃
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が490℃である。(ICSC(J)(1995))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内にフッ素または塩素を含んでいない。酸素を含むが、この酸素は炭素、 水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値:2400mg/kg(CERIハザードデータ集, 1999)、6900mg/kg(CERIハザードデータ集, 1999、ACGIH 7th, 2001、PATTY 4th, 1994)、8200mg/kg(環境省リスク評価第1巻, 2002)、8400mg/kg(NTP TR429, 1995)に基づき、計算を適用した。計算値は5158mg/kgであったことから、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットLD50値:>4800mg/kg(CERIハザードデータ集, 1999)、ウサギLD50値:>11900mg/kg(CERIハザードデータ集, 1999、ACGIH 7th, 2001、PATTY 4th, 1994)、≧10000mg/kg(NTP TR429, 1995)、23800mg/kg(CERIハザードデータ集, 1999)に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - CERIハザードデータ集(1999)、ACGIH(7th, 2001)、PATTY(4th, 1994)のウサギの皮膚に反復適用した試験において皮膚刺激性は認められなかったとの記述、CERIハザードデータ集(1999)、環境省リスク評価第1巻(2002)およびACGIH(7th, 2001)のヒトにおいて皮膚刺激性は報告されていないとの記述から、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
CERIハザードデータ集(1999)、ACGIH(7th, 2001)、PATTY(4th, 1994)のウサギの眼への適用によりごく軽度〜軽度な刺激性が認められたとの記述から、眼刺激性は軽度であると判断し、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - CERIハザードデータ集(1999)、環境省リスク評価第1巻(2002)、ACGIH(7th, 2001)にはヒトで感作性の報告はないとの記述があるが、感作性を明確に否定できる動物実験データはなく、区分外とするにはデータ不足のため分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 生殖細胞を用いるin vivo経世代変異原性試験であるマウスを用いた優性致死試験で陰性の結果(IRIS, 2005)があり、体細胞を用いるin vivo変異原性試験であるラットおよびマウス赤血球を用いた小核試験で陰性の結果(NTP DB, 2005)があることから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - EPA(1993年改訂)でDに分類されている(IRIS, 2005)ことから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - CERIハザードデータ集(1999)、環境省リスク評価第1巻(2002)、NTP TR429(1995)、NTP DB(2005)のラットを用いた妊娠中混餌経口投与試験において母動物に一般毒性が認められた用量でも生殖毒性は認められたなかったとの記述、ならびにCERIハザードデータ集(1999)、NTP TR429(1995)のマウスに混餌経口投与した試験において母獣毒性用量で胎児に異常は見られなかったとの記述から、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集(1999)、環境省リスク評価第1巻(2002)、ACGIH(7th, 2001)、PATTY(4th, 1994)およびNTP TR429(1995)のヒトで経口摂取により中枢神経系の抑制をおこす、あるいはおこす可能性があるとの記述から、麻酔作用を示すと判断し、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(シープスヘッドミノー)の96時間LC50=29000μg/L(環境省リスク評価第1巻、2002)他から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:93%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=1.6(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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