GHS分類結果

名称:ジエチルアミン
CAS番号:109-89-7

結果:
物質ID: 759
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点が-26℃以下、沸点55.5℃
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性および自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温では発火しない。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体の試験法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 弗素、塩素および酸素を含まない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 有機化合物であるが、分子内に-O-O-構造を含まない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがないので分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口急性毒性値(ACGIH(2001)、IUCLID(2000))の複数データからの計算値が248mg/kgであることから区分3である。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギの経皮急性毒性値(IUCLID(2000))の複数データからの計算値が582mg/kgであることから区分3である。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットの4時間吸入急性毒性値は4,040ppm(PATTY(2001))および 5,780ppm(IUCLID(2000))であるので、低い方のデータを採用して区分4とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギを用いた多くの試験において腐食性であるとの報告がある。(IUCLID(2000))
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
多くの動物試験において刺激性との報告がある(IUCLID(2000))が、重大な眼の損傷との記載もある(ACGIH(2001)。また、皮膚腐食/刺激性が区分1に分類されていることから眼に対する重篤な損傷性/刺激性は区分1とする。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 呼吸器感作性に関してはデータがなく分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 皮膚感作性に関してはMouse ear swelling testで感作性なしとの報告がある(IUCLID(2000))が、区分外とするにはデータが不足である。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - ジエチルアミン自体で、ラットを用いた優勢致死試験および小核試験あるいはショウジョウバエを用いたsex-linked recessive lethals試験などのin vivo試験においては陽性の結果は得られていない(ACGIH(2001))。またin vitro試験(Ames試験)でも多くの陰性の結果が得られている(ACGIH(2001)、IUCLID(2000))ので区分外と判断する。しかし、ジエチルアミンは亜硝酸と同時に投与すると変異原性を示した(DFGOT vol. 1(1991))。
6 発がん性 区分外 - - - - モルモットを用いた試験において発がん性は認めらず、A4に分類している(ACGIH(2001))ので区分外とする。しかし、ジエチルアミンは体内においてニトロソアミンに変化することが報告されている(ACGIH(2001))。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データがなく分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(肝臓、呼吸器系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(肝臓、呼吸器系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトへの気道に対する腐食性および肺水腫を起こすことが指摘されている(ICSC(J)(1997)。また、ウサギにおける短期暴露において、脂肪肝変性、肺水腫、肺気腫などの影響が見られる(RTECS(2005))ので、区分2(標的臓器:肝臓、呼吸器系)とする。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(腎臓、呼吸器系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(腎臓、呼吸器系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギで100ppm、6週間の吸入試験で、肺、腎臓に影響が見られる(ACGIH(2001))。この濃度は90日換算で区分1のガイダンス値の範囲内である。ラットで250ppm、24週間の吸入試験で呼吸器系上皮の病変などに影響が見られた(ACGIH(2001))。この濃度は区分2のガイダンス値の範囲内である。これより区分1、標的臓器は腎臓、呼吸器系とする。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - 事故で暴露した人で肺炎を起こしたのとの報告がある(ACGIH(2001))が、これが誤嚥によるものかどうか明確でないので区分できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ヒメダカ)の96時間LC50=27mg/L(環境省生態影響試験、1999)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:89%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.58(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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