GHS分類結果

名称:m-ニトロアニリン
CAS番号:99-09-2

結果:
物質ID: 546
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - 化学構造にニトロ基を含み、酸素収支の計算値が-151であり、かつBretherick(J)(5th,1998)では、自己加速分解温度を213℃としているが、280〜380℃での分解熱は1.882kJ/gとしており、火薬類に該当する可能性はあるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1661(o-, m-, p-))。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - HSDB(2006)では可燃性としており、また、ICSC(2002)では粉末や顆粒状で空気と混合すると粉塵爆発の可能性があるとしているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1661(o-, m-, p-))。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 化学構造に、爆発性に関わる原子団としてニトロ基を含むが、Bretherick(J)(5th,1998)による自己加速分解温度は213℃であり、自己反応性化学品に該当しない。国連危険物輸送勧告ではクラス・区分6.1(国連番号1661(o-, m-, p-))。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1661(o-, m-, p-))。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点114℃(ICSC,2002)、試験温度140℃)。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 炭素、水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号1661(o-, m-, p-))。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50=535 mg/kg、540 mg/kg(SIDS(1995))のうち小さい値である535 mg/kg に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - PATTY(4th, 1999)のヒト疫学事例に、「健常な皮膚から容易に吸収され、皮膚、眼、粘膜を刺激する」とあるが、刺激の程度が不明であるため、分類できないとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - PATTY(4th, 1999)のヒト疫学事例に、「健常な皮膚から容易に吸収され、皮膚、眼、粘膜を刺激する」とあるが、刺激の程度が不明であるため、分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
厚労省報告(1994)、NTP DB(Access on June, 2006)、SIDS(1995)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであることから、区分2とした。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
厚労省報告(1994)の記述から、親動物に一般毒性を示す用量で、分娩あるいは哺育機能に障害がおよぶ可能性が示唆されていることから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(血液系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(血液系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「急性暴露はメトヘモグロビン血症、チアノーゼを引き起こす」(HSDB(2003))等の記述、実験動物については、「血中メトヘモグロビン量、スルフヘモグロビンの増加」(HSDB(2003))等の記述があることから、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。また、ヒトのデータの引用評価書はPriority 2である。 以上より、分類は区分2(血液系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓、血液系、精巣) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓、血液系、精巣) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「慢性暴露で肝臓障害が起こる」(HSDB(2003))、「血液に影響を与え、メトヘモグロビンを生成することがある」(ICSC(J)(2001))等の記述、実験動物については、「チアノーゼ、メトヘモグロビン血症、精巣萎縮、肝細胞腫大」(厚労省報告(1994))等の記述があることから、肝臓、血液系、精巣が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分2(肝臓、血液系、精巣)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の24時間EC50=36mg/L(SIDS、1995)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いものの(BCF=3(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分3とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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