名称:2,4-ジニトロフェノール
CAS番号:51-28-5
物質ID: | 419 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 等級1.1 | 危険 | H201: 爆発物:大量爆発危険性 |
P370+P380: 火災の場合:区域から退避させること。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P230: ...にて湿らせておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P250: 粉砕/衝撃/.../摩擦のような取扱いをしないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P372: 火災の場合に爆発する危険性あり。 P374: 適当な距離から注意して消火すること。 P401: ...に保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
化学構造にニトロ基を含み、酸素収支の計算値が-78であり、かつBretherick(J)(5th,1998)による自己加速分解温度は189℃ではあるが分解エネルギーは144kJ/gであり、火薬類に該当する。等級の分類はデータがないので、国連危険物輸送勧告がクラス・区分1.1D(国連番号0076 ジニトロフェノール(乾性のもの、または15質量%未満の水で湿性としたもの))であることから、等級1.1とした。 | |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | ICSC(2004)では可燃性としているが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分1.1Dおよびクラス・区分6.1(国連番号0076 ジニトロフェノール(乾性のもの、または15質量%未満の水で湿性としたもの))。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 火薬類に分類されている。国連危険物輸送勧告がクラス・区分1.1Dおよびクラス・区分6.1(国連番号0076 ジニトロフェノール(乾性のもの、または15質量%未満の水で湿性としたもの))。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分1.1Dおよびクラス・区分6.1(国連番号0076 ジニトロフェノール(乾性のもの、または15質量%未満の水で湿性としたもの))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない(融点112℃(ICSC,2004)、試験温度140℃)。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 炭素、水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分1.1Dおよびクラス・区分6.1(国連番号0076 ジニトロフェノール(乾性のもの、または15質量%未満の水で湿性としたもの))。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分2 | 危険 | H300: 飲み込むと生命に危険 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた経口投与試験のLD50 30 mg/kg(CERIハザードデータ集 99-9(2000))、49 mg/kg、51 mg/kg(厚労省報告(2001))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 32 mg/kgから区分2とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分1 | 危険 | H310: 皮膚に接触すると生命に危険 |
P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。 P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた経皮投与試験のLD50 25 mg/kg(CERIハザードデータ集 99-9(2000))から、区分1とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
CERIハザードデータ集 99-9(2000)のウサギを用いた皮膚刺激性試験結果において「軽度の刺激性」、ATSDR(1995)のモルモットを用いた皮膚刺激性試験結果では「moderately irritating」との報告が得られた。安全性の観点から、「moderately irritating」をとり、区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ATSDR(1995)、NTP DB(Access on April 2006)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、であることから「区分2」とした。 | |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | ATSDR(1995)に毒性試験データがあるが、既存分類がないため、専門家の判断に従い、分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
環境省リスク評価第3巻(2004)、ATSDR(1995)の記述から、ラットの催奇形性試験において、親動物の一般毒性に関する情報はないが、死産率及び授乳期間の仔の死亡率に有意な増加が認められているため、「区分2」とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系、腎臓) | 危険 | H370: 臓器の障害(神経系、腎臓) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
実験動物については、「雌雄に歩行時の這いずり姿勢」(厚労省報告(2001))、「非常に軽度な尿細管壊死が見られた」(ATSDR(1995))等の記述があることから、神経系、腎臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(神経系、腎臓)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(心血管系、血液系、視覚器、神経系、腎臓、肝臓、消化管)、区分2(精巣) |
警告 危険 |
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(心血管系、血液系、視覚器、神経系、腎臓、肝臓、消化管) H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(精巣) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについては、「本物質の暴露により溶血性貧血、好中球減少症、好酸球増加症などの血液への影響がみられている」(CERIハザードデータ集 99-9(2000))、「治療薬として2,4- dinitrophenolを投与された者のうち100名以上に白内障が発症したとの紹介」(IRIS(1987))、「肝臓では肝細胞壊死と出血が観察された。腎臓では糸球体内部への出血をともなう尿細管内壁上皮細胞の破壊が見られた。心筋炎が死因と考えられた。」、「小腸には多くの限局性出血性壊死が生じ、激しい肝脂肪変性と出血性腎炎が見られた。患者は衰弱、不定愁訴を訴え、錯乱や一時的な陶酔感を示し膝反射の減少をきたした。顆粒球減少症により死亡した」(ATSDR(1995))の記述、実験動物については、「肝臓及び腎臓の病理学的変化、精巣の萎縮がみられている」(CERIハザードデータ集 99-9(2000))、「自発運動の低下及び流涎、腎臓皮髄境界部の石灰化がみられた」(環境省リスク評価第3巻(2004))等の記述があることから、血液系、視覚器、神経系、腎臓、肝臓、消化管、精巣が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1及び区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(心血管系、血液系、視覚器、神経系、腎臓、肝臓、消化管)、区分2(精巣)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ニジマス)の96時間LC50=0.09mg/L(ECETOC TR91、2003)他から、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=0.7(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。 |
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