GHS分類結果

名称:フッ素
CAS番号:7782-41-4

結果:
物質ID: 62
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,2004)。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分1(圧縮されているもの)、分類できない(圧縮されているもの以外) 危険 H270: 発火又は火災助長のおそれ:酸化性物質(圧縮されているもの) P370+P376: 火災の場合:安全に対処できるならば漏洩を止めること。
P220: 衣類/.../可燃物から遠ざけること。
P244: 減圧バルブにはグリース及び油を使用しないこと。
P403: 換気の良い場所で保管すること。
ICSC(2004)では強力な酸化剤であるとしている。圧縮されているものについては、データはないが国連危険物輸送勧告がクラス・区分5.1(国連番号1045(圧縮されているもの))であり区分1に該当する。圧縮されているもの以外についてはデータがなく分類できない。
5 高圧ガス 圧縮ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 ICSC(2004)による沸点は-188℃、かつMerck(13th,2001)による臨界温度は-129℃であり、「圧縮ガス」に該当する。国連危険物輸送勧告では圧縮されているものがクラス・区分2.3(国連番号1045)。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義における気体である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験のLC50(1時間)=185 ppm(PATTY(4th, 2000))から計算式を適用して得られた LC50(4時間)=92.5 ppm に基づき、区分1とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体であるため、蒸気での吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体であるため、粉塵・ミストでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ヒトの眼に刺激性を与えたという報告(PATTY6巻)があるものの刺激性の程度を判断できないため、区分2A-2Bとしたが、細区分が必要な場合は、安全性の観点から、2Aとした方が望ましい。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。 健康有害性については、【ID479、フッ化ナトリウム、CAS:7681-49-4】 も参照のこと。
6 発がん性 分類できない - - - - データはあるが既存分類がないため、専門家の判断に基き、分類できないとした。 健康有害性については、【ID479、フッ化ナトリウム、CAS:7681-49-4】 も参照のこと。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ATSDR(2003)の記述から、親動物の一般毒性に関する記述はないが、精巣に影響がみられたことから区分2とした。 健康有害性については、【ID479、フッ化ナトリウム、CAS:7681-49-4】 も参照のこと。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器、肝臓、腎臓) 危険 H370: 臓器の障害(呼吸器、肝臓、腎臓) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「肺の炎症、咳、胸部圧迫感、悪寒、発熱、ラ音、チアノーゼ、肺水腫」(EHC 36(1984))、「呼吸器の痛み、頭痛、吐き気、多尿症、多渇症 」(HSDB(1998))等の記述、実験動物については、「肝細胞壊死、げっ歯類に対する尿細管の壊死、肺のうっ血、呼吸困難、刺激性、肺胞壊死」(ATSDR(2003))等の記述があることから、呼吸器、肝臓、腎臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器、肝臓、腎臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、精巣) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器、精巣) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物については、「肺の出血、肺水腫、気管支の炎症、呼吸器への影響(肺への強い刺激性)、精巣の変性」(ATSDR(2003))等の記述があることから、呼吸器、精巣が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(呼吸器、精巣)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - 常温で気体のため、分類対象外。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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