GHS分類結果

名称:アジポニトリル
CAS番号:111-69-3

結果:
物質ID: 5
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - ICSC(1999)による引火点は159℃(密閉式)であり「区分外」に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点550℃(ICSC,1999))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - データがなく分類できない。国連危険物輸送勧告がクラス・区分6.1(国連番号2205)。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50 138 mg/kg(SIDS(1998))、300 mg/kg(SIDS(1998))のうち低い値 LD50=138 mg/kg から区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分5 - 警告 H313: 皮膚に接触すると有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 2000 mg/kg以上(SIDS(1998))より、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験(粉塵・ミスト)LC50 1.71 mg/L(SIDS(1998))から区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた皮膚刺激性試験の試験結果(CERIハザードデータ集 2001-17(2002)、ACGIH(7th, 2001))で、「刺激性を示さない」及び「no irritation」と記載されているため、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギを用いた眼刺激性試験結果は、SIDS(1998),HSDB(2001)、IUCLID(2000)において各ー「irritating」、「Slight irritation」、「slightly irritating」であったため、Mildと判断し、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットを用いた皮膚感作性試験(CERIハザードデータ集 2001-17(2002)、ACGIH(7th, 2001), IUCLID(2000))は、いずれも感作性を示さないことが報告されているが、試験報告数も少なく詳細不明であり、また疫学に関するデータもないため、分類するためにはデータ不足であり、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - CERIハザードデータ集 2001-17(2002)、SIDS(1998)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)で陰性であることから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - EPA(1991)でD(not classifiable as to human carcinogenicity)に分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - CERIハザードデータ集2001-17(2002)、ACGIH(7th, 2001)の記述から、ラットにおける生殖毒性試験及び催奇形性試験で生殖及び発生への影響がみられていないことから、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系) 危険 H370: 臓器の障害(神経系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「胸部締付感、頭痛、かろうじて立っていられる程度の脱力感、チアノーゼ、頻脈、頻呼吸、低血圧、散瞳、断続的な手足及び顔面の緊張性収縮」(環境省リスク評価 第3巻(2004))、実験動物については、「痙攣、嗜眠、流涎、喘鳴」(CERIハザードデータ集 2001-17(2002))等の記述があることから、神経系が標的臓器と考えられた。なお、その影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(副腎、血液系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(副腎、血液系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、「溶血性貧血、白血球減少」(ACGIH(7th, 2001))、実験動物については、「平均赤血球ヘモグロビン量の減少、ヘモグロビン濃度の減少、赤血球数の減少、ヘマトクリット値の減少」、「副腎の変性」(環境省リスク評価 第3巻(2004))等の記述があることから、副腎、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物の副腎に対する影響は、試験条件をミストと判断し、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、分類は区分1(血液系、副腎)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 甲殻類(オオミジンコ)の24時間EC50=445mg/L(SIDS、1998)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=80000mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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