項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 56-55-3 |
名称 | ベンゾ[a]アントラセン |
物質ID | R04-C-031-JNIOSH, MOE |
分類実施年度 | 令和4年度(2022年度) |
分類実施者 | 労働安全衛生総合研究所/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2006年度(平成18年度) 2011年度(平成23年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver.2.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | - |
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2 | 可燃性ガス | - |
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3 | エアゾール | - |
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4 | 酸化性ガス | - |
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5 | 高圧ガス | - |
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6 | 引火性液体 | - |
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7 | 可燃性固体 | - |
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8 | 自己反応性化学品 | - |
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9 | 自然発火性液体 | - |
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10 | 自然発火性固体 | - |
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11 | 自己発熱性化学品 | - |
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12 | 水反応可燃性化学品 | - |
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- | - | - |
13 | 酸化性液体 | - |
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14 | 酸化性固体 | - |
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- | - | - |
15 | 有機過酸化物 | - |
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- | - | - |
16 | 金属腐食性化学品 | - |
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17 | 鈍性化爆発物 | - |
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- | - | - |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | - |
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- | - | - |
1 | 急性毒性(経皮) | - |
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- | - | - |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | - |
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1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | - |
- |
- | - | - |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | - |
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- | - | - |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | - |
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3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | - |
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4 | 呼吸器感作性 | - |
- |
- | - | - |
4 | 皮膚感作性 | - |
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5 | 生殖細胞変異原性 | - |
- |
- | - | - |
6 | 発がん性 | 区分1B |
危険 |
H350 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(4)より、実験動物では発がん性の十分な証拠があり、(3)より作用機序からヒトへの妥当性が高いと判断されることから、区分1Bとした。新たな情報源を利用し、分類結果を見直した(2022年度)。 【根拠データ】 (1)雄マウスを用いた本物質(3%溶液)の5週間強制経口投与試験(3回/週、総投与量:250 mg/マウス:500 mg/kg/day相当)において、投与開始後437~444日及び同547日目の両剖検時に肺腺腫及び肝がんの発生頻度の増加を認めた(437~444日観察時:肺腺腫発生率:投与群 37/39(95%) vs 対照群 10/38(26%)、肝がん発生率:投与群 18/39(46%)vs 対照群 0/38(0%))(IRIS (1990))。 (2)マウスを用いたTPAをプロモーターとした経皮投与による複数の二段階発がん性試験において、皮膚乳頭腫の発生率増加が認められ、本物質のイニシエーター作用が示されたとする報告、新生児マウスを用いた腹腔内投与試験で肺及び/又は肝臓腫瘍を認めたとの複数の報告がある(IARC 92 (2010)、厚労省リスク評価書 (2009)、ACGIH (7th, 2001))。 (3)本物質は(5)、(6)に記述のとおり、代謝活性化によりジオールエポキシド体を産生しDNA付加体を形成するとともに、代謝物が変異原性及び発がんイニシエーター活性を示すことが明らかにされている(IARC 92 (2010))。 (4)IARCではグループ2Bに(IARC 92 (2010))、日本産業衛生学会では多環芳香族炭化水素類(PAH)として第2群Bに(産衛学会 許容濃度の勧告等 (2021))、ACGIHでA2に(ACGIH (7th, 2001))、EPAでB2に(IRIS (1990))、NTPでRに(NTP RoC 15th (2021))、EUでCarc. 1Bに(CLP分類結果 (Accessed 2022))、DFGでCategory 2に(List of MAK and BAT values (2021))、それぞれ分類されている。 【参考データ等】 (5)本物質はマウスの皮膚と肺において、C1―C4の湾領域部でジオールエポキシド機構によって代謝活性化される。本物質は無添加及び酵素誘導されたラット肝ミクロゾーム、再構成されたCYP系及びマウス皮膚移植片において、ベンゾ[a]アントラセン-3,4-ジオールに代謝される。ラット肝ミクロゾームにおける主なエナンチオマーは、(-)-ベンゾ[a]アントラセン-3R,4R-ジオールである。ラセミ体のベンゾ[a]アントラセン-3,4-ジオールはほ乳類細胞では遺伝毒性を有し、そのエナンチオマーの(-)-ベンゾ[a]アントラセン-3R,4R-ジオールはマウス皮膚腫瘍のイニシエーターとして、また新生児マウスの肺腫瘍誘発として最も高い活性を示した。(-)-ベンゾ[a]アントラセン-3R,4R-ジオールは、ラット肝ミクロソームではほ乳類細胞では全異性体の中で最も高い変異原性を示す(+)-アンチ-ベンゾ[a]アントラセン-3S,4R-ジオール-1R,2S-オキシドに代謝される(IARC 92 (2010))。 (6)マウス皮膚では本物質はジオールエポキシドのアンチ-ベンゾ[a]アントラセン-3,4-ジオール-1,2-オキシドに代謝され、1つのDNA付加体(恐らくアンチ-ベンゾ[a]アントラセン-3,4-ジオール-1,2-オキシド-デオキシグアノシン)を形成する。(+)-アンチ-ベンゾ[a]アントラセン-3S,4Rジオール-1R,2S-オキシドはマウスの肺がん誘発物質として最も高活性の異性体で、ラセミ体のアンチ-ベンゾ[a]アントラセン-3,4-ジオール-1,2-オキシドはマウス皮膚における腫瘍イニシエーターとして最も高活性の異性体であった(同上)。 (7)EUでは本物質はSVHC物質として指定され、制限物質にリストされている(EU REACH Restriction (2021))。 |
7 | 生殖毒性 | - |
- |
- | - | - |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | - |
- |
- | - | - |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | - |
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- | - | - |
10 | 誤えん有害性 | - |
- |
- | - | - |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
甲殻類(オオミジンコ)48時間LC50 = 0.0091 mg/L(EU REACH SVHC, 2017)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 |
警告 |
H410 | P273 P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間のErC10 = 0.0012 mg/L(EU REACH SVHC, 2017)から、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階(魚類)に対して信頼性のある急性毒性データは得られていないことから、分類できないとなる。 以上の結果から、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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