項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 218-01-9 |
名称 | クリセン |
物質ID | R04-C-030-JNIOSH, MOE |
分類実施年度 | 令和4年度(2022年度) |
分類実施者 | 労働安全衛生総合研究所/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 2007年度(平成19年度) |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
---|---|
分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver.2.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | - |
- |
- | - | - |
2 | 可燃性ガス | - |
- |
- | - | - |
3 | エアゾール | - |
- |
- | - | - |
4 | 酸化性ガス | - |
- |
- | - | - |
5 | 高圧ガス | - |
- |
- | - | - |
6 | 引火性液体 | - |
- |
- | - | - |
7 | 可燃性固体 | - |
- |
- | - | - |
8 | 自己反応性化学品 | - |
- |
- | - | - |
9 | 自然発火性液体 | - |
- |
- | - | - |
10 | 自然発火性固体 | - |
- |
- | - | - |
11 | 自己発熱性化学品 | - |
- |
- | - | - |
12 | 水反応可燃性化学品 | - |
- |
- | - | - |
13 | 酸化性液体 | - |
- |
- | - | - |
14 | 酸化性固体 | - |
- |
- | - | - |
15 | 有機過酸化物 | - |
- |
- | - | - |
16 | 金属腐食性化学品 | - |
- |
- | - | - |
17 | 鈍性化爆発物 | - |
- |
- | - | - |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | - |
- |
- | - | - |
1 | 急性毒性(経皮) | - |
- |
- | - | - |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | - |
- |
- | - | - |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | - |
- |
- | - | - |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | - |
- |
- | - | - |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | - |
- |
- | - | - |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | - |
- |
- | - | - |
4 | 呼吸器感作性 | - |
- |
- | - | - |
4 | 皮膚感作性 | - |
- |
- | - | - |
5 | 生殖細胞変異原性 | - |
- |
- | - | - |
6 | 発がん性 | 区分1B |
危険 |
H350 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
【分類根拠】 (1)~(3)より、実験動物では発がん性の十分な証拠があり、(3)より、作用機序からヒトへの妥当性が高いと判断されること、(4)の既存分類からは区分1B(EU)、区分2相当(IARC)に分かれるが実験動物での発がん性の十分な証拠から、区分1Bとした。新たな情報源を追加し、分類結果を見直した(2022年度)。 【根拠データ】 (1)本物質1.2 mg/kg(溶媒:アセトン)を雌マウスに17ヵ月間経皮投与した試験で、皮膚の乳頭腫及びがんがそれぞれ4/18例(22%)に認められた(ACGIH (7th, 2001))。同様にマウスに本物質の1%溶液(溶媒:アセトン)を13ヵ月間経皮投与した結果、皮膚に乳頭腫(9/20例(45%))及びがん(8/20例(40%))が認められた(MOE初期評価 (2011))。 (2)マウスを用いたTPAをプロモータとした経皮投与による二段階発がん性試験において、皮膚乳頭腫の発生率増加が認められ、本物質のイニシエーター作用が示されたとする報告、新生児マウスを用いた腹腔内投与試験で肺及び又は/肝臓腫瘍を認めたとの報告、ラットの肺内投与(intrapulmonary implantation:肺内埋込)によって扁平上皮がんを生じたとする報告(IARC 92 (2010)、MOE初期評価 (2011)、IRIS (1990))、成体及び新生児マウスを用いた皮下投与の試験でも腫瘍誘発を認めたとの報告(MOE初期評価 (2011))等がある。なお、ラットの肺内投与試験において、腫瘍誘発活性(10%の動物に扁平上皮がんを誘発する用量(ED10))がベンゾ[a]ピレン(B[a]P)と比較され、本物質(1.02 mg)はB[a]Pのおよそ1/30と報告されている(IARC 92 (2010)、MOE初期評価 (2011)、IRIS (1990))。 (3)本物質は(5)、(6)に記述のとおり、代謝活性化によりジオールエポキシド体を形成しDNA付加体を形成するとともに、代謝物が変異原性、発がんイニシエーター活性を示すことが明らかにされている(IARC 32 (1983)、ACGIH (7th, 2001)、MOE初期評価 (2011))。 (4)IARCでグループ2Bに(IARC 92 (2010))、日本産業衛生学会でB2に(産衛学会許容濃度等の勧告 (2021))、ACGIHでA3に(ACGIH (7th, 2001))、EPAでB2に(IRIS (1990))、NTPでRに(NTP RoC 15th (2021))、EUでCarc. 1Bに(CLP分類結果 (Accessed 2022))、DFGでCategory 2に(List of MAK and BAT values (2021))、それぞれ分類されている。 【参考データ等】 (5)本物質は細胞内でジヒドロジオールに変換し、さらにジオールエポキシド(trans-ジヒドロジオール、フェノール、湾領域部のジオールエポキシド、トリオールエポキシドを含む)に代謝され、これらがDNAに結合し、DNAと付加体を形成する。主に湾領域部のジオールエポキシド体が本物質の発がん性及び変異原性に寄与していると考えられている(ACGIH (7th, 2001))。 (6)3H-標識した本物質をラット、マウス及びヒトの皮膚と培養した結果、代謝により生成したジヒドロジオールの量はマウス皮膚が最も多く、ラットの12~15倍、ヒトの1~6倍であった。マウスの皮膚ではクリセン-5,6-ジヒドロジオールが主体であったが、ラットとヒトの皮膚ではクリセン-3,4-ジヒドロジオールが多かった。DNAとの結合はラット>ヒト>マウスの順に多く、クリセン-1,2-ジオール-3,4-エポキシドとの結合であった。また、ラットの肝ミクロソームを用いた試験でジヒドロジオールからクリセン-1,2-ジオール-3,4-エポキシド、クリセン-3,4-ジオール-1,2-エポキシドの生成が報告されている(MOE初期評価 (2011))。1,2-ジヒドロジオールは細菌及びほ乳類細胞において、代謝活性化系で変異原性を示すとともに、マウスの皮膚で腫瘍のイニシエーション物質として作用する。1,2-ジオール-3,4-エポキシドは、細菌及びほ乳類細胞で変異原性を示すとともに、新生児マウスで肺腫瘍を誘発する(IARC 32 (1983))。 (7)EUでは本物質はSVHC物質として指定され、制限物質にリストされている(EU REACH Restriction (2021))。 |
7 | 生殖毒性 | - |
- |
- | - | - |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | - |
- |
- | - | - |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | - |
- |
- | - | - |
10 | 誤えん有害性 | - |
- |
- | - | - |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 | P273 P391 P501 |
藻類(Phaeodactylum tricornutum)96時間ErC50 = 0.00063 mg/L(環境省初期評価, 2011)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 |
警告 |
H410 | P273 P391 P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、魚類(ゼブラフィッシュ)の28日間NOEC > 0.0009 mg/L(EHC, 1998)から、区分に該当しないとなる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階(藻類、甲殻類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、藻類(Phaeodactylum tricornutum)96時間ErC50 = 0.00063 mg/L(環境省初期評価, 2011)から、区分1となる。 以上の結果を比較し、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
|