政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 205-82-3
名称 ベンゾ[j]フルオランテン
物質ID R04-C-028-JNIOSH, MOE
分類実施年度 令和4年度(2022年度)
分類実施者 労働安全衛生総合研究所/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2007年度(平成19年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver.2.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 -
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2 可燃性ガス -
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3 エアゾール -
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4 酸化性ガス -
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5 高圧ガス -
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6 引火性液体 -
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7 可燃性固体 -
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8 自己反応性化学品 -
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9 自然発火性液体 -
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10 自然発火性固体 -
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11 自己発熱性化学品 -
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12 水反応可燃性化学品 -
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13 酸化性液体 -
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- - -
14 酸化性固体 -
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15 有機過酸化物 -
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- - -
16 金属腐食性化学品 -
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17 鈍性化爆発物 -
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- - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) -
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- - -
1 急性毒性(経皮) -
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- - -
1 急性毒性(吸入:ガス) -
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- - -
1 急性毒性(吸入:蒸気) -
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- - -
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) -
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- - -
2 皮膚腐食性/刺激性 -
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- - -
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 -
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- - -
4 呼吸器感作性 -
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- - -
4 皮膚感作性 -
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5 生殖細胞変異原性 -
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- - -
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
1)~(3)より、実験動物で発がん性の十分な証拠があること、(3)、(4)より作用機序からヒトへの妥当性が高いと判断されることから、区分1Bとした。新たな情報源を追加・精査し分類結果を見直した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)雌マウスを用いた2つの生涯経皮投与試験(3回/週)において、7か月後までに0.1及び0.5%投与群では11/20例及び20例全例が死亡した。皮膚乳頭腫(70及び95%)及び皮膚がん(100及び95%)の発生が認められた(IARC 32 (1983))。また、雌マウスを用いた生涯経皮投与試験(2回/週)において、3.4~9.2μg/0.02 mL投与群で、低頻度であるが全体で4例に皮膚腫瘍(肉腫、腫瘍(NOS)、乳頭腫、がん:各1/30例)が認められた(IARC 92 (2010))。
(2)マウスを用いたTPAをプロモーターとした経皮投与による複数の二段階発がん性試験において、皮膚乳頭腫の発生率増加が認められ、本物質のイニシエーター作用が示されたとする報告、新生児マウスを用いた腹腔内投与試験で肺腫瘍及び/又は肝臓腫瘍を認めたとの報告(5)、及び雌ラットの肺内投与後に用量相関的な肺の扁平上皮がんを認めたとの報告(5)がある(IARC 92 (2010))。
(3)本物質は(6)~(8)に記述のとおり、代謝活性化により少なくとも2種のジオールエポキシド体を形成しDNA付加体を形成するとともに、代謝物が変異原性及び発がんイニシエーター活性、及び発がん性を示すことが明らかにされている(IARC 92 (2010))。
(4)国内外の評価機関による既存分類では、IARCでグループ2B (IARC 92 (2010))、NTPでR(NTP RoC 15th (2021))、日本産業衛生学会で第2群B(産衛学会 許容濃度の勧告等(2022))、EUでCarc. 1B(CLP分類結果 (Accessed 2023))、DFGでCat. 2(List of MAK and BAT values (2021))に分類されている。

【参考データ等】
(5)雌雄新生児マウスを用いた腹腔内投与試験(1.1μmol、生後1、8及び15日の3回)で52週後に肺腫瘍(腺腫)が雄で52.3%、雌で22.2%、肝臓腫瘍(ヘパトーマ)が雄で52.3%の発生率で認められた。一方、雌ラットの肺内投与試験(0.2~5.0 mg、1回)では、肺の扁平上皮がん発生率が用量相関的に増加し、高用量群では51.4%に認められた(IARC 92 (2010))。
(6)本物質を酵素誘導したラット肝ミクロソームとのin vitro培養後に2つのジオール代謝物が検出され、1つは9,10-ジオール体と同定された。また、マウスに経皮投与後に主代謝物として、9,10-ジオール体と4,5-ジオール体の産生が認められた(IARC 92 (2010))。
(7)本物質、代謝物の4,5-ジオール体及び9,10-ジオール体のいずれも代謝活性化系の存在下でネズミチフス菌TA, TA98及びTA100に対し変異原性を示した。また、両代謝物ともマウスの表皮でジオールエポキシド体としてDNA付加体を形成する(IARC 92 (2010))。
(8)両代謝物ともマウスを用いた経皮投与による2段階発がん性試験で、イニシエーション作用が認められており、新生児マウスに腹腔内投与(生後1、8及び15日の3回)した試験で、1年後に雌雄ともに肺腫瘍(細気管支-肺胞がん)及び肝臓腫瘍(4,5-ジオール体投与群の雌を除く)の用量相関的な発生率の増加が認められた(IARC 92 (2010))。
(9)EUでは本物質はSVHC物質として指定され、制限物質にリストされている(EU REACH Restriction (2021))。





7 生殖毒性 -
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- - -
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) -
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9 特定標的臓器毒性(反復暴露) -
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- - -
10 誤えん有害性 -
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環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.0023 mg/L(環境省既存点検結果, 2002)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOErC = 0.00015 mg/L(環境省既存点検結果, 2002)から、区分1となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階(魚類)に対して急性毒性データを用いた場合、難水溶性であり(水溶解度 = 0.0025 mg/L(PHYSPROP Database(SRC, 2005)))、魚類(ヒメダカ)の96時間LC50 > 0.0042 mg/L(環境省既存点検結果, 2002)であるが、急速分解性がなく、生物蓄積性があると推定される(log Kow = 6.11(KOWWIN v1.68))ことから、区分4となる。
以上の結果を比較し、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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