政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 78-04-6
名称 マレイン酸ジブチルスズ
物質ID R04-C-012-JNIOSH, MOE
分類実施年度 令和4年度(2022年度)
分類実施者 労働安全衛生総合研究所/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2016年度(平成28年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver.2.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 -
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-
- - -
2 可燃性ガス -
-
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- - -
3 エアゾール -
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- - -
4 酸化性ガス -
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- - -
5 高圧ガス -
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- - -
6 引火性液体 -
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- - -
7 可燃性固体 -
-
-
- - -
8 自己反応性化学品 -
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- - -
9 自然発火性液体 -
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- - -
10 自然発火性固体 -
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- - -
11 自己発熱性化学品 -
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- - -
12 水反応可燃性化学品 -
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- - -
13 酸化性液体 -
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-
- - -
14 酸化性固体 -
-
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- - -
15 有機過酸化物 -
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- - -
16 金属腐食性化学品 -
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- - -
17 鈍性化爆発物 -
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-
- - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) -
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-
- - -
1 急性毒性(経皮) -
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-
- - -
1 急性毒性(吸入:ガス) -
-
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- - -
1 急性毒性(吸入:蒸気) -
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-
- - -
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) -
-
-
- - -
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
【分類根拠】
(1)より、区分1とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(4時間適用、14日観察)において、全例で紅斑が14日間持続し、うち3例は浮腫も14日間持続した。1例では壊死が、他の1例では表面的な壊死がみられ、影響は非可逆的であった(紅斑・痂皮スコア:1.7/1.7/1.7/2/1/2、浮腫スコア:1.3/0.3/1.3/1.7/0/1.7)との報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、CLH Report (2020))。

【参考データ等】
(2)EpiSkinを用いたin vitro 皮膚腐食性試験(OECD TG 431、GLP)において、T=3分 細胞生存率R=90.6%、T=60分 細胞生存率R=90.6%、T=240分 細胞生存率R=79.1%であり、皮膚腐食性物質ではないとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、CLH Report (2020))。
(3)In vitro 皮膚刺激性試験(再構築ヒト表皮試験法、GLP)において、細胞生存率R=71.6%であり、皮膚刺激性物質ではないとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、CLH Report (2020))。

3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
【分類根拠】
(1)~(3)より、区分1とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)皮膚腐食性/刺激性で区分1である。
(2)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、14日観察)において、角膜混濁、虹彩炎及び中程度から重度の結膜刺激がみられた他、結膜の蒼白部位や瞬膜の点状出血が認められた。また、1例に眼瞼炎と血液混じりの分泌物が認められた。影響は非可逆的であった(角膜混濁スコア:1/1/1.3、虹彩炎スコア:1/0.7/1、結膜発赤スコア:2/1.7/2、結膜浮腫スコア:2.3/1.7/2.3)との報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、CLH Report (2020)、REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。
(3)ウサギ(n=9)を用いた眼刺激性試験において、非洗浄群6例のうち全例で24/48/72時間後には結膜の壊死が、72時間後には潰瘍がみられ、影響は非可逆的であった(角膜混濁スコア:1.67/-/2/-/3.67/3、虹彩炎スコア:3/-/-/-/1.33/-、結膜発赤スコア:3/3/3/3/3/3、結膜浮腫スコア:3/3.67/3.67/4/3.33/3.67)。洗浄群3例でも同様の影響がみられ、21日後に壊死、潰瘍がみられたとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、CLH Report (2020))。
4 呼吸器感作性 -
-
-
- - -
4 皮膚感作性 -
-
-
- - -
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
本物質自体(DBTM)のデータは(4)の細菌を用いた復帰突然変異試験の陰性の結果に限られるが、(1)より、カテゴリーを形成するDBTCとDBTLのデータが利用可能と考えられる。(2)~(4)より、2つのin vivo試験系で陽性、2つのin vitro試験系で陽性の結果が得られていることから、区分2とした。新たな情報源を利用し分類結果を見直した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)本物質(DBTM)は胃内での加水分解(pH 1~2)を模倣した実験では30分間未満の半減期でジブチルスズジクロリド(DBTC:CAS番号 683-18-1)に変換した(変換率:30分間で95%以上)。DBTM以外にもジブチルスズジラウラート(DBTL:CAS番号 77-58-7)含めいくつかのジブチルスズ化合物が胃内で加水分解を受け、DBTC及びその派生物を生成すると考えられ、1つのカテゴリーを形成している(EU CLP CLH (2021))。したがって、本物質の経口投与等による全身性影響の評価には、本物質自体のデータがなくてもDBTC、DBTLの経口投与試験データが利用可能と考えられる(SIAR (2006)、SIDS Dossier (2006)、MOE 初期評価 (2018))。
(2)DBTCについて、マウスの骨髄細胞を用いたin vivo小核試験(単回強制経口投与)で陽性(試験最高用量の50 mg/kg投与群で雌雄ともに陽性であり、雌の方がより明瞭)、及び陰性(単回経口投与、200 mg/kgまで陰性。中用量(100 mg/kg)以上で毒性症状、高用量(200 mg/kg)で死亡例5例)の相反する結果が得られた(EU CLP CLH (2021)、AICIS IMAP (2019)、MOE 初期評価 (2018)、SIAR (2006))。
(3)DBTLについて、ラットの大脳皮質細胞を標的としたコメットアッセイ(7週間強制経口投与、5~20 mg/kg/day)で、陽性(有意かつ用量相関的なDNA傷害性)であった(EU CLP CLH (2021)、AICIS IMAP (2019))。
(4)In vitroでは、本物質(DBTM)とDBTCについて、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性であった。DBTCについて、チャイニーズハムスター肺由来(V79)細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性(S9+/-)、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陽性(S9-)、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験で陽性(S9+/-)であった(EU CLP CLH (2021)、SIAR (2006))。

【参考データ等】
(5)EUではMuta. 2への分類が提案されている(EU CLP CLH (2021))。
6 発がん性 -
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- - -
7 生殖毒性 -
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- - -
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) -
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- - -
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) -
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- - -
10 誤えん有害性 -
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-
- - -

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.21 mg/L(CICAD 73, 2006、SIAR, 2006)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(セネデスムス)の72時間NOErC = 0.88 mg/L(SIAR, 2006)から、区分2となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階(甲殻類、魚類)に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.21 mg/L(CICAD 73, 2006、SIAR, 2006)から、区分1となる。
以上の結果を比較し、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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