政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 7440-22-4
名称 銀(ナノ粒子以外)
物質ID R04-C-003-JNIOSH, MOE
分類実施年度 令和4年度(2022年度)
分類実施者 労働安全衛生総合研究所/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver.2.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 -
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2 可燃性ガス -
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3 エアゾール -
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4 酸化性ガス -
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5 高圧ガス -
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- - -
6 引火性液体 -
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- - -
7 可燃性固体 -
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- - -
8 自己反応性化学品 -
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- - -
9 自然発火性液体 -
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- - -
10 自然発火性固体 -
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- - -
11 自己発熱性化学品 -
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12 水反応可燃性化学品 -
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- - -
13 酸化性液体 -
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- - -
14 酸化性固体 -
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- - -
15 有機過酸化物 -
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- - -
16 金属腐食性化学品 -
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- - -
17 鈍性化爆発物 -
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- - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) -
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- - -
1 急性毒性(経皮) -
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- - -
1 急性毒性(吸入:ガス) -
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- - -
1 急性毒性(吸入:蒸気) -
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- - -
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) -
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- - -
2 皮膚腐食性/刺激性 -
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- - -
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 -
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- - -
4 呼吸器感作性 -
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- - -
4 皮膚感作性 -
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- - -
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
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- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。CLHでは変異原性について区分2が提案されたことから見直しを行った。銀ナノ粒子についていくつかの試験結果が得られているが、銀イオンに対する直接的評価への利用は困難と判断された。そのため、区分の変更はない(2022年度)。

【参考データ等】
(1)銀粒子(平均粒子径:10-20 μm)について、in vitro試験では代謝活性化系(S9)添加の有無にかかわらずネズミチフス菌で遺伝子突然変異、チャイニーズハムスター肺細胞(CHL)で染色体異常はみられなかったと報告されている(MOE 初期評価 (2018))。
(2)EUはナノ粒子からも銀イオンを放出するだろうという整理のもとナノ銀のデータを基に銀(塊、粉体)をMuta. 2に分類提案している(CLH Report (2020))。
(3)銀ナノ粒子(粒子径:52.7~70.99 nm (平均60 nm))について、in vivoでラットを用いた経口投与による小核試験(OECD TG474、最大1,000 mg/kg/day)では弱陽性と報告されている。一方、銀ナノ粒子(粒子径:1.98~64.9 nm)について、ラットを用いた90日間吸入ばく露による小核試験(OECD TG474、最大515 μg/m3)の結果は陰性と判断されたと報告されている(CLH Report (2020))。
(4)銀ナノ粒子(粒子径:5~150 nm(平均33.6 nm(単量体と凝集体含む))について、in vivoでは、マウスを用いた強制経口投与によるDNA損傷試験の結果、胎児では骨髄における非可逆性の染色体損傷に加えて、骨髄の単核細胞と末梢血中白血球におけるDNA二重鎖切断の顕著な増加がみられた(CLH Report (2020))。
(5)銀ナノ粒子(詳細不明)について、in vivoでは、ラットの赤血球を用いた小核試験(OECD TG475、単回腹腔内投与、最大80 mg/kg)で、陽性(構造異常(主に染色分体切断)の頻度増加)と報告されている(CLH Report (2020))。
(6)銀ナノ粒子(粒子径:20 nm又は200 nm)について、in vivoでは、ラットの赤血球を用いた小核試験(単回静脈内投与、5及び10 mg/kg(20 nm)、5 mg/kg (200 nm))では、いずれのナノ粒子も赤血球で陽性と報告されている(CLH Report (2020))。
(7)銀ナノ粒子(15~100 nm PVP被覆、10~80 nm シリコン被覆)について、in vivoでは、マウスの肝臓を標的とした静脈内投与によるコメット試験では標準的な試験法では陰性、酵素処理した変法(hOCG1)では肝臓で酸化的DNA損傷の有意な誘導がみられた(CLH Report (2020))。
(8)(3)~(7)のほか、銀ナノ粒子について、in vivoでは、小核試験で陰性2件、染色体異常試験で陽性1件、ほ乳類を用いたコメット試験3報告のうち陽性2件、陽性疑い1件がそれぞれ報告されている(CLH Report (2020))。
6 発がん性 -
-
-
- - -
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)の水溶性銀化合物を用いた試験結果より、銀イオンが親動物に大きな負担がない用量で受胎能低下、胚/胎児死亡増加、内臓の形態異常が生じる報告があり、区分1Bとした。なお新たな情報源を利用し生殖毒性項目を見直した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)酢酸銀(CAS登録番号:563-63-3)について、ラットを用いた飲水投与による一世代生殖毒性試験において、雌雄親動物には摂水量の減少がみられた高用量(40 mg/kg/day:26 mg Ag/kg/day)群で受胎率の低下がみられた。摂水量の減少は嗜好性(味覚忌避)によるものと解され、全身毒性を反映したものではない。児動物には中用量群で出生児生率の低下と低体重、高用量群では妊娠期から授乳期早期の死亡例が多く生存児数の減少が明らかであった。親動物には剖検時に銀の沈着が様々な組織にみられたが、全体として雌雄親動物に投与による明白な毒性は認められていない。以上、親動物に毒性影響がないか僅かな影響の用量で、受胎率の低下、出生時の生存児数減少、出生後の新生児生存率の低下がみられたとの報告がある(EFSA (2016)、CLH Report (2020))。
(2)塩化銀(CAS登録番号:7783-90-6)について、ラットを用いた混餌投与による発生毒性試験(妊娠1~20日)では、250 mg/kg/day(188 mg Ag/kg/day)で、着床後胚死亡の増加(36% vs 対照群9.6%)、内臓異常(水腎症、潜伏睾丸)を有する胎児数の高値、新生児の全例死亡(24時間以内)がみられた。しかし、塩化銀を妊娠7~15日に同様に混餌投与した場合には、これらの発生影響はみられなかった。これに対する説明として、銀は銅がセルロプラスミン(銅輸送タンパク)に結合するのを阻害し、胎児による銅、鉄などの利用を低下させることにより、発生毒性を生じるという仮説である。妊娠期間に銀によるセルロプラスミン阻害の期間が長いほど発生影響が出やすいということで説明が可能とされている。ヒトでもセルロプラスミンの機能的な役割は同様であるので、銀の発生毒性の作用機序はヒトには当てはまらないとは言い切れないとの報告がある(EFSA (2016)、CLH Report (2020))。

【参考データ等】
(3)EUでは銀(CAS登録番号:7440-22-4)(銀、銀ナノ粒子、銀水溶性化合物の区別無し)についてRepr. 1Bが提案されている(CLH Report (2020))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) -
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9 特定標的臓器毒性(反復暴露) -
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10 誤えん有害性 -
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環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 分類できない
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- - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 分類できない
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- - データがなく分類できない。
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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