政府によるGHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 106-87-6
名称 4-オキシラニル-1,2-エポキシシクロヘキサン
物質ID R04-C-001-JNIOSH, MOE
分類実施年度 令和4年度(2022年度)
分類実施者 労働安全衛生総合研究所/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 2006年度(平成18年度)  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver.2.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 -
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- - -
2 可燃性ガス -
-
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- - -
3 エアゾール -
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- - -
4 酸化性ガス -
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- - -
5 高圧ガス -
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- - -
6 引火性液体 -
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-
- - -
7 可燃性固体 -
-
-
- - -
8 自己反応性化学品 -
-
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- - -
9 自然発火性液体 -
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- - -
10 自然発火性固体 -
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- - -
11 自己発熱性化学品 -
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- - -
12 水反応可燃性化学品 -
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-
- - -
13 酸化性液体 -
-
-
- - -
14 酸化性固体 -
-
-
- - -
15 有機過酸化物 -
-
-
- - -
16 金属腐食性化学品 -
-
-
- - -
17 鈍性化爆発物 -
-
-
- - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) -
-
-
- - -
1 急性毒性(経皮) -
-
-
- - -
1 急性毒性(吸入:ガス) -
-
-
- - -
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - 【分類根拠】
データ不足のため分類できない。なお、旧分類で分類に使用したデータはミストによる試験と判断し、急性毒性(吸入:粉じん、ミスト)の項目で分類を実施した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
【分類根拠】
(1)より、区分4とした。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度(0.76 mg/L)より高いため、ミストと判断した。新たな知見に基づき分類結果を変更した。旧分類からEUで急性毒性(吸入)のGHS区分が変更されたことに伴い、急性毒性項目を見直した(2022年度)。


【根拠データ】
(1) ラットのLC50(4時間):800 ppm(4.6 mg/L)(CLH Report (2019)、AICIS IMAP (2018)、ACGIH (7th, 2001)、NTP TR362 (1987))

【参考データ等】
(2)ラットのLC50(8時間):> 128 ppm(4時間換算値:> 256 ppm (>1.47 mg/L))(CLH Report (2019)、AICIS IMAP (2018)、ACGIH (7th, 2001)
(3)EUでは区分4に分類されている(CLP分類結果 (Accessed July 2022))。
2 皮膚腐食性/刺激性 -
-
-
- - -
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 -
-
-
- - -
4 呼吸器感作性 -
-
-
- - -
4 皮膚感作性 -
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-
- - -
5 生殖細胞変異原性 -
-
-
- - -
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、動物種2種において発がん性の証拠があることから区分1Bとした。新たな知見に基づき分類結果を変更した。旧分類からEU、DFGで新たな分類がされたため、発がん性項目を見直した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた経皮投与(5日/週、105週間)による2年間発がん性試験において、雌雄ともに低及び高用量群で皮膚の扁平上皮癌及び基底細胞腺腫とがんを組合せた発生率の増加がみられ、発がん性を示す明らかな証拠と報告されている。なお、投与群の数例の動物では皮膚悪性腫瘍の肺や他臓器への転移がみられた(NTP TR362 (1989)、IARC 60 (1994)、ACGIH (7th, 2001))、AICIS IMAP (2016))。
(2)マウスを用いた経皮投与(5日/週、103週間)による2年間発がん性試験において、雌雄ともに低用量以上で皮膚の扁平上皮癌の用量依存的な増加、雌では中用量以上で卵巣腫瘍(顆粒膜細胞腫瘍/良性の混合腫瘍/黄体腫)を組合せた発生率の増加、細気管支-肺胞上皮の腺腫とがんを組合せた発生率の増加がみられ、発がん性を示す明らかな証拠と報告されている。なお、高度の退形成性細胞を含む皮膚悪性腫瘍がみられる動物ではリンパ節や内臓への転移がみられた(NTP TR362 (1989)、IARC 60 (1994)、ACGIH (7th, 2001))、AICIS IMAP (2016))。
(3)国内外の評価機関による既存分類結果として、EUでは(1)、(2)より2種の雌雄ともに適用部位皮膚に良性及び悪性腫瘍がみられたこと、適用部位から離れた遠隔部位(マウスの卵巣)に腫瘍発生がみられたこと、腫瘍発生までの潜伏期間と投与量に逆相関がみられること、全身毒性や皮膚に非腫瘍性病変が重篤でない用量から腫瘍がみられたことから、Carc. 1B(CLP分類結果 (Accessed July 2022))、DFGでカテゴリー2(List of MAK and BAT values 2020 (Accessed July 2022))にそれぞれ分類されている。その他、IARCでグループ2B(IARC 60 (1994))、日本産業衛生学会で第2群B(2021)、ACGIHでA3(ACGIH (7th, 2001))、NTPでR(NTP RoC 15th. (2021))に分類されている。
7 生殖毒性 区分1B


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
【分類根拠】
(1)~(6)より、動物実験で生殖毒性が認められており、区分1Bとした。(1)~(4)より、本物質をヒトに妥当ではないばく露経路で投与したラット、サルで卵巣への有害影響が認められており、(5)より、ラット、マウスを用いた経口及び経皮経路による反復ばく露試験では、主に全身毒性がみられる高用量で雌雄生殖器に有害性影響がみられる。また(6)より、想定される作用機序から実験動物での知見はヒトにも当てはまる可能性は排除できないとされている。

【根拠データ】
(1)雌サル4頭(1頭/用量)に本物質、80~250 mg/kg/dayを15日間筋肉注射した結果、原始卵胞~二次卵母細胞までの卵胞細胞が160 mg/kg/dayで50%減少、250 mg/kg/dayでほぼ完全に消失したとの報告がある(CLH Report (2018))。
(2)雌サル8頭の片側卵巣を切除し、反対側の卵巣の隣接部位に本物質200 mgを含む生分解性繊維を移植留置した。30日後に剖検した結果、処置群では原始卵胞の約70%減少及び抗ミューラー管ホルモン(AMH:卵胞数の血清マーカー)の83%低下がみられた。次に雌サル29頭の両側卵巣の周囲に本物質200 mgを含む生分解性繊維を移植留置した(卵巣は非切除)。外科処置4ヵ月後に、AMHは処置前のベースライン値(14.1 ng/mL)と比べ56%低下(6.24 ng/L)し、うち3例では3 ng/mL以下に低下していたとの報告がある(CLH Report (2018))。
(3)雌ラットに本物質80 mg/kg/dayを30日間腹腔内投与した結果、卵巣の原始卵胞の大半が破壊された。卵胞や原始卵胞は胎児の発生過程で形成され、原始卵胞・一次卵胞の破壊は卵巣機能の喪失を生じる(早期閉経状態)との報告がある((CLH Repot (2018))、AICIS IMAP (2016))。
(4)別の雌ラットに最大80 mg/kgを反復腹腔内投与した結果、卵胞数と着床胚数の減少、着床率の低下を生じた(AICIS IMAP (2016)、CLH Repot (2018))。
(5)ラット及びマウスを用いた13週間経口投与試験、13週間及び2年間経皮投与試験において、雌雄生殖器官に有害影響(精巣の変性、卵巣・子宮の萎縮等)がみられた。これらの影響は全身毒性がある用量でみられたが、全身毒性による二次的影響ではないと考えられ、(6)において提唱されている作用機序はヒトにも当てはまると考えられるとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2019))。
(6)サル、ラットでみられた本物質の卵巣への有害影響は間接的な作用機序(視床下部-下垂体系を介する等)ではなく、直接的な作用でアポトーシス誘導による自然な退縮を促進する機序、酸化的傷害が提唱されており、他にも本物質が卵細胞のKIT受容体を阻害し、卵細胞を自然消滅させるように働く機序も指摘されている(EU CLP CLH (2019)、AICIS IMAP (2016))。KITシグナルパスウェイはヒトの卵細胞の成熟にも関与している可能性のあることから、実験動物での知見はヒトにも当てはまる可能性は排除できない(EU CLP CLH (2019))。

【参考データ等】
(7)EUではRepr. 1Bに分類されている(CLP分類結果 (Accessed July 2022))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) -
-
-
- - -
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(生殖器(女性))


警告
H373 P260
P314
P501
【分類根拠】
(1)、(2)より、区分2の用量範囲において子宮及び卵巣への影響がみられることから区分2(生殖器(女性))とした。なお、旧分類で分類された免疫系影響は、長期間の試験において影響がみられていないことから、標的臓器と判断しなかった。新たな知見に基づき分類結果を変更した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)マウスを用いた13週間反復経皮投与試験(5日/週)において、5 mg/mouce(ガイダンス換算値:180 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で皮膚影響(皮脂腺の過形成、重層扁平上皮のアカントーシス及び過角化)、卵巣、子宮に萎縮性変化がみられたとの報告がある(NTP TR362 (1989)、CLH Report (2018))。
(2)マウスを用いた2年間反復経皮投与試験(5日/週)の中間評価(15ヵ月投与)において、2.5 mg/mouce(ガイダンス換算値:125 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で皮膚影響(皮脂腺の過形成、扁平上皮のアカントーシス・過角化、扁平上皮の乳頭腫又は癌)、卵巣影響(萎縮、上皮の過形成、顆粒膜細胞腫、卵巣乳頭状嚢胞腺腫)がみられたとの報告がある(NTP TR362 (1989)、CLH Report (2018))。

【参考データ等】
(3)ラットを用いた2年間反復経皮投与試験(5日/週)において、15及び30 mg/rat(ガイダンス換算値:37.5及び75 mg/kg/day、区分2の範囲)で皮膚影響(皮脂腺の過形成、重層扁平上皮のアカントーシス及び過角化、扁平上皮癌又は基底細胞腺腫/癌)がみられたとの報告がある(NTP TR362 (1989)、CLH Report (2018))。
(4)ラットを用いた強制経口投与による13週間反復経口投与試験(5日/週)において、125 mg/kg/day(90日換算値:90.3 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で前胃の組織変化(重層扁平上皮のび漫性過形成及び過角化)がみられたとの報告がある(NTP TR362 (1989)、CLH Report (2018))。
(5)マウスを用いた強制経口投与による13週間反復経口投与試験(5日/週)において、62.5及び125 mg/kg/day(ガイダンス換算値:45.1及び90.3 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で前胃の組織変化(重層扁平上皮のび漫性過形成及び過角化)、腎臓重量高値がみられたとの報告がある(NTP TR362 (1989)、CLH Report (2018))。
(6)マウス(雄)に5日間反復経皮投与(2.5~10 mg/mouce)後に免疫系への影響を検討した試験で、5及び10 mg/mouce投与群で免疫抑制作用(末梢血リンパ球減少、マイトジェン刺激に対するin vitroリンパ球増殖反応低下、抗体PFC反応抑制)がみられたとの報告がある(NTP TR392 (1989)、ACGIH (7th, 2001))。
10 誤えん有害性 -
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- - -

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性 短期(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
魚類(ヒメダカ)96時間LC50 = 15 mg/L(環境省既存点検結果, 2005)であることから、区分3とした。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。
11 水生環境有害性 長期(慢性) 区分3
-
-
H412 P273
P501
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:3%(METI既存点検結果, 2002))、急性毒性は区分3であることから、区分3とした。新たな情報の使用により、旧分類から分類結果が変更となった。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
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  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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