項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 8006-64-2 |
名称 | テレピン油 |
物質ID | H29-B-088 |
分類実施年度 | 平成29年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品ではない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分3 |
警告 |
H226 |
P303+P361+P353
P370+P378 P403+P235 P210 P233 P240 P241 P242 P243 P280 P501 |
引火点は30~46℃ (closed cup) (ICSC (J) (2002)) である。なお、UNRTDG分類はUN 1299、クラス3、PGⅢである。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義による液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点は220℃ (GESTIS (Access on September 2017)) であり常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義による液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B, Si, P Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLD50値として、5,760 mg/kg (DFGOT vol. 17 (2002)) との報告に基づき、区分外とした。旧分類はヒトでの致死量210~1,260 mg/kgとの報告に基づき、区分2としていたが、ガイダンスに従いラットのLD50値を根拠としたため、区分を変更した。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - | LD50値の情報はないが、ウサギのLDLo値として、5,010 mg/kgとの報告 (Chem ID (Access on November 2017)) があり、LD50値はこの値よりも大きいと考えられる。したがって、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 |
危険 |
H331 |
P304+P340
P403+P233 P261 P271 P311 P321 P405 P501 |
ラットの1時間吸入ばく露試験のLC50値として3,590 ppm (4時間換算値: 1,795 ppm) (ACGIH (7th, 2003))、4時間吸入ばく露試験のLC50値として13.7 mg/L (2,466 ppm) (DFGOT vol. 17 (2002))、6時間吸入ばく露試験のLC50値として2,150 ppm (4時間換算値: 2,633 ppm) (ACGIH (7th, 2003)) との3件の報告があり、2件が区分3、1件が区分4に該当する。件数の多い区分を採用して、区分3とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (4,950 ppm) の90%より低いため、ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 |
P302+P352
P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
ヒトの皮膚に対して本物質は刺激性を示すとの記載 (DFGOT vol. 17 (2002)、ACGIH (7th, 2003)、PATTY (6th, 2012)) や、ウサギを用いた皮膚刺激性試験で本物質の適用で剃毛した皮膚に潰瘍を生じ刺激性がみられたとの記載 (DFGOT vol. 17 (2002))、マウスの皮膚において本物質濃度75%及び100%溶液の適用で10匹全てに皮膚表面に潰瘍を生じたとの報告 (DFGOT vol. 17 (2002)) から、区分2とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 |
警告 |
H319 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 P280 |
本物質はヒトの眼に対して強い刺激性を示し、また、腐食性を示す可能性があるとの記載 (PATTY (6th, 2012)) から、区分2とした。情報源の内容を見直して旧分類から区分を変更した。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 |
警告 |
H317 |
P302+P352
P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
日本産業衛生学会・許容濃度勧告において、本物質は皮膚感作性物質第1群に分類されている (産衛学会許容濃度等の勧告 (2017年度)) ことから、区分1とした。職業ばく露における疫学調査で皮膚感作性があるとの記載 (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 17 (2002)、PATTY (6th, 2012))、モルモットでのマキシマイゼーション法による試験で陽性であるとの記載 (DFGOT vol. 14 (2000)) がある。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (NTP DB (Access on August 2017))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | 本物質と針葉樹の他の加熱成分に5年以上ばく露された作業者の間で肺がんリスクの有意な増加 (オッズ比: 9.71、95% CI: 1.59-56.7) がみられたが、著者らは針葉樹の揮発成分には本物質以外にも樹木のアビエチン酸、ピマール酸、その他樹脂酸の誘導体の混合物や複合体が含まれていることを指摘している (ACGIH (7th, 2003))。このように、本物質への単独ばく露による信頼性のある報告はない。実験動物では標準的な発がん性試験データはない。ただし、DMBA (7,12-dimethylbenz[a]-anthracene) でイニシエーション後に本物質原液をマウス皮膚に適用した場合、皮膚腫瘍のプロモーション作用がみられたが、本物質の20~50%希釈溶液ではプロモーター作用はみられなかった (DFGOT vol. 17 (2002)) との報告、並びに本物質を経皮適用した場合、腫瘍成長の促進がウサギでは示されたが、マウスでは示されなかった (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2003)) との報告がある。既存分類としては、ACGIHがヒト及び実験動物での発がん性データは不十分であるとして、A4に分類している (ACGIH (7th, 2003))。以上より、分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、妊娠ラット (n= 5) に本物質飽和蒸気を妊娠17~21日に10分/回で2回/日吸入ばく露した結果、ばく露群では母動物に顕著な症状 (協調運動障害、運動失調、過呼吸、流涎) がみられ、出生児37例中22例 (59%) が中枢神経障害、呼吸困難をきたして死亡したとの報告がある (DFGOT vol. 17 (2002)、ACGIH (7th, 2003)、PATTY (6th, 2012))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系、腎臓)、区分3(気道刺激性) |
危険 警告 |
H370
H335 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
ヒトでは本物質の蒸気750~1,000 ppm、数時間の吸入ばく露により、頭痛、めまい、吐き気、頻脈が認められたとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。また、本物質の経口摂取による急性毒性症状として、血尿、蛋白尿、乏尿を伴う腎障害が報告されている (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 17 (2002)、PATTY (6th, 2012))。さらにボランティアに本物質を3~5分間、吸入ばく露した試験で、75 ppm以上で鼻と喉の刺激が認められたとの報告がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1991)、ACGIH (7th, 2003)、DFGOT vol. 17 (2002))。実験動物では、ラットの単回吸入ばく露試験において、運動失調、振戦、痙攣、頻呼吸、一回換気量低下、突発性無呼吸による死亡がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 17 (2002)、PATTY (6th, 2012))。これらの症状がみられた用量の詳細な記載はないが、影響はLC50値付近の区分1~2の範囲で認められたと考えられる。また、マウスを用いた感覚刺激性試験で、本物質の吸入ばく露により呼吸数の低下が認められ、RD50値は1,173 ppm (6.5 mg/L) と報告されている (ACGIH (7th, 2003)、DFGOT vol. 17 (2002))。以上より本物質は中枢神経系と腎臓に影響を示し、また気道刺激性を有すると考えられる。したがって、区分1 (中枢神経系、腎臓)、区分3 (気道刺激性) とした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器、血液系、泌尿器系) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
ヒトについて、靴クリーム製造工場で本物質の主成分であるα-ピネンを取り扱う6名の作業者がめまい、酩酊感、顔面・頸部の紅斑と灼熱感、肛門部の掻痒感、排便痛、排尿痛を伴う尿意頻数を愁訴、メトヘモグロビン血症、脾臓の腫大、腎障害、膀胱潰瘍を伴う尿道膀胱炎、肛門湿疹、顔面・頸部の皮膚炎が認められたとの報告がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1991))。また、スウェーデンの製材所で平均気中濃度は254 mg/m3 (45 ppm)、濃度範囲は100~550 mg/m3 (18~98 ppm) のテレピン油にばく露された労働者の問診と肺機能検査を行った結果、ばく露群では咽頭の刺激症状、胸部圧迫感、咳の割合が多く、肺機能検査ではばく露者で正常範囲からはずれる数値 (1秒量の減少など) を示すものが多かったとの報告がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1991))。このほか、呼吸器系の炎症、腎臓の傷害の報告 (ACGIH (7th, 2003))、慢性の吸入により広範囲に及ぶ糸球体腎炎を引き起こすとの報告があった (PATTY (6th, 2012))。 以上から、区分1 (呼吸器、血液系、泌尿器系) とした。 新たな情報源を用いたため旧分類と分類結果が異なった。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 区分1 |
危険 |
H304 |
P301+P310
P331 P405 P501 |
本物質をヒトが誤嚥により気道に吸引した場合に特徴的な呼吸困難、急性肺浮腫及びチアノーゼを伴う化学性肺炎を生じる (ACGIH (7th, 2003)、DFGOT vol. 17 (2002)) との記述があり、区分1とした。なお、EU もAsp. Tox. 1に分類している (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。 また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。 * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。 * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。 ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。 他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |