GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 298-04-4
名称 ジチオリン酸O,O-ジエチル-S-(2-エチルチオエチル) (別名:ジスルホトン)
物質ID H29-B-075
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-
-
- -    引火点は133℃ (方式不明) (GESTIS (Access on July 2017)) は測定法が不明であるが、所定の密閉式測定法でも93℃超えと判断できるため区分外とした。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- -    分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- -    半金属 (P) を含むが、水溶解度は16.3mg/L (20℃) (HSDB (Access on july 2017)) との測定データが得られており、水と急激な反応はないと考えられる。
13 酸化性液体 分類できない
-
-
- -    フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素および水素以外の元素 (P) と結合しているが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分1


危険
H300 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
   ラットのLD50値として、2.0 mg/kg (雌) (JMPR (1975))、2.3 mg/kg (雌) (ACGIH (7th, 2002))、2.6 mg/kg (雌) (JMPR (1973))、6.8 mg/kg (雄) (ACGIH (7th, 2002))、12.5 mg/kg (雄) (JMPR (1973)) の5件の報告があり、3件が区分1、2件が区分2に該当する。件数の多い区分を採用して、区分1とした。
1 急性毒性(経皮) 区分1


危険
H310 P302+P352
P361+P364
P262
P264
P270
P280
P310
P321
P405
P501
   ラットのLD50値として、2.5~50 mg/kg (雄) (JMPR (1973))、15 mg/kg (雄) (ACGIH (7th, 2002)) との報告に基づき、区分1とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。なお、本物質の飽和蒸気圧濃度は0.20 ppm (0.0022 mg/L) と極めて低いため、蒸気でのばく露の可能性は低いと考えられる。旧分類は分類対象外としていたが、本物質はGHSの定義における液体であるため、分類結果を変更した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分1


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
   ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、0.015 mg/L (1.34 ppm) (雌)、0.06 mg/L (5.34 ppm) (雄) (ACGIH (7th, 2002))、1時間吸入ばく露試験のLC50値として、0.063 mg/L (5.6 ppm) (4時間換算値: 0.016 mg/L) (雌)、0.29 mg/L (25.8 ppm) (4時間換算値: 0.073 mg/L) (雄) (ACGIH (7th, 2002)) との報告があり、2件が区分1、2件が区分2に該当する。有害性の高い区分を採用し、区分1とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.0022 mg/L (0.20 ppm)) よりも高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
   ヒトにおいて重度の皮膚刺激性を有するとの記述 (EPA Pesticide (2006)、HSDB (Access on June 2017)) から、区分2とした。今回の調査で入手した情報をもとに区分を見直した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。重度の眼刺激性を有するとの記述 (EPA Pesticide (2006)、HSDB (Access on June 2017)) があるが、原典が確認できず試験の詳細が不明なため、分類できないとした。今回の調査で入手した情報をもとに区分を見直した。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。  
   
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。重度の皮膚感作性物質との記述 (EPA Pesticide (2006)) があるが、原典が確認できず試験内容が不明のため、分類できないとした。今回の調査で入手した情報をもとに区分を見直した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- -    ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性である (ATSDR (1995))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の結果、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性、マウスリンフォーマ試験で陽性、姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性の結果である (ATSDR (1995))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- -    ラットに2年間、マウスに99週間、最大16 ppm を混餌投与した発がん性試験において、組織学的に発がん性の証拠は認められなかったとの記述がある (ACGIH (7th, 2002))。既存分類では、EPAが1997年にグループEに (Chemicals Evaluated for Carcinogenic Potential, Annual Cancer Report (2016))、ACGIHが2002年にA4に分類している (ACGIH (7th, 2002))。以上より、分類年度が新しいACGIHの分類結果に基づき、分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   ラットを用いた混餌投与による2件の2世代試験のうち1試験では、高用量 (9 ppm) でF0、F1親動物に体重増加抑制と受胎率低下、F1、F2児動物に生存率低下がみられ (環境省リスク評価第5巻 (2006)、ACGIH (7th, 2002))、他の1試験では高用量 (9 ppm) で、F0、F1親動物に死亡、体重増加抑制、振戦とともに着床数及び同腹児数の減少が認められた (ACGIH (7th, 2002))。一方、妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6~15日) に強制経口投与した発生毒性試験では母動物には0.3 mg/kg/day 以上で血漿及び赤血球コリンエステラーゼ活性の阻害がみられたが、胎児には高用量 (1.0 mg/kg/day) でも軽微な影響 (骨化遅延) がみられただけであった (環境省リスク評価第5巻 (2006)、ACGIH (7th, 2002))。また、妊娠ウサギを用いた発生毒性試験でも、母動物毒性 (死亡、振戦など) がみられる用量で胎児毒性も催奇形性もみられなかった (ACGIH (7th, 2002))。
   以上、2件のラット2世代試験において、親動物の一般毒性用量で生殖発生影響 (受胎率低下、同腹児数減少、児の生存率低下) がみられたことから、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
   本物質は有機りん系殺虫剤であり、コリンエステラーゼを阻害する (ACGIH (7th, 2002))。ヒトでは本物質の経口、経皮、吸入ばく露による急性中毒症状として、霧視、頭痛、めまい、瞳孔収縮、筋肉痙攣、脱力感が認められ、大量にばく露した場合には嘔吐、腹痛、下痢、振戦、昏睡が起こるとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。呼吸障害の症状として、息切れ、呼吸抑制に加えて呼吸麻痺が起こる場合もあると報告されている (ACGIH (7th, 2001))。実験動物では、ラットの単回経口、経皮又は吸入ばく露試験で、興奮、流涎、流涙、尿及び便失禁、筋肉の線維束性攣縮に続いて痙攣、腹臥位、呼吸停止が認められたとの報告がある (JMPR (1973)、ACGIH (7th, 2002))。動物試験では影響がみられた用量の詳細な記載はないが、LD50値及びLC50値が区分1範囲に相当することから、影響はLD50値及びLC50値付近の区分1範囲の用量でみられたと考えられる。以上より区分1 (神経系) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系、呼吸器)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
   ヒトに関する情報はない。
   実験動物については、ラットを用いた13週間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、区分1のガイダンス値の範囲内である1.4 mg/m3 (90日換算: 0.001 mg/L) で血漿・赤血球・脳コリンエステラーゼ活性阻害、鼻甲介の炎症がみられている (環境省リスク評価第5巻 (2006)、JMPR (1991))。
   ラットを用いた13週間混餌投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である4 ppm (雄: 0.27 mg/kg/day、雌: 0.32 mg/kg/day) 以上で脳・血漿・赤血球コリンエステラーゼ活性阻害 (対照群より20%以上阻害)、16 ppm (雄: 1.1 mg/kg/day、雌: 1.3 mg/kg/day) でコリン作動性症状 (筋線維束攣縮、振戦、前肢握力低下、肛門周囲の汚染、排便) がみられている (ACGIH (7th, 2002))。ラットを用いた2年間混餌投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である1 ppm (0.04 mg/kg/day) 以上で赤血球・脳コリンエステラーゼ活性阻害、4 ppm (0.165 mg/kg/day) 以上で視神経の変性、ハーダー腺嚢胞性変化、16 ppm (0.65 mg/kg/day) で死亡率増加、コリン作動性症状、相対脳重量増加、前胃粘膜過形成・慢性炎症、角膜の血管新生がみられている (ACGIH (7th, 2002)、JMPR (1991)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、IRIS (1987))。
   ウサギを用いた3週間経皮投与試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である6.5 mg/kg/day (90日換算: 1.08 mg/kg/day) でコリン作動性影響 (筋痙攣、呼吸困難、流涎) 、死亡、血漿・赤血球コリンエステラーゼ活性阻害がみられている (JMPR (1991))。
   以上、視神経の変性については神経系に対する影響とし、鼻甲介の炎症を呼吸器に対する影響とした。したがって、区分1 (神経系、呼吸器) とした。
   新たな情報源を用いたため旧分類と分類結果が異なった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
   甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.013 mg/L(EPA AQUIRE:2017、Pesticide Ecotoxicity Database)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
   急速分解性がなく(BioWin)、甲殻類(オオミジンコ)の 21日間NOEC(繁殖阻害) = 0.000037 mg/L(EPA AQUIRE:2017, EPA Pesticide Ecotoxicity Database)であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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