GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 2451-62-9
名称 1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6 (1H,3H,5H)-トリオン (別名:トリグリシジルイソシアヌレート)
物質ID H29-B-047
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- -    可燃性 (ICSC (J) (1997)) との情報があるが、データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類できない
-
-
- -    自己反応性に関連する原子団 (歪みのある環) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- -    発火点は200℃(ICSC (J) (1997)) であり常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
   ラットのLD50値として、188~715 mg/kg (CICAD 8 (1998)) 及び255~950 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) との報告があり、いずれも区分3~4に該当する。有害性の高い区分を採用して、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- -    ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (CICAD 8 (1998)) 及び> 3,100 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) との報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHS定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- -    GHS定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分3


危険
H331 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P311
P321
P405
P501
   ラットの4時間吸入試験 (粉じん) のLC50値として、0.65 mg/L (CICAD 8 (1998)) との報告に基づき、区分3とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
   オーストラリアの粉末塗料製造工場で本物質を取扱う労働者28人中8人に皮膚の発疹などの刺激性がみられたとの記述 (NICNAS (1994)) や、ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質は軽度の紅斑と浮腫を伴う刺激性を示したとの報告 (CICAD 8 (1998), ACGIH (7th, 2001), NITE初期リスク評価書 (2008)) から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
   オーストラリアの粉末塗料製造工場で本物質を取扱う労働者28人中8人に眼の刺激性がみられたとの記述 (NICNAS (1994)) や、ウサギを用いた眼刺激性試験において中等度から強度の角膜混濁、発赤、結膜浮腫、眼脂を生じたが適用7日後までに回復したとの報告 (NICNAS(1994)) から、区分2Aとした。 なお、EU CLP分類において本物質はEye Dam. 1 に分類されている(ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
   本物質を含む粉末塗料又は色素粉末を取扱った塗装作業者の2件の事例において、本物質のばく露前にはアトピー性の基礎疾患はなかったが、塗装作業によるばく露後に咳、喘鳴、呼吸困難などを発症し、本物質の誘発試験による強制呼気量の低下から本物質による職業性喘息と結論されたとの報告 (NICNAS (2001)) から、区分1とした。
   
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
   職業ばく露により接触性皮膚炎を発症した患者が、本物質に対するパッチテストで陽性を示したとの報告 (ACGIH (7th, 2001)、NICNAS (1994)) から、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1 に分類されている(ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。また、モルモットによる皮膚感作性試験においては、本物質が皮膚感作性が陽性の報告 (CICAD 8 (1998), NICNAS (2001)) と陰性の報告 (NICNAS (2001)) がある。
5 生殖細胞変異原性 区分1B


危険
H340 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   In vivoでは、マウスを用いた優性致死試験で陰性、マウススポットテストで陰性、マウスの精原細胞を用いた染色体異常試験で陽性、陰性の結果、マウスの精母細胞を用いた染色体異常試験で陰性、チャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性の結果である (NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 8 (1998)、ACGIH (7th, 2001))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 8 (1998)、ACGIH (7th, 2001))。以上より、マウスの精原細胞を用いた染色体異常試験での陽性結果に再現性が確認されているため、ガイダンスに従い区分1Bとした。
6 発がん性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。なお、雄ラットに本物質を最長99週間、混餌投与 (10~100 ppm: 高用量の300 ppmでは死亡例発現のため63週間で試験終了) した試験では、投与に関連した腫瘍の増加はみられなかったとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、NICNAS (2001))。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   雄ラットに本物質を9週間混餌 (10~100 ppm) 投与後に通常飼料を給餌した雌と交配・分娩させた試験では、雄の授精能、胎児及び出生児の発達には影響はみられなかった (NITE初期リスク評価書 (2008)、NICNAS (2001)、CICAD 8 (1998))。一方、雄マウスに本物質の粉じんを5日間吸入ばく露後に非ばく露雌と8週間交配させた試験では、10 mg/m3で第3週に、50 mg/m3では第3週及び6週に授精能の低下が認められた (NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2001))。
   以上、雄の授精能を調べた2つの試験のうち、経口経路では無影響であったが、吸入経路では授精能低下が確認された。よって、雄性生殖能への影響を否定できず、本項は区分2とした。なお、旧分類は情報源がCICADのみに限られていたが、今回は情報源を拡げたため分類結果が異なった。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(造血系、呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
   本物質にはα型とβ型があり、ヒトについてはα型であるα-トリグリシジルイソシアヌレートは1980年代初期に抗腫瘍効果が期待されていた時期があり、がん患者への静脈内注射での報告があるが、注射部位に血栓性静脈炎を引き起こすために開発は中止された。α-トリグリシジルイソシアヌレートの静脈内注射では投与回数等の正確な投与形態は不明であるが、種々の投与形態で900 mg/kg まで投与されており、その毒性症状として骨髄抑制、吐き気、嘔吐があり、まれに脱毛と白血球減少が600 mg/kg 以上の高用量の場合にみられたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。
   実験動物では、本物質粉じんの4時間単回吸入ばく露試験で、ラットでは鼻粘膜の軽度の炎症と、死亡個体で肺の出血が認められたとの報告 (CICAD 8 (1998))、マウスでは自発運動低下、眼と呼吸器の刺激、鼻、眼、口周辺の痂皮形成、肺の変色が認められたとの報告 (CICAD 8 (1998)) がある。影響がみられた用量の詳細な記載はないが、これらの試験のLC50値はラットでは区分1範囲の0.65 mg/L 、マウスでは区分2範囲の2.0 mg/Lと報告されているため、気道の刺激と呼吸器への影響はLC50値付近でみられたと考えられる。
   以上より本物質はヒトの情報から造血系、実験動物の情報から呼吸器を標的臓器とすると考えられる。したがって区分1 (造血系、呼吸器) とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(造血系)、区分2(全身毒性)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
   本物質にはα型とβ型があり、ヒトについてはα型であるα-トリグリシジルイソシアヌレートは1980年代初期に抗腫瘍効果が期待されていた時期があり、がん患者への静脈内注射での報告があるが、注射部位に血栓性静脈炎を引き起こすために開発は中止された。α-トリグリシジルイソシアヌレートの静脈内注射では種々の投与形態で900 mg/kg まで投与されているが、その毒性症状として骨髄抑制、吐き気、嘔吐があり、まれに脱毛と白血球減少が600 mg/kg 以上の高用量の場合にみられたとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。
   実験動物については、雄ラットを用いた混餌による99週間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲内である300 ppm (13.6 mg/kg/day) で摂餌量の有意な減少、体重増加量の著しい減少 (-68%)、一般状態の悪化、生存率低下 (56%、他群は90-96%)、腸間膜リンパ節内に肥満細胞増多 (44/49 匹) ・ヘモジデリン沈着 (22/49匹) ・類洞出血 (24/49 匹)、脾臓リンパ球様細胞の枯渇、腸管の拡張 (十二指腸32/44、空腸30/45、回腸13/36) の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。
   以上、ヒトの結果から区分1 (造血系) とし、実験動物の結果から区分2 (全身毒性) とした。
   新たな情報を用いたことにより旧分類と分類結果が異なった。
   
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
-
-
- -    魚類(ゼブラフィッシュ)96時間LC50 >77 mg/L(NICNAS PEC:1994)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- -    慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(難分解性、BODによる平均分解度:0% (化審法DB:2002))、急性毒性区分外であることから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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