項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 105-60-2 |
名称 | ε-カプロラクタム |
物質ID | H29-B-040 |
分類実施年度 | 平成29年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
---|---|
分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | 可燃性 (ICSC (J) (2009)) との情報があるが、データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点は375℃ (GESTIS (Access on June 2017)) であり常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点が140℃以下の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 |
- |
- | - | 水溶解度4,650 g/L (20℃) (GESTIS (Access on June 2017)) との測定結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 |
P301+P312
P264 P270 P330 P501 |
ラットのLD50値として、1,475 mg/kg (雌)、1,876 mg/kg (雄) (いずれもSIDS (2003)) との報告に基づき、区分4とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分4 |
警告 |
H312 |
P302+P352
P362+P364 P280 P312 P321 P501 |
ウサギのLD50値として、1,410 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007)) との報告に基づき、区分4とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 |
- |
- | - | ラットを用いたエアロゾルの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、8.14 mg/L (ACGIH (7th, 2003))、8.16 mg/L (SIDS (2003)) との報告に基づき、区分外とした。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 |
P302+P352
P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
本物質は皮膚刺激性物質であるとの記述 (DFGOT vol. 4 (1992)) 、及びウサギを用いた皮膚刺激性試験において軽度の刺激性を有するとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2007)) から、区分2 とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Irrit. 2に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。今回の調査で入手した情報をもとに区分を見直した。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 |
警告 |
H319 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 P280 |
ウサギを用いた眼刺激性試験において、中等度の刺激性を有するとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2007)) があり、回復期間の情報はないことから、区分2とした。なお、EU CLP分類において本物質はEye Irrit. 2に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 |
- |
- | - | ヒトでの感作性試験において感作を示す反応はみられないとの記述 (SIDS (2003)) や、モルモットを用いた2件の感作性試験でいずれも陰性であるとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2007)) から、区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウススポットテストで不明瞭な結果、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験、染色体異常試験で陰性、マウスの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陰性、ラットの肝臓細胞を用いたDNA損傷試験、ラットの肝臓細胞、精母細胞を用いた不定期DNA合成試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、SIDS (2003)、IARC 71 (1999)、DFGOT vol. 4 (1992)、ACGIH (7th, 2003))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、マウスリンフォーマ試験、小核試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、SIDS (2003)、IARC 71 (1999)、DFGOT vol. 4 (1992)、ACGIH (7th, 2003))。 |
6 | 発がん性 | 区分外 |
- |
- | - | ラット及びマウスに2年間混餌投与した発がん性試験では、両種の雌雄いずれも体重増加抑制がみられる用量においても、投与に関連した腫瘍発生頻度の増加は認められなかった (NTP TR214 (1982)、IARC 71 (1999))。また、雄ラットを用いた多段階発がん性試験では、既知発がん物質 (イニシエーター) 前処置後に本物質10,000 ppm を16週間、又は6週間混餌投与した2つの試験で、肝臓のGST陽性巣の数、大きさに変化はなく、陰性の結果であった (IARC 71 (1999))。既存分類結果として、IARCがグループ4に (IARC 71 (1999))、ACGIHがA5に (ACGIH (7th, 2003)) 分類していることを踏まえ、本項は区分外とした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 |
警告 |
H361 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
ラットを用いた混餌投与による2つの3世代試験では各世代とも生殖毒性影響は認められなかった (NITE初期リスク評価書 (2007)、SIDS (2003)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、ACGIH (7th, 2003))。一方、妊娠ラット又は妊娠ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験のうち、ウサギの試験では母動物毒性 (体重増加抑制) がみられた150~250 mg/kg/dayまでの用量でも軽微な影響 (胎児体重低値、過剰肋骨) がみられただけであったが、ラットの試験では母動物に体重増加抑制が生じた1,000 mg/kg/day で胎児死亡率の増加、及び吸収胚の増加がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)、SIDS (2003)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、ACGIH (7th, 2003))。また、妊娠ラットに妊娠初期、又は器官形成期に吸入ばく露した試験では、母動物の一般毒性影響の有無は不明であるが、140 mg/m3以上で吸収胚の増加、受胎率の低下、出生時体重の減少が、475 mg/m3では胎児死亡の増加、妊娠期間の遅延、同腹児数の減少が認められた (環境省リスク評価第3巻 (2004)、Khadzhieva, E.D., Hyg. Sanit., 34, 28-31 (1969))。 以上、ラットの経口及び吸入経路での発生毒性試験で母動物毒性用量又は母動物毒性が不明な用量で胚/胎児死亡の増加、吸入経路では加えて生殖能への影響 (受胎率の低下、同腹児数の減少) がみられたことから、区分2とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(神経系)、区分3(気道刺激性) |
警告 |
H371
H335 |
P308+P311
P260 P264 P270 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
ヒトでは68 mg/m3の吸入ばく露で感覚神経刺激効果がみられたとの報告があり、気道刺激性を示すものであると記述されている (SIDS (2003))。実験動物では、ラットの単回経口投与試験で、用量の記載はないが、間代性痙攣が認められたとの報告がある (SIDS (2003))。この試験でのLD50値は雌で1,475 mg/kg、雄で1,875 mg/kgと報告されているため、症状はLD50値付近の区分2範囲の用量でみられたと考えられる。また、ウサギの単回経口投与試験で、1,000 mg/kgで筋攣縮、反弓緊張、激しい筋痙攣が認められ、全例が死亡したとの報告及び、ネコの単回経口投与試験で、1,000 mg/kgで興奮、流涎、反復性の重度筋攣縮が生じ、2 時間後に死亡したとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007))。吸入経路では、ラットを用いたエアロゾルの4時間吸入ばく露試験で、主な症状は閉眼、立毛、不規則呼吸であったとの報告がある (SIDS (2003))。症状がみられた用量の記載はないが、LC50値である8.1 mg/L付近の区分2超と考えられる。以上より区分2 (神経系)、区分3 (気道刺激性) とした。旧分類が使用したCERIハザードデータ集は、現行ガイダンスではList 3の情報源であるため採用しなかった。したがって分類結果を変更した。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
ヒトについては、ばく露濃度は不明であるが、本物質を原料としたナイロン6加工機から放出された煙霧のばく露に関連した呼吸器障害が6症例報告されており、眼、鼻、上気道の刺激の後に、気管支の反応亢進、喘息反応、肺機能の低下の症状を含む呼吸器障害がみられ、本物質が原因と考えられているとの報告がある (環境省リスク評価 第3巻 (2004))。 実験動物については、ラットを用いたエアロゾルによる13週間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、区分2のガイダンス値の範囲内である70 mg/m3 (90日換算値: 0.05 mg/L) 以上で鼻甲介呼吸粘膜の杯細胞で中等度の肥大及び過形成、嗅粘膜上皮細胞内のエオジン好性物質の蓄積、咽頭部腹側上皮でわずかな扁平上皮化生・過形成、243 mg/m3 (90日換算値: 0.18 mg/L) で咽頭部腹側上皮で化生上皮の角質化がみられている (環境省リスク評価第3巻 (2004)、NITE初期リスク評価書 (2007)、SIDS (2003))、このほか、経口経路については、ラット、マウスを用いた混餌による13週間~2年間反復経口投与毒性試験が複数実施されており、区分2のガイダンス値の範囲内では雄ラット特有の腎臓病変 (尿細管の硝子変性) がみられる例があるものの、分類根拠となる影響はみられていない。 以上から区分1 (呼吸器) とした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 |
- |
- | - | 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)72時間EC50 >1,000 mg/L(環境省生態影響試験:2017)、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 >500 mg/L(OECD SIDS:2001)、魚類(メダカ)96時間LC50 >100 mg/L(環境省生態影響試験:2017、環境省環境リスク評価(第3巻):2004、NITE初期リスク評価書 :2007)であることから、区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 |
- |
- | - | 急速分解性があり(良分解性、BODによる分解度:82% (化審法DB:1983))、蓄積性がなく(LogKow:-0.19 (環境省環境リスク評価(第3巻):2004))、藻類 (Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC(速度法)= 1,000 mg/L(環境省生態影響試験:2017)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖阻害)= 100 mg/L(環境省環境リスク評価(第3巻):2004)であることから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし |
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。 また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。 * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。 * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。 ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。 他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |