GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 72-54-8
名称 1,1-ジクロロ-2,2-ビス(4-クロロフェニル)エタン (別名:p,p'-DDD)
物質ID H29-A-011
分類実施年度 平成29年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- -    爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- -    エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- -    分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- -    データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- -    融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- -    金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- -    フッ素及び酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- -    分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- -    固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
   ラットのLD50値として、113 mg/kg (HSDB (Access on August 2017)、原典: Montgomery, J.H.; Agrochemical's Desk Reference 2nd ed. Lewis Publishers, Boca Raton, FL (1997), p. 131、LD50値の出典はGuide to the Chemicals Used in Crop Protection (Information Canada, 171 Slater St., Ottawa, Ont., Canada), vol. 6, p. 154 (1973))、400 mg/kg (ATSDR (2002)、原典: Ben-Dyke R.; Sanderson D, Noakes D. 1970. Acute toxicity data for pesticides (1970). World Rev Pestic Cont 9:119-127、原典にはLD50値400~4,000 mg/kgと記載)、3,400 mg/kg (HSDB (Access on August 2017)、原典: Montgomery, J.H.; Agrochemical's Desk Reference 2nd ed. Lewis Publishers, Boca Raton, FL (1997), p. 131))、4,000 mg/kg (ATSDR (2002)、原典: Gaines T.; Acute toxicity of pesticides. Toxicol Appl Pharmacol 14:515-534 (1969)、原典にはLD50値 > 4,000 mg/kgと記載)) との4件の報告がある。
   原典に記載のLD50値は、113 mg/kg、400~4,000 mg/kg、3,400 mg/kg、> 4,000 mg/kgとなり、LD50値が広範囲にわたるため、有害性の高い区分を採用して、区分3とした。
   
1 急性毒性(経皮) 区分4


警告
H312 P302+P352
P362+P364
P280
P312
P321
P501
   ウサギのLD50値として、1,200 mg/kg (HSDB (Access on August 2017)) との報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- -    GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- -    ヒトおよび動物の皮膚に対して軽度 (Slightly) の刺激性を示すとの記載 (HSDB (Access on August 2017)) から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
   本物質へのばく露により、眼への刺激性を示す可能性があるとの記載 (HSDB (Access on August 2017)) から、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
   
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性である (NTP DB (Access on August 2017))。
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
   ラット及びマウスに工業用の本物質 (p,p'-DDD: 本物質約60%、19種以上の不純物を含有) を78週間混餌投与後、ラットは35週間、マウスは15週間放置後に計画屠殺した発がん性試験において、雌ラット及び雌雄マウスに発がん性の証拠はなかったが、雄ラットでは低用量 (1,648 ppm) 群で甲状腺の濾胞細胞腺腫及び濾胞細胞がんの合計頻度に有意な増加がみられ (高用量 (3,294 ppm) 群は増加傾向のみで非有意)、発がん性の可能性が示唆されたが、対照群の雄にも甲状腺の腫瘍がみられたことから、NCIはこの結果について確定的な解釈は可能でないと結論した (NTP TR131 (1978)、IRIS (1988))。一方、本物質をマウスに130週間混餌投与した試験では42.6 mg/kg/day 相当で雌雄に肺腫瘍及び雄に肝臓腫瘍の頻度増加がみられた (IRIS (1988)、ATSDR (2002))。EPAは実験動物では発がん性の十分な証拠があり、かつ本物質がDDT (ジクロロジフェニルトリクロロエタン: CAS番号 50-29-3) の既知代謝物であることを根拠に本物質をB2 (Probable human carcinogen) に分類した (IRIS (1988))。
   以上、動物試験結果及び既存分類結果より区分1Bとした。なお、親化合物のDDTの発がん分類について、IARCは従来のグループ2Bからグループ2Aに変更すると発表している (IARC Press release No. 236 (2015))。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。なお、ラットへの本物質投与により性成熟の早期化が示され、投与量と膣開口日齢と間に逆相関がみられたとの記述がある (HSDB (Access on August 2017))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。
   なお、実験動物については、ラット、マウスを用いた78週間混餌投与試験において、用量に依存した体重増加抑制の報告がある (NTP TR131 (1978))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- -    データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
   甲殻類(ヨコエビ)96時間LC50 = 0.0006 mg/L(NLM HSDB:2015、EPA AQUIRE:2017, Mayer,F.L.et al(1986))であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
   慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(BioWin)、急性毒性区分1であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- -    データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
* 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
* 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
* 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
* 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

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