GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 333-41-5
名称 ダイアジノン
物質ID H28-B-023, C-034B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-

-
- -   引火点 > 100℃ (GESTIS (Access on May 2016)) に基づいて区分外とした。
7 可燃性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-

-
- -   発火点は > 400℃ (HSFS (Access on May 2016)) であり常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類対象外
-

-
- -   分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-

-
- -   水溶解度(0.06 g/L (ICSC (2004))) が測定されており、水と激しく反応しないと推定される。
13 酸化性液体 分類できない
-

-
- -   酸素を含み、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合している有機化合物であるが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4

警告
H302 P264
P270
P301+P312
P330
P501
  ラットのLD50値として、区分3に該当する報告が1件 (300 mg/kg)、区分4に該当する報告が9件 (422 mg/kg〜1,350 mg/kg)、区分外に該当する報告が1件 (> 2,150mg/kg) ある (JMPR (2006)、食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。
  以上から、該当する報告の多い区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分4

警告
H312 P280
P302+P352
P312
P321
P362+P364
P501
  ラットのLD50値として876 mg/kg、1,440 mg/kg、1,670 mg/kgがある (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。
  以上から、区分3に該当する報告が1件、区分4に該当する報告が2件であるため、該当する報告が多い区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4

警告
H332 P261
P271
P304+P340
P312
  ラットのLC50値として、3.10 mg/L (4時間) (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1989)) の報告が1件、3,500 mg/m3 (3.50 mg/L) (4時間) (ACGIH (7th, 2003)、環境省環境リスク評価第4巻 (2005)、PATTY (6th, 2012)) の報告が3件、> 5.44 mg/L (4時間) の報告が2件 (HSDB (Access on May 2016))、区分4に該当する報告が4件、区分外に該当する報告が2件であることから、該当する報告の件数の多い区分4とした。
  なお、この値は飽和蒸気圧濃度 (0.001 mg/L) より大きいため、ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-

-
- -   ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、わずかな刺激性を示した (EHC 198 (1998)) との報告から区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外
-

-
- -   ウサギを用いた眼刺激性試験においてわずかな刺激性がみられたとの報告 (EHC 198 (1998)) から、区分外とした。
  情報源の見直しに伴い、分類に用いる情報源を変更した。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1

警告
H317 P261
P272
P280
P302+P352
P333+P313
P321
P362+P364
P501
  モルモットを用いたビューラ試験で陰性との報告 (EPA pesticide (2006)、ACGIH (7th, 2003)) や、感作性物質ではないとする記載 (PATTY (6th, 2012)) がある一方で、モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で、皮膚感作性は陽性との報告 (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014)) がある。
  また、個別文献 (Contact Derm. 54 (2006)) においても、ヒトに対するアレルギー性接触皮膚炎の事例があり、モルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で陽性 (グレードV) と報告されていることから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   In vivoでは、ラット末梢血、マウス骨髄細胞の小核試験、ウサギの肝臓、腎臓を用いるDNA損傷試験で陽性、マウスの優性致死試験、マウスの精原細胞、精母細胞を用いる染色体異常試験、マウス骨髄細胞の小核試験、姉妹染色分体交換試験で陰性である (EHC 198 (1998)、IARC 112 (2015))。
  最近の知見で、JMPR (2016) は本物質には遺伝毒性はなさそうであると評価している。
  EHC 198 (1998) ではin vivoの知見はすべて陰性結果であるが、IARC 112 (2015) で報告されているin vivo小核試験やDNA損傷試験の陽性結果は低純度(製剤)の知見も含まれている。
  In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、姉妹染色分体交換試験、小核試験、染色体異常試験ともに陽性、陰性の結果である (EHC 198 (1998)、ACGIH (7th, 2003)、ATSDR (2008)、PATTY (6th, 2012)、JMPR (1993)、IARC 112 (2015)、NTP DB (Access on June 2106))。
   以上より、in vivoの知見は相反するが、JMPR (2016) の最新知見を採用し、分類できないとした。
6 発がん性 区分1B

危険
H350 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ヒトでは本物質ばく露と非ホジキンリンパ腫、白血病、及び肺がんとの間に正の相関がみられることから、IARCはヒトでの発がん性に関し限定的な証拠があると結論した (IARC 112 (2015))。
  一方、実験動物ではラットに混餌投与した2つの試験のうち1つで白血病とリンパ腫の合計発生頻度の増加 (雄のみ、用量相関なし) がみられ、マウスを用いた混餌投与試験では雄の低用量群で肝細胞がんの増加が雄にみられた (IARC 112 (2015))。
  IARC の作業グループはいずれの所見も雄のみで用量相関性を欠くことから、被験物質投与と明確に関連した影響とは言えず、実験動物での発がん性の証拠は限定的であると結論した。
  ただ、本物質は作用機序の面からヒト発がん物質として作用する強力な証拠があるとして、IARCはヒト及び実験動物での限定的な証拠と作用機序の強力な証拠に基づき、本物質の発がん性分類をグループ2Aとした (IARC 112 (2015))。
   以上、IARCの最新評価を踏まえて、本項は区分1Bとした。
  従前の既存分類結果としてはEPAのNL (EPA Chemicals Evaluated for Carcinogenic Potential (2006))、ACGIHのA4 (ACGIH (7th, 2003)) があるが、ガイダンスに従ってIARC及び新しい分類を優先した。
  なお、実験動物での発がん性に関して、JMPRはラット、マウスでは発がん性はないと結論している (JMPR (2016))。
7 生殖毒性 区分2

警告
H361 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ラットに混餌投与した2世代繁殖毒性試験において、親動物には100 ppm以上で体重増加抑制、500 ppm で交尾率及び妊娠率の低下、振戦、妊娠期間延長が、児動物では100 ppm以上で死亡、体重増加抑制、500 ppm で同腹児数、生存児数の減少がみられた (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。
  また、雄ラットに65日間経口投与した結果、生殖器官重量の減少、形態異常精子の割合の増加、血漿テストステロン濃度の低下がみられ、投与した雄と未処置雌との交配で受胎率の低下が認められたとの記述 (ATSDR (2008))、雄イヌに8ヶ月間経口投与した結果、精巣萎縮及び精子形成の完全阻害が認められたとの記述 (ATSDR (2008)、ACGIH (7th, 2003)) がある。
  一方、催奇形性試験としては妊娠ラット又は妊娠ウサギの器官形成期に強制経口投与した各2試験において、ラットでは母動物毒性の有無に関わらず胎児に骨化遅延又は骨格変異がみられたのみで、ウサギの試験では1つは母毒物毒性発現量以下で低体重がみられたが、他1試験では母動物毒性が顕著な用量でも胎児に毒性影響はみられず、催奇形性はなく発生毒性も分類根拠とならない最小限の影響であった (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。
   以上、親動物への一般毒性発現量における生殖能への影響 (交尾率、受胎率の低下) に加えて、雄動物の精巣機能への影響が報告されていることから、本項は区分2とした。
  
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系)

危険
H370 P260
P264
P270
P308+P311
P321
P405
P501
  本物質はコリンエステラーゼ阻害剤であり、事故または意図的に本物質を経口摂取したヒトでは、吐き気、嘔吐、腹痛、頭痛、瞳孔収縮、頻脈、大量発汗、流涎、運動失調、筋肉痙攣が起こり、また本物質を含む殺虫剤の噴霧後の吸入による頭痛、視力障害、めまい、疲労感、吐き気、嘔吐の症状が報告されている。
   (ACGIH (7th, 2003))。
  またラットを用いた単回経口ばく露試験では活動性低下、運動性失調、振戦が、単回吸入ばく露試験では活動性低下と流涎が区分1のガイダンス値範囲の用量で認められたとの報告がある (ACGIH (7th, 2003))。
  以上より区分1 (神経系) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系)
区分2(肝臓、腎臓、血液系、生殖器 (男性))

危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
  ヒトに関する情報はない。
   実験動物では、経口経路では、イヌを用いた強制経口投与による90日間反復投与毒性試験において、区分1の範囲である3 mg/kg/day以上で赤血球及び脳アセチルコリンエステラーゼ活性阻害、区分2の範囲である10 mg/kg /dayで血液への影響 (赤血球数、ヘモグロビン 及びヘマトクリット値減少)、肝臓への影響 (雄で肝門脈周囲炎症細胞浸潤、AST、ALT、アルカリ性ホスファターゼ及びGGT活性の増加、雌で肝胆管増生)、腎臓への影響 (雄で腎近位尿細管脂肪化、雌で腎尿細管上皮再生) 等がみられ、8ヵ月間の強制経口投与試験では、区分2の範囲である10または20 mg/kg/day投与群で死亡、嘔吐、下痢、筋攣縮等のコリン作動性所見及び骨髄球増加、肝硬変、肝臓の巣状壊死等、精巣萎縮及び精子形成阻害、腎臓の萎縮、尿細管及び糸球体の変性を伴う腎炎が認められた。
  ラットを用いた混餌投与による複数の試験において区分1の範囲で神経系への影響 (赤血球あるいは脳のアセチルコリンエステラーゼ活性の20%以上の阻害) が認められている (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。
   経皮経路では、ウサギを用いた21日間経皮投与毒性試験において、概ね区分1の範囲である100/50 mg/kg/day (最初100 mg/kg/dayで投与し、死亡が生じたため最後7日間は50 mg/kg/dayで投与、ガイダンス値換算: 22.3/11.7 mg/kg/day) 投与群において赤血球及び脳アセチルコリンエステラーゼ活性の20%以上の阻害が認められている (食品安全委員会農薬・動物用医薬品評価書 (2014))。
   したがって、区分1 (神経系)、区分2 (肝臓、腎臓、血液系、生殖器 (男性)) とした。
   なお、赤血球や脳のアセチルコリンエステラーゼ活性の阻害 (20%以上) について神経系への影響としたため、分類が変更となった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1

警告
H400 P273
P391
P501
  甲殻類(ヨコエビ)EC50(時間不明) = 0.20 ppb (U.S. EPA: RED, 2006)であることから、区分1とした
11 水生環境有害性(長期間) 区分1

警告
H410 P273
P391
P501
  急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:0%(既存点検, 1979)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.17 ppb (U.S.EPA: RED, 2006)であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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