GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 650-51-1
名称 ナトリウム=2,2,2-トリクロロアセタート
物質ID H28-A-031, C-078A
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   フッ素を含まず、塩素及び酸素を含む有機化合物であるが、この塩素、酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-

-
- -   ラットのLD50値として、3,320 mg/kg (HSDB (Access on June 2016)、BUA 167 (1995))、3,000〜5,000 mg/kg (HSDB (Access on June 2016))、5,060 mg/kg (BUA 167 (1995))、6,200 mg/kg (BUA 167 (1995))、6,900 mg/kg (BUA 167 (1995)) の5件の報告がある。
  したがって区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-

-
- -   ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (雌雄) (BUA 167 (1995)) との報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外
-

-
- -   ラットのLC50値 (4時間) として、> 32,540 mg/m3 (BUA 167 (1995)) との報告に基づき、区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-

-
- -   ウサギに90 %溶液 (1% aqueous methydroxyethyl cellulose) を24時間閉塞適用した皮膚刺激性試験において、刺激性が認められないことから (BUA 167 (1995))、区分外とした。
  なお、同様の溶液を8時間/日で5日間閉塞適用でも、刺激性はみられなかった (BUA 167 (1995))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
絵表示なし


警告
H320 P264
P305+P351+P338
P337+P313
  ウサギに90 %溶液 (媒体:1%メチルヒドロキシエチルセルロース) を適用した眼刺激性試験において発赤が生じ、48時間後でも、軽減されたものの残っていたことから (BUA 167 (1995))、区分2Bとした。
  
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、モルモットの皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で、トリクロロ酢酸は陰性であったとの報告がある (BUA 167 (1995)) が、ナトリウム塩のデータは入手できなかった。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
6 発がん性 区分2

警告
H351 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ヒトの発がん性に関する情報はない。
  実験動物ではトリクロロ酢酸 (TCA) を水酸化ナトリウムで中和してマウスに飲水投与した複数の発がん性試験において、雌雄に肝臓腫瘍 (肝細胞腺腫/肝細胞がん) の増加がみられており、IARCはTCAの発がん性をグループ2Bに分類した (IARC 106 (2014))。
  TCAの発がん性分類に関してはACGIHがA3に (ACGIH (7th, 2001))、EPAがSに (IRIS Summary (2011)) 分類している。
  以上、TCAの動物試験結果に基づく分類結果は本物質の発がん性分類にも適用可能と考え、本項は区分2とした。
7 生殖毒性 区分2

警告
H361 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  本物質自体の試験結果はないが、トリクロロ酢酸 (TCA) を妊娠ラットに強制経口投与 (妊娠6〜15日) した試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、腎臓・脾臓重量増加) がみられる用量で、胚吸収の増加、胎児重量の減少に加えて、心血管系奇形や骨格奇形の発生頻度の増加がみられた (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on June 2015))。
  この結果を本物質にも適用し、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器)
区分3(麻酔作用)


警告
H371
H335
H336
P260
P264
P270
P308+P311
P405
P501
P261
P271
P304+P340
P312
P403+P233
  ヒトでは本物質の吸入により、鼻腔、咽頭腔、気管及び肺の痛みを伴う刺激が報告されている (BUA 167 (1995))。
  List 2の資料であるため、区分2 (呼吸器) とした。
  また投与量の詳細な記載はないが、ラットの単回経口ばく露試験で、運動失調、鎮静、反射の減弱、昏睡が、イヌの単回経口ばく露試験で鎮静と昏睡がみられたとの記載がある (BUA 167 (1995))。
  したがって区分3 (麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-

-
- -   ヒトについては吸入による眼刺激、呼吸器の刺激による咳の報告があるが、反復ばく露の特定標的臓器としての影響は報告されていない。
   実験動物では、ラットにおいて混餌投与による4ヵ月間あるいは104週間反復投与毒性試験において区分2を超える範囲で体重増加抑制の報告があるが、重篤な影響はみられていない。
  イヌでは混餌投与による90日間反復投与毒性試験において区分2を超える用量である2,000 ppm (120 mg/kg/day) で、体重増加抑制、一般状態悪化、歯肉及び口腔粘膜壊死、貧血、白血球増多症、尿の所見、肝臓・心筋・骨格筋の傷害、精子産生の障害が報告されている (BUA 167 (1995))。
   区分2までの範囲内で影響が報告されていないことから、分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
-

-
- -   魚類(アメリカナマズ)の96時間LC50 > 2000 mg/L (AQUIRE, 2016、Clemens and Sneed, 1959)とのデータが得られており、本データにおいては影響がなかったことが示されている。
  しかし、本物質はEUにおいて、水生環境有害性の急性、慢性分類がともに区分1と分類されており、有害性が懸念されている可能性があることから、区分外とはせず、分類できないとした。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
-

-
- -   信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
   魚類(アメリカナマズ)の96時間LC50 > 2000 mg/L (AQUIRE, 2016、Clemens and Sneed, 1959)であるが、本物質はEUにおいて、水生環境有害性の急性、慢性分類がともに区分1と分類されており、有害性が懸念されている可能性があることから、区分外とはせず、分類できないとした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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