GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 683-18-1
名称 ジブチルスズジクロリド
物質ID H28-A-023, C-068A
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-

-
- -   可燃性 (HSDB (Access on June 2016)) であるが、データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-

-
- -   半金属 (Sn) を含むが、水溶解度は92 mg/L (SRC (Access on June 2016)) との測定データが得られており、水と急激な反応はしないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   塩素を含むが、有機スズ塩の陰イオンで、酸化性には寄与しない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   融点が55℃以下の固体状の物質ではあるが、データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3

危険
H301 P264
P270
P301+P310
P321
P330
P405
P501
  ラットのLD50値として、58.28 mg/kg (SIDS (2009))、100 mg/kg (PIM 586 (1994)、HSDB (Access on June 2016))、219 mg/kg (SIDS (2009)、CICAD 73 (2006)) の3件の報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2

危険
H330 P260
P271
P284
P304+P340
P310
P320
P403+P233
P405
P501
  ラットのLC50値 (4時間) として、59 mg/m3 (SIDS (2009)、CICAD 73 (2006)) との報告に基づき、区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1

危険
H314 P260
P264
P280
P301+P330+P331
P303+P361+P353
P363
P304+P340
P310
P321
P305+P351+P338
P405
P501
  ウサギの皮膚刺激性試験で重度の刺激性があり (SIDS (2009))、ラットの経皮ばく露でも腐食性が報告されている (CICAD 73 (2006))。
  ヒトでも刺激性が報告されていることから (PIM 586 (1994)、環境省リスク評価第8巻 (2010))、区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1

危険
H318 P280
P305+P351+P338
P310
  ウサギの眼刺激性試験において重度の刺激性がみられたことから (SIDS (2009))、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2

警告
H341 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  In vivoでは、ラット、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性、陰性の結果 (CICAD 73 (2006)、環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陽性、陰性の結果、染色体異常試験で陽性である (ATSDR (2005)、CICAD 73 (2006)、環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))。
  以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
6 発がん性 分類できない
-

-
- -   ACGIHが有機スズ化合物に対し、A4に分類している (ACGIH (7th, 2001)) ため、本項は分類できないとした。
7 生殖毒性 区分1B

危険
H360 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ラットに雄は交配2週間前から交配期間を含む28日間、雌はさらに妊娠・分娩を経て哺育終了時まで混餌投与した結果、親動物に体重増加抑制 (雌雄)、胸腺の重量減少とリンパ球枯渇 (雌)、卵巣嚢胞の増加がみられる用量で、出産率の低下、産児数の減少、出生児の生存率低下と体重増加抑制がみられた (環境書リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))。
  また、妊娠ラットの器官形成期に投与した複数の発生毒性試験において、母動物に体重増加抑制、摂餌量減少、一部死亡例がみられる用量、又はそれ以下の用量で、着床後胚損失の増加、胎児に胎児重量の減少、外表奇形 (外脳症、下顎裂、口蓋裂、舌癒合、臍ヘルニアなど)、骨格奇形 (頸椎・胸椎の椎弓/椎体の癒合・欠損、肋骨の癒合・欠損など)、無眼球・小眼球など様々な奇形発生の頻度増加がみられている (環境書リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009)、CICAD 73 (2006))。
  以上より、本項は区分1Bとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器)

危険
H370 P260
P264
P270
P308+P311
P321
P405
P501
  ヒトでの本物質の単回ばく露のデータはない。
  実験動物ではラットを用いた1時間の単回吸入ばく露試験で0.64 mg/L (4時間換算値0.16 mg/L) 以上の濃度で鼻からの出血、あえぎと喘鳴を伴う呼吸困難が認められたとの記載がある (SIDS (2009))。
  したがって区分1 (呼吸器) とした。
  なお、ラットの単回経口ばく露試験で致死量近くの200 mg/kgで無関心、呼吸困難、下痢が認められたとの記載がある (SIDS (2009))。
   また、ジブチルスズオキシド (CAS番号 818-08-6)、マレイン酸ジブチルスズ (CAS番号 78-04-6)、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート) (CAS番号 10584-98-2) は、人工胃液中で加水分解されて本物質を生じることが報告されている (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))。
  さらに、本物質、ジブチルスズジラウラート (CAS番号 77-58-7)、マレイン酸ジブチルスズ 、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート)、ジブチルスズビス(イソオクチル=チオグリコレート) (CAS番号 25168-24-5) は加水分解によりジブチルスズオキシドを生じることが報告されている (環境省リスク評価第8巻 (2010))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、免疫系)

危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
  ヒトに関する情報はない。
   実験動物については、ラットを用いた混餌による2週間反復投与毒性試験において、区分1相当である0.005% (90日換算、ガイダンス値換算:0.39 mg/kg/day) で免疫系への影響 (胸腺・脾臓・膝窩リンパ節相対重量減少、胸腺萎縮)、0.015% (90日換算、ガイダンス値換算:1.17 mg/kg/day) で肝臓への影響 (肝臓の相対重量増加、胆管周囲の炎症・線維化を伴った重度の胆管上皮細胞の増生)、免疫系への影響 (胸腺皮質のリンパ球の枯渇) の報告がある (環境省リスク評価第8巻 (2010)、CICAD 73 (2006))。
  また、同じくラットを用いた混餌による4週間反復投与毒性試験、6週間反復投与毒性試験においても区分1の範囲で免疫系への影響として、胸腺皮質のリンパ球枯渇、ヒツジ赤血球に対する抗体応答の低下や他のラットの尾の皮膚移植片に対する同種移植拒絶反応の遅延 (低下) 等が報告されている (環境省リスク評価第8巻 (2010)、CICAD 73 (2006)、PIM 586 (1994))。
   したがって、区分1 (肝臓、免疫系) とした。
   なお、ジブチルスズオキシド (CAS番号 818-08-6)、マレイン酸ジブチルスズ (CAS番号 78-04-6)、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート) (CAS番号 10584-98-2) は、人工胃液中で加水分解されて本物質を生じることが報告されている (環境省リスク評価第8巻 (2010)、SIDS (2009))。
  また、本物質、ジブチルスズジラウラート (CAS番号 77-58-7)、マレイン酸ジブチルスズ 、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート)、ジブチルスズビス(イソオクチル=チオグリコレート) (CAS番号 25168-24-5) は加水分解によりジブチルスズオキシドを生じることが報告されている (環境省リスク評価第8巻 (2010))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1

警告
H400 P273
P391
P501
  藻類(セネデスムス)96時間ErC50 = 0.04 mg/L(CICADs 73, 2006)から、区分1とした
11 水生環境有害性(長期間) 区分1

警告
H410 P273
P391
P501
  急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 10.5μg/L(SIDS, 2006)から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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