GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 123-30-8
名称 パラ-アミノフェノール
物質ID H28-B-07-METI, M-006B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 経済産業省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
  なお、可燃性としいう情報 (HSDB (Access on October 2016)) がある。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-

-
- -   発火点が > 250℃ (GESTIS (Access on October 2016)) であり、常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- -   金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4

警告
H302 P264
P270
P301+P312
P330
P501
  ラットのLD50値として、671 mg/kg (SIDS (2010)) の報告に基づき、区分4とした。
   なお、旧分類時に用いたRTECS (2006) のデータは詳細不明であるため、採用しなかった。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-

-
- -   ラットのLD50値として > 5,000 mg/kg (SIDS (2010)) の報告に基づき、区分外とした。
  SIDS (2010) では信頼性4 (信頼性評価不能) とされている試験ではあるが、SIAR (2010) に採用されているため、専門家判断によって採用した。
   なお、旧分類時に用いたIUCLID (2000)、RTECS (2006) のデータは詳細不明であるため、採用しなかった。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4

警告
H332 P261
P271
P304+P340
P312
  ラットの1.3時間LC50値として、> 5.91 mg/L (4時間換算値: > 1.92 mg/L) (SIDS (2010)) との報告があり、区分4〜区分外に相当する。
  有害性の高い区分を採用し、区分4とした。
  SIDS (2010) では信頼性4 (信頼性評価不能) とされている試験ではあるが、SIAR (2010) に採用されているため、専門家判断によって採用した。
   なお、旧分類時に用いたIUCLID (2000) のデータは詳細不明であるため、採用しなかった。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-

-
- -   ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質を4時間閉塞適用した結果、刺激性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2010))。
  以上より、区分外とした。
  旧分類の情報はList 3又は入手不可能であるため分類に用いなかった。
  情報の更新により区分を変更した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外
-

-
- -   ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、本物質の原液を適用した結果わずかな刺激性がみられ、AOI (急性眼刺激指数) は9.33であったとの報告がある (SIDS (2010))。
  AOIに基づき、区分外とした。
  旧分類の情報はList 3又は入手不可能であるため分類に用いなかった。
  情報の更新により区分を変更した。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  旧分類の情報は具体的な症例ではないため区分に用いるには不十分と判断し区分を変更した。
  
4 皮膚感作性 区分1

警告
H317 P261
P272
P280
P302+P352
P333+P313
P321
P362+P364
P501
  モルモットを用いた皮膚感作性試験 (パッチテスト) において、本物質による感作性が報告されている (SIDS (2010))。
  またヒトにおいても、複数の症例においてパッチテストによる陽性反応が認められている (SIDS (2010))。
  以上より、SIDS (2010) は本物質を感作性物質と評価している。
  以上より、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2

警告
H341 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  In vivoでは、ラットの優性致死試験で陰性、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性である (SIDS (2010)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016))。
  In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で陽性、遺伝子突然変異試験で陰性、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性である (SIDS (2010)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016)、NTP DB (Access on October 2016))。
  以上より、ガイダンスに従い区分2とした。
6 発がん性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 区分2

警告
H361 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ラットを用いた経口経路 (強制経口投与) による簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) において、雄4/12例、雌2/12例が死亡した高用量 (500 mg/kg/day) では雄親動物に精巣の精母細胞、精子細胞の減少、セルトリ細胞の空胞化、精巣上体管腔内精子数の減少及び生殖細胞の残渣が、雌親動物に性周期の異常、妊娠期間の延長、分娩率の低下が認められ、児動物には生存率の低下 (生後4日) 及び体重の低値 (生後0及び4日) がみられた (SIDS (2010)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016))。
  このように、親動物の雌雄生殖器官・性機能への影響、児動物の生存率低下がみられたが、親動物が高率に死亡 (雄33%、雌17%) する用量での所見であり、本試験結果は分類に用いるには適切なデータではないと考えられた。
  一方、雌ラットに13週間混餌投与し、その後無処置雄と交配させ、妊娠20日まで同様に投与した試験では母動物に体重増加抑制がみられる用量を上回る用量で吸収胚の増加、胸骨分節の骨化遅延、骨格変異 (過剰肋骨) がみられたに過ぎない (SIDS (2010)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。
  この他、妊娠ラットに妊娠11日に強制経口投与した試験では、母動物毒性 (体重低下) がみられる用量で児動物に尾の異常や後肢の麻痺がみられたとの報告がある (SIDS (2010)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。
   以上、ラット簡易生殖毒性試験でみられた生殖発生影響は親動物が高率に死亡する用量下での影響であった。
  しかし、他の試験では妊娠ラットに母動物毒性発現量で、児動物に尾の異常、後肢の麻痺がみられたとの報告があり、本項は区分2が妥当と判断した。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  本物質がヒトでメトヘモグロビン血症を起こすとの記述 (環境省リスク評価第5巻 (2006)、HSDB (Access on October 2016)) があるが、詳細が確認できない。
  旧分類がヒトでのメトヘモグロビン血症発症の根拠としたPATTY (4th, 1999) の情報は、元文献がマウスを用いた腹腔内投与実験の論文及びMerck Indexであり、更にPATTY第5版及び第6版には記載されていないため、ヒトへの影響の根拠としては不十分であると考えられる。
  実験動物ではラットの単回経口投与試験で、LD50値は671 mg/kgであり、症状として嗜眠と立毛が認められたという報告 (SIDS (2010)) があるが、これらの情報のみでは標的臓器を特定できない。
  また本物質のマウスへの単回腹腔内投与により、血中にメトヘモグロビンが生成されたとの報告 (Smith et al. : Biochemical Pharmacology, vol. 16, pp. 317 (1967)) があるが、腹腔内投与であり、List外資料でもあるため、分類根拠としなかった。
  以上より分類できないとした。
  旧分類の情報源の精査と新たな資料の検討により分類結果を変更した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(腎臓)

警告
H373 P260
P314
P501
  PATTY (6th, 2012) では、腎毒性物質であるとの記載があった。
   実験動物では、ラットを用いた強制経口投与による28日間反復投与毒性試験において、区分2相当の100 mg/kg/day (90日間換算値: 31 mg/kg/day) 以上で尿の褐色化と沈渣中の上皮細胞の増加、腎臓重量の増加、好塩基性尿細管がみられており、区分2を超える500 mg/kg/day (90日間換算値: 156 mg/kg/day) で死亡 (1/12例)、腎臓の皮髄境界部の白色線条、尿細管上皮の凝固壊死のほか、赤血球数やヘモグロビン濃度の減少、網状赤血球数の増加と脾臓の髄外造血の亢進やヘモジデリン沈着が報告されている (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、SIDS (2010))。
  また、ラットを用いた混餌による6ヵ月間反復投与毒性試験において、最低用量である区分2相当の0.07% (35 mg/kg/day) 以上で腎症がみられ、区分2を超える用量である0.7% (350 mg/kg/day) 群で体重増加の有意な抑制、赤血球数、ヘモグロビン濃度の有意な減少を認めたが、メトヘモグロビン濃度に有意な変化はなかったとの報告がある (環境省リスク評価第5巻 (2006))。
   以上のように、腎臓に対して区分2の用量で影響がみられ、血液系については区分2を超える用量で影響がみられていた。
  旧分類では、PATTY (4th, 1999) に「腎毒性を発現する、メトヘモグロビン血症を起こす」との記載があり、腎臓のほか血液系を標的臓器とする根拠となっていたが、PATTY (6th, 2012) では腎臓毒性物質との記載はあるが血液系への影響についての記載はなかった。
   したがって、区分2 (腎臓) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1

警告
H400 P273
P391
P501
  甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.098 mg/L (SIDS, 2010)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1

警告
H410 P273
P391
P501
  急速分解性がなく(BODによる分解度:6%(既存点検, 1997))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC = 0.025 mg/L(環境庁生態影響試験, 1996)から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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