GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 100-69-6
名称 2-ビニルピリジン
物質ID H28-B-04-METI, M-004B
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 経済産業省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度    
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイト
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3

警告
H226 P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P501
  引火点42℃ (ICSC (2000)) に基づき区分3とした。
  なお、UNRTDGにおいて安定剤入りのものがUN 3073、クラス6.1 (毒物)、副次危険性3及び8、容器等級Uに分類されている。
7 可燃性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 タイプG
-

-
- -   自己反応性に関連する原子団 (不飽和結合) を含むが、UNRTDGにおいて安定剤入りのものがクラス6.1 (毒物)、副次危険性3及び8に分類されており、優先評価項目の自己反応性化学品には該当しないと考えられる。
9 自然発火性液体 区分外
-

-
- -   UNRTDGにおいて安定剤入りのものがクラス6.1 (毒物)、副次危険性3及び8に分類されており、優先評価項目の自然発火性には該当しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-

-
- -   金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   酸素、フッ素及び塩素を含んでいない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3

危険
H301 P264
P270
P301+P310
P321
P330
P405
P501
  ラットのLD50値 (OECD TG 423) として、50 mg/kg超300 mg/kg未満の範囲にある (SIDS (2014)) との報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3

危険
H311 P280
P302+P352
P312
P321
P361+P364
P405
P501
  ウサギのLD50値として、640 mg/kg (SIDS (2014)) との報告に基づき、区分3とした。
  新たな情報に基づき、区分を見直した。
   なお、旧分類ではモルモットのLD50値 160 mg/kg (PATTY (4th, 2000)) を分類根拠に用いていたが、ガイダンス上で優先度の高いウサギのLD50値が得られたため、これを用いて分類を行った。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1

危険
H314 P260
P264
P280
P301+P330+P331
P303+P361+P353
P363
P304+P340
P310
P321
P305+P351+P338
P405
P501
  ウサギを用いた試験において、本物質の原液を0.5mL、1時間適用した結果壊死がみられたとの報告や (SIDS (2014))、本物質はウサギに対して強い刺激性を持つとの記載がある (PATTY ( 6th, 2012))。
  また、本物質はヒトの皮膚に接触後皮膚熱傷を起こし、炎症部位は赤褐色となり消失するのに約1ヵ月を要したとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2005)、PATTY (6th, 2012))。
  以上より区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1

危険
H318 P280
P305+P351+P338
P310
  ウサギを用いた眼刺激性試験において強い刺激性がみられたとの報告や (SIDS (2014)、PATTY (6th, 2012))、モルモットを用いた眼刺激性試験において、強度の刺激性がみられたとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2005)) がある。
  また、本物質は皮膚腐食性/刺激性で区分1に分類されている。
  以上より、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1

警告
H317 P261
P272
P280
P302+P352
P333+P313
P321
P362+P364
P501
  本物質はヒトに対して本物質ばく露による感作性の報告及び、本物質はヒトに対して皮膚感作性を示すとの記載が複数ある (NITE初期リスク評価書 (2005)、PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第4巻 (2005))。
  また、モルモットを用いた皮膚感作性試験結果において陽性の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2005)、PATTY (6th, 2012))。
  以上より、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-

-
- -   In vivoでは、経口投与によるトランスジェニックマウス (gpt delta) の肝臓,骨髄,胃 (腺胃)及び精巣を用いた遺伝子突然変異試験 (レポーター遺伝子:gpt 及びred/gam) で陰性 (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の結果、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性である (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016)、NITE初期リスク評価書 (2005)、SIDS (2014)、環境省リスク評価第4巻 (2005)、PATTY (6th, 2012))。
  以上より、in vitroで陽性結果が認められるが、in vivo試験での陽性報告が無いため、ガイダンスに従い分類できないとした。
  
6 発がん性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、雌マウスに全体で本物質 200 μmol を3回/週で20回 (約 9 mg/kg/dayに相当) 腹腔内投与した試験における肺の腺腫/腺がんの発生頻度は媒体対照群、本物質投与群、陽性対照群でそれぞれ0/25、0/23、24/24であったとの記述がある (SIDS (2014))。
7 生殖毒性 区分2

警告
H361 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  ラットを用いた強制経口投与による簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) において、50 mg/kg/day以上で難産、死産など分娩異常例がみられ、各群12例の雌親動物のうち50 mg/kg/day では2例を安楽死させた。
  125 mg/kg/day では難産のため2例を安楽死させ、分娩開始前に3例が死亡、哺育期間中に4例が死亡、3例を安楽死させた。
  雄親動物では125 mg/kg/dayでI〜VI期の精原細胞数の増加とIX〜XI期の精原細胞数、レプトテン期及びパキテン期又はディプロテン期の精母細胞数の減少がみられた。
  児動物では哺育期間中に50 mg/kg/dayの母親動物1例からの全児が死亡し、125 mg/kg/dayでは出生児の全例が死亡した (SIDS (2014)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on September 2016))。
  なお、50 mg/kg/day以上の雌親動物及び125 mg/kg/day の雄親動物では前胃に粘膜肥厚、胸腺の萎縮、副腎の肥大などの肉眼的病理所見及び病理組織学的変化 (前胃の潰瘍など、胸腺皮質の萎縮、副腎束状帯皮質細胞の肥大など) がみられている (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on September 2016))。
   以上、一般毒性影響のみられる用量で、母動物に分娩異常、児動物に生後死亡がみられたことから、本項は区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系)
区分3(気道刺激性)


危険
警告
H370
H335
H336
P260
P264
P270
P308+P311
P321
P405
P501
P261
P271
P304+P340
P312
P403+P233
  ヒトでは実験中に本物質及び4-ビニルピリジンに短時間ばく露した複数の事例で、眼、鼻、咽頭の刺激と、頭痛、吐き気、神経過敏、食欲不振が認められたという報告がある (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2014)、NITE有害性評価書 (2005)、環境省リスク評価書第4 巻 (2005))。
  実験動物ではラットの単回経口投与試験で、区分2相当の336 mg/kgで流涎、下痢、血管拡張、摂食低下、自発運動低下、筋力低下、振戦が認められた (SIDS (2014)、NITE有害性評価書 (2005))。
  また、ラットを用いた強制経口投与による17日間反復投与毒性試験において、区分2相当の500 mg/kg/dayで活動の減退、振戦、痙攣がみられたとの報告 (環境省リスク評価第4巻 (2005)、PATTY (6th, 2012)) があり、1〜2回の投与で全例が死亡しているため、これらの症状は急性影響と考えられる。
  以上より区分1 (神経系)、区分3 (気道刺激性) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-

-
- -   ヒトについては関連する情報はない。
   実験動物については、ラットを用いた強制経口投与での28日間反復投与毒性試験、92日間反復投与毒性試験等で刺激性による胃への影響 (前胃の扁平上皮の増生、粘膜下の浮腫、びらん、細胞浸潤、腺胃の粘膜下の浮腫、びらん等) がみられている (NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価第4巻 (2005)、SIDS (2014))。
  このほか、ラットを用いた強制経口投与での92日間反復投与毒性試験において、区分2を超える180 mg/kg/dayで痙攣及び流涎がみられたとの報告がある (環境省リスク評価第4巻 (2005)、SIDS (2014)、HSDB (Access on October 2016))。
  また、ラットを用いた強制経口投与による17日間反復投与毒性試験において、500 mg/kg/dayで活動の減退、振戦、痙攣がみられたとの報告(環境省リスク評価第4巻 (2005)、PATTY (6th, 2012)) があるが1〜2回の投与で全例が死亡しており、急性影響と考えられる。
   以上、区分2の範囲内では刺激性による経口投与での胃への影響のみであり分類できない。
  
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、HSDB (Access on September 2016) に収載された数値データ (粘性率: 1.17 mPa・s (20℃)、密度 (比重): 0.9985 (20/0℃)) より、動粘性率は1.17 mm2/sec (20℃) と算出される。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
絵表示なし


注意喚起語なし
H401 P273
P501
  魚類(メダカ)96時間LC50 = 6.48 mg/L(環境省生態影響試験, 2001、環境省リスク評価第4巻, 2005、SIDS, 2014、NITE初期リスク評価書, 2005)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2

注意喚起語なし
H411 P273
P391
P501
  慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(既存点検, 1991)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.901 mg/L(環境省生態影響試験, 2001、環境省リスク評価第4巻, 2005、SIDS, 2014、NITE初期リスク評価書, 2005)であることから、区分2となる。
   慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(既存点検, 1991)、魚類(メダカ)96時間LC50 = 6.48 mg/L(環境省生態影響試験, 2001、環境省リスク評価第4巻, 2005、SIDS, 2014、NITE初期リスク評価書, 2005)であることから、区分2となる。
   以上の結果から、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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