GHS分類結果

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一般情報

項目 情報
CAS番号 142-59-6
名称 二ナトリウム=エタン-1,2-ジイルジカルバモジチオアート (別名ナバム)
物質ID H28-A-01-METI, M-016A
分類実施年度 平成28年度
分類実施者 経済産業省/環境省
新規/再分類 (危険物/有害物)  新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報

項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク)  
厚生労働省モデルSDS(外部リンク)  
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-

-
- -   爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-

-
- -   エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-

-
- -   爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-

-
- -   データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-

-
- -   金属 (Na) を含むが、水溶解度が> 200 g/L (20℃、GESTIS (Access on November 2016)) というデータがあり、水と急激な反応をしないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-

-
- -   フッ素、酸素及び塩素を含んでいない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-

-
- -   分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-

-
- -   固体状の物質に適した試験法が確立していない。

健康に対する有害性<

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4

警告
H302 P264
P270
P301+P312
P330
P501
  ラットのLD50値として、1,400 mg/kg (30%液剤 Aquatreat DN-30) (EPA RED (1996)) の報告に基づき、含有率100%として換算した値 420 mg/kg から、区分4とした。
  なお、ラットのLD50値として、395 mg/kg (EHC 78 (1988)、JMPR (1965)) との報告があるが、被験物質の含有量に関する記載がないため、分類には用いなかった。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
   ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (30%液剤 Aquatreat DN-30) (EPA RED (1996)) の報告に基づき、含有率100%として換算した値は > 600 mg/kg であるが、この値のみでは区分を特定できず、分類することができない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-

-
- -   GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
   なお、ラットのLC50値として、> 2.19 mg/L (EPA RED (1996)) との報告があるが、被験物質の含有量等の詳細が不明のデータであり、この値のみでは区分を特定することができず分類することができない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-

-
- -   本物質の原体は皮膚に対して刺激性を持つとの情報や (HSDB (Access on November 2016))、25人のヒトに本物質 (19%) を腕に適用した結果、2人に軽度の紅斑とそう痒がみられたとの報告がある (EHC 78 (1988)) が、詳細不明であるため分類に用いるには不十分なデータと判断した。
  なお、ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質30%液剤の適用による刺激性がみられなかったことから、EPA REDは本物質をカテゴリーWとしている (EPA RED (1996))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、ウサギを用いた眼刺激性試験において本物質30%液剤の適用による刺激性がみられなかったことから、EPA REDは本物質をカテゴリーWとしている (EPA RED (1996))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分1

警告
H317 P261
P272
P280
P302+P352
P333+P313
P321
P362+P364
P501
  ヒト25人の腕に本物質 (19%) を適用した結果2人に軽度の紅斑とそう痒を示し、14日後に反対側の腕に再度適用した結果13人に軽度から強度の紅斑、浮腫、水疱形成がみられたことから感作性が示唆されるとの記載がある (EHC 78 (1988)、EPA RED (1996)) ことから、EPA REDは本物質を感作性物質としている (EPA RED (1996))。
  以上より、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2

警告
H341 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  In vivoでは、ラットの骨髄細胞を用いる染色体異常試験で陰性である (EPA RED (1996))。
  In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性、陽性の結果、姉妹染色分体交換試験で陽性である (EPA RED (1996))。
  上記の哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験結果は、マウスのS9を用いた場合陰性であったが、ラットのS9では陽性であり、この作用は本物質の代謝物のエチレンチオ尿素に起因している可能性がある (EPA RED (1996))。
  従って、in vivoの陽性知見はないが、代謝物の特性とin vitro試験における代謝状況での陽性結果から区分2とした。
6 発がん性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。
  なお、マウスに7日齢から離乳まで本物質を 21.5 mg/kg/dayで強制経口投与後、18ヵ月齢まで73 ppm で混餌投与した試験において、腫瘍発生の有意な増加はみられなかったとの記述がある (EHC 78 (1988)、HSDB (Access on November 2016))。
7 生殖毒性 区分1B

危険
H360 P201
P202
P280
P308+P313
P405
P501
  本物質の約30%液剤 (Aquatreat DN-30) をウサギに経口投与した2件の発生毒性試験において、母動物に体重増加抑制がみられる100 mg/kg/dayよりも低い用量 (8〜10 mg/kg/day) から、胎児に奇形性水頭症、ドーム頭、口蓋裂など奇形発生頻度の増加がみられたとの報告がある (EPA RED (1996)、HSDB (Access on November 2016))。
  よって、本項は区分1Bとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(中枢神経系)
区分3(気道刺激性、麻酔作用)


警告
H371
H335
H336
P260
P264
P270
P308+P311
P405
P501
P261
P271
P304+P340
P312
P403+P233
  ヒトでは本物質は皮膚と粘膜を刺激し、高濃度では中枢神経系を抑制するとの記載がある (HSDB (Access on November 2016))。
  また、高濃度の本物質にばく露した複数の散布作業者が咽頭炎、鼻炎、気管支炎を発症したとの報告がある (HSDB (Access on November 2016))。
  実験動物では動物種や投与経路の記載はないが、毒性用量の本物質の急性ばく露により、中枢神経系の興奮とそれに続く抑制、血便、全身性の衰弱及び虚脱がみられ、死亡原因は呼吸停止であったとの報告がある。
  これらの動物には剖検の結果、重度の消化管の炎症と腎臓の壊死が認められ、これらの影響は本物質が胃内の酸性環境で分解されて生じた二硫化炭素による可能性があると記述されている (HSDB (Access on November 2016))。
  このうちヒトでの皮膚への影響に関しては、詳細が不明であるため、実験動物でみられた消化管と腎臓への影響は、原典にも投与経路や用量の情報がなく区分の判定ができないため、分類根拠としなかった。
  以上より区分2 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
  HSDBがList 2の情報源であるため、中枢神経系は区分2とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(甲状腺)

警告
H373 P260
P314
P501
  ヒトに関する情報はない。
   実験動物については、31.1%液剤 (Aquatreat DN-30) のラットを用いた強制経口投与による90日間反復毒性神経毒性併合試験において、区分2相当の80 mg/kg/day (ナバム: 24.9 mg/kg/day) 以上で体重及び体重増加量減少、サイロキシン減少、甲状腺の絶対相対重量増加、260 mg/kg/day (ナバム: 80.86 mg/kg/day) で甲状腺刺激ホルモン増加、甲状腺の濾胞上皮細胞の軽度の肥大がみられている (EPA RED (1996))。
   この甲状腺の所見について、肝臓に影響がみられていないことから甲状腺への直接作用と考えられた。
   したがって、区分2 (甲状腺) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-

-
- -   データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性

危険有害性項目 分類結果 危険有害性絵表示
(コード: シンボル)
注意喚起語
コード
(危険有害性情報)
コード
(安全対策注意書き)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1

警告
H400 P273
P391
P501
  甲殻類(オオミジンコ)48時間LC50 = 0.44 mg/L(EHC 78, 1988)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1

警告
H410 P273
P391
P501
  信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
  急速分解性に関するデータが得られておらず、急性毒性区分1であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-

-
- -   データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
  * 「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」のコードにマウスカーソルに重ねると、「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が表示されます。
    また、Excel fileでは、コードと共に「危険有害性情報」及び「安全対策注意書き」が記載されてあります。
  * 「分類結果」の欄が空欄、又は『 - 』となっている「危険有害性項目」は、分類が実施されていないため、前回に実施した分類結果が最新の情報となります。
  * 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。
    ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
  * 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。
    他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

更新履歴:
  2017/7/25

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