GHS分類結果

名称:4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン
CAS番号:1222-05-5

結果:
物質ID: H27-A-062/C-140A_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点> 100℃ (closed cup) (EU-RAR (2008)) に基づいて区分外とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属及び半金属 (B ,Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi ,Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、> 3.000 mg/kg及び> 3,250 mg/kgとの報告 (EU-RAR (2008)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、> 6,500 mg/kgとの報告 (EU-RAR (2008)) 及びウサギのLD50値として、> 3,250 mg/kgとの報告 (EU-RAR (2008)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - 本物質65%溶液をウサギに4時間適用した3件の皮膚刺激性試験 (Directive 79/831/EEC、GLP準拠) で、ごく軽微〜明確な紅斑とごく軽微な浮腫がみられたが、紅斑の平均スコアが2を超える動物は1例のみであった。本試験でみられた紅斑及び浮腫は適用7日後においても15例中7例が回復していなかったとされるが、その後の結果は示されていない (EU-RAR (2008)) ことから、刺激の程度が軽度であると判断し、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - 本物質65%溶液0.1 mLをウサギに適用した眼刺激性試験 (OECD TG 405、GLP準拠) において、6例中2例でみられた刺激性をもとに、24、48及び72時間における眼一次刺激指数は、3.5、1.17及び0 (平均1.6) となり、実質的に刺激性なしとの報告 (EU-RAR (2008)) に基づき、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない、 - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - ヒトを対象とした複数の皮膚感作性試験 (HRIPT法、マキシマイゼーション法及びパッチテスト) において、感作性は認められていないとの報告 (EU-RAR (2008)) がある。また、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、あいまい又は感作性なしと報告 (EU-RAR (2008)) されている。EU-RAR (2008) は、本物質が感作性を誘発する明確な証拠はなく、本物質は感作性物質ではないと結論している。以上より区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - In vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、ヒトリンパ球の小核試験、姉妹染色分体交換試験で陰性である (EU-RAR (2008))。以上より、ガイダンスに従い分類できないとした。
6 発がん性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの生殖影響に関する情報はない。ただし、ヒトの母乳中から本物質が検出されたとの複数の報告があり、例えば本物質を含む日用品の使用経験があり乳児を哺育中の母親107人から採取した母乳サンプルを分析したドイツの研究報告では、最大で1,316 μg/kg 脂肪 (乳脂肪含量を 3.67%とすると、母乳1 kg当たり48 μgに相当) の本物質が検出されたと報告されている (EU-RAR (2008)、SIDS SIAP (2008))。 実験動物では妊娠ラットの器官形成期に本物質を強制経口投与した催奇形性試験において、母動物には150 mg/kg/day以上で体重増加抑制、摂餌量低下、500 mg/kg/dayでは加えて臨床症状 (流涎、尿による腹部汚染など) がみられ、胎児には 500 mg/kg/dayで胎児重量の低値、骨化不全/胸骨分節未骨化の増加に加えて脊椎/肋骨の奇形の頻度増加がみられた。この骨格奇形の頻度増加は胎児単位のみならず、妊娠腹単位でも有意に増加したと記述されている (EU-RAR (2008)、SIDS SIAP (2008)、HSDB (Access on October 2015))。一方、本物質の多世代生殖毒性試験は報告がなく、高用量投与での受胎能及び次世代の発生・発育への有害影響については不明である。なお、妊娠ラットに妊娠後期からF1離乳まで、F1児動物は成育後交配させ得られたF1妊娠雌に周産期からF2離乳まで、それぞれ最大20 mg/kg/dayを強制経口投与した試験において、F0、F1親動物の受胎能、及びF1、F2児動物の発生、生後の成長発達に有害影響はみられなかったが、本試験に組込んだ体内動態試験において、F0母親動物への2及び20 mg/kg/day経口投与 (14C標識体投与) でF1新生児に乳汁を介して本物質 (代謝物を含む) が移行したことが示唆される結果 (2.28及び32.8 mg本物質相当/L乳汁) が得られている (EU-RAR (2008)、SIDS SIAP (2008))。 以上、1報告のみであるが、ラット催奇形性試験において母動物毒性発現量で胎児に骨格奇形がみられたことから、本項は区分2とした。なお、ラットにおける乳汁移行性の報告、及びヒト母乳中に本物質検出例の報告があるが、授乳を介した次世代への有害影響はこれまで報告されておらず、母乳中濃度が毒性発現濃度まで達していないと考えられたため、授乳影響の追加は採用しなかった。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ヒトに関するデータはない。 実験動物では、ラットを用いた90日間混餌投与毒性試験において、この試験の最高用量である150 mg/kg/dayまで影響がみられていない。このほか、混合物についての吸入経路、経皮経路での毒性試験の報告があるが、標的臓器を特定するには適切な試験条件でなかった。 したがって、分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(Acartia tonsa)48時間LC50 = 0.47 mg/L(SIAP, conclusions agreed in SIAM 28, 2009)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急速分解性がなく(BioWin)、甲殻類(Acartia tonsa)の6日間NOEC (develop) = 0.038 mg/L(EU-RAR, 2008)から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)


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