名称:モリブデン
CAS番号:7439-98-7
物質ID: | H27-B-077/C-126B_P |
分類実施者: | 厚生労働省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 なお、ダストや粉末は可燃性がある (HSDB (Access on September 2015)) との情報がある。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水に不溶 (HSDB (Access on September 2015)) との観察結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素及びハロゲンを含まない無機物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 | - | - | - | - | ラットに本物質の粉じんを25〜30 mg/Lで1時間吸入 (4時間換算値:6.25〜7.50 mg/L) させた結果、変化はみられなかったとの報告 (ACGIH (7th, 2003)) に基づき、区分外とした。被験物質が固体であるために、粉じん・ミストの基準値を適用した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 |
ヒトの皮膚に対して刺激性を示す (HSDB (Access on September 2015)) との記載から区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ヒトの眼に対して刺激性を示す (HSDB (Access on September 2015)) との記載から区分2とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | モリブデン化合物を21年間以上扱った作業者を対象とした症例対照研究において、モリブデンばく露と肺がん発生との相関を調べた結果、同時にばく露されたクロム及び鉱油に対してはばく露期間と肺がん発生との間に相関はなく、モリブデンばく露のみが用量-反応相関を示し、初めてモリブデンばく露による肺がんリスクの増加が報告された (ACGIH (7th, 2003))。 実験動物では可溶性モリブデン化合物に属する三酸化モリブデンをラット又はマウスに2年間吸入ばく露した発がん性試験において、雄ラットに肺胞/細気管支の腺腫とがんの合計の発生頻度の増加傾向、雄マウスに肺胞/細気管支がん及び肺胞/細気管支の腺腫とがんの合計の発生頻度の増加、雌マウスに肺胞/細気管支腺腫及び肺胞/細気管支の腺腫とがんの合計の発生頻度の増加が認められたことから、NTPは発がん性の証拠の重みづけに関して、雄ラットは不確実な証拠、雌雄マウスはある程度の証拠があると結論した (NTP TR 462 (1997))。三酸化モリブデンに関するNTP試験結果について、ACGIH (7th, 2003)、PATTY (6th, 2012)) にも記述があるが、金属モリブデン又は不溶性モリブデン化合物を用いた試験報告はない。国際機関による発がん性分類結果としては、ACGIHが可溶性モリブデン化合物に対し「A3」に分類している (ACGIH (7th, 2003)) だけで、金属モリブデン、不溶性モリブデン化合物はいずれの機関によっても分類されていない。以上より、本物質はデータ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | 金属モリブデン、不溶性モリブデン化合物のいずれも生殖毒性に関する情報はない。よって、データ不足のため分類できない。 なお、水溶性モリブデン化合物については、モリブデン酸ナトリウム (CAS番号: 7631-95-0) の本項に記述したように、実験動物を用いた試験データに基づき、区分2に分類した。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3 (気道刺激性) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は気道刺激性がある (HSDB (Access on September 2015)) との記載から、区分3 (気道刺激性) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない ヒトにおいて、24名の少女 (7〜9歳) に一日平均75 mg/kg/dayのモリブデンを経口的に与えた出納試験 (バランス・スタディ) において、モリブデンの低毒性は確かめられており、尿中のモリブデン濃度の上昇が唯一の変化であったとの報告 (ACGIH (7th, 2003)) がある。一方、一部のアルメニアでの痛風及び尿酸の増加を土壌中のモリブデン量の高値 (モリブデンの摂取量は10〜15 mg/day) が原因とする報告がある (ACGIH (7th, 2003)、IRIS Summary (1992)、環境省リスク評価第10巻 (2012))。しかし、全米研究評議会はこれらの関係については推論であり、モリブデンばく露と骨の疾患、尿酸代謝の異常は関連付けられることはできないとしている (ACGIH (7th, 2003))。職業ばく露については、モリブデン濃度60〜600 mg/m3にばく露された鉱山労働者、冶金作業者において非特異的な症状 (脱力感、疲労感、頭痛、食欲不振、関節あるいは筋肉痛) の発現の増加が報告されている (ACGIH (7th, 2003))。一方、モリブデン濃度9.5 mg/m3にばく露されたモリブデン焙焼工場で実施された調査では、労働者の血中及び尿中のモリブデン濃度、尿酸値及びセルロプラスミンの増加がみとめられたが痛風様の症状はみられていないとの報告がある (DFGOT vol. 18 (2002))。 実験動物において、利用できるデータは得られていない。 以上のように、ヒトにおいては、いくつかの報告があるが、モリブデンばく露と影響が明確な例が得られなかった。 したがって、データ不足のため分類できないとした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | 適切なデータが得られておらず分類できない。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | 適切なデータが得られておらず分類できない。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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