GHS分類結果

名称:珪藻土 (未焼成) /非晶質シリカ (珪藻土 (非焼成))
CAS番号:61790-53-2

結果:
物質ID: H27-A-041/C-112A_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 珪藻土には、未焼成品 (CAS番号:61790-53-2)、焼成品 (CAS番号:91053-39-3)、融剤焼成品 (CAS番号:68855-54-9) 等がある。本対象の未焼成品には、1〜8%の結晶質シリカが含まれていたのと報告 (ACGIH (7th 2001)、DFGOT vol. 2 (1991)) 等があることから、同程度の結晶質シリカが存在する場合を想定した。 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性 (ICSC (2001)) である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性 (ICSC (2001)) である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性 (ICSC (2001)) である。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に不溶 (HSFS (2007)) との観察結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - 珪藻土には、未焼成品 (CAS番号:61790-53-2)、焼成品 (CAS番号:91053-39-3)、融剤焼成品 (CAS番号:68855-54-9) 等がある。本対象の未焼成品には、1〜8%の結晶質シリカが含まれていたのと報告 (ACGIH (7th 2001)、DFGOT vol. 2 (1991)) 等があることから、同程度の結晶質シリカが存在する場合を想定した。 ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kgとの報告 (農薬技術情報 (1992)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kgとの報告 (農薬技術情報 (1992)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質を24時間適用した結果、刺激はみられなかったとの報告 (農薬技術情報 (1992)) から区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質100 mgを適用した結果、非常に軽度の刺激性がみられたが2日目までに回復したとの報告がある (農薬技術情報 (1992)) が、分類するための十分な情報ではないと判断した。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は1〜8%の結晶質シリカを含有している (ACGIH (7th, 2001)) との情報があり、区分1Aに該当する結晶質シリカを混合物組成比として発がん性区分1のカットオフ値 (0.1%) の10倍以上を含有していることから、本項は区分1Aとした。 なお、本物質のヒトにおける発がん性情報はなく、実験動物では、ラットに経口 (混餌) 経路により、20 mg/匹の用量で生涯ばく露した試験、及びマウスに20 mg/匹の用量で皮下注射 (投与回数不記載) した試験では腫瘍発生はみられなかった (IARC 68 (1997)) との報告がある一方で、マウスに20 mg/匹で腹腔内注射 (投与回数不記載) した試験では腹腔内にリンパ肉腫の発生が6/17例にみられ、対照群 (1/20例) に比べて有意な増加が示されたとの報告がある (IARC 68 (1997))。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (呼吸器) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は1〜8%の結晶質シリカを含有している (ACGIH (7th, 2001)) との情報がある。ヒトについては、珪藻土にばく露された労働者で塵肺症の報告 (DFGOT vol. 2 (1991))、未焼成のダストにばく露された珪藻土の作業者において、軽度の珪肺症のみがみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。また、粗製の珪藻土あるいは天然の粉に20〜25年間ばく露された労働者の研究では、肺の線維症を起こすのはまれであり、あったとしても症状のみで明らかな障害はみられていない。天然の珪藻土自体は弱い線維形成性あるいは非線維形成性であり、肺の線維症は結晶質シリカあるいは肺の過負荷に起因したものと考えられるとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。 実験動物では、モルモットに100 mg/m3の本物質を2年間吸入ばく露した試験において同時に試験した結晶性シリカでは21ヶ月で線維症がみられ、24ヶ月で重篤化がみられたのに比べ、本物質では24ヶ月で線維化がみられたが、重篤化はみられていない (ACGIH (7th, 2001))。また、モルモットに60mg/m3の本物質を37〜50週間吸入ばく露した試験において、マクロファージの浸潤、ダスト粒子を含んだ多数の多核細胞の蓄積による肺胞中隔の肥厚、及び肺胞の上皮化がみられたが、肺の線維化はみられず、極めてわずかな細網線維量の増加がみられたが膠原線維の有意な増加はみられていない (ACGIH (7th, 2001))。 以上のように、本物質中には結晶質シリカが含まれ、ヒトおいて天然の珪藻土の取り扱いによってまれではあるが肺の線維症や軽度であるが塵肺症の報告がある。また、実験動物において、程度は軽いものの区分2の範囲で肺に影響がみられている。 したがって、区分1 (呼吸器) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)


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