GHS分類結果

名称:イソプロピルメチルケトン
CAS番号:563-80-4

結果:
物質ID: H27-B-067/C-103B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点-1℃ (closed cup)、沸点93〜95℃ (ICSC (2013)) に基づいて区分2とした。 なお、UNRTDG分類はUN.2397、クラス3、PGUである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が475℃ (ICSC (2013)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、2,572 mg/kg、3,078〜3,200 mg/kg、4,100 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、3,200 mg/kg (ACGIH (7th, 2011))、4,509 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2011)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値として、5,112 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2011))、> 5,000 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットのLC50値 (6時間) として、6,377 ppm (4時間換算値:7,810 ppm) との報告 (PATTY (6th, 2012)) に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (68,684 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。区分を見直した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
本物質はヒトの皮膚に対して刺激性を持つとの記載 (HSDB (Access on August 2015)) から区分2とした。なお、本物質 (未希釈) をウサギに24時間適用した結果、中等度の刺激性がみられたとの報告 (PATTY (6th, 2012)) や、モルモットに本物質 (未希釈) を24時間適用した結果、中等度の刺激性がみられ、24時間後には浮腫と壊死が観察されたとの報告 (PATTY (6th, 2012)) があるが、24時間適用の情報であるため区分には用いなかった。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
ウサギを用いた眼刺激性試験において、軽度の刺激性がみられたが7日以内に回復したとの報告 (PATTY (6th, 2012)) や、本物質はヒトの眼に対して刺激性を持つとの記載 (HSDB (Access on August 2015)) がある。ウサギの報告において7日以内に回復性があるとの記載をもとに、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた感作性試験において感作性はみられなかったとの報告 (PATTY (6th, 2012)) や、ヒト25人にパッチテストをおこなった結果、感作性はみられなかったとの報告 (PATTY (6th, 2012)) があるが、試験法や対照群の情報等詳細不明であることから区分に用いるには不十分なデータと判断した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - 国際機関による分類結果もなく、データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入経路での生殖発生毒性スクリーニング試験において、親動物では1,000 mg/m3以上で用量依存的なばく露中の活動性低下、2,500〜5,000 mg/m3で、交配前、又は妊娠期の体重増加抑制、又は摂餌量減少がみられたが、生殖器官への有害性はみられていない。一方、児動物には2,500 mg/m3以上で生後0日、又は4日に一腹当たりの死亡児数の増加、5,000 mg/m3で同腹児数の減少がみられた (ACGIH (7th, 2011)) との記述があり、スクリーニング試験ではあるが、親動物に一般毒性影響がみられる用量で、児動物に出生前後の死亡児数の増加を指標とした発生毒性影響が示されたことから、本項は区分2とした。 なお、旧分類時にはACGIH (7th, 2001) が利用可能であったが、それにはこのデータは引用されておらず、今回の再分類で、本項に関して、初めて分類に利用可能なデータが得られた。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質はヒトに気道刺激性がある (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))。実験動物では、ラットの吸入ばく露で中枢神経抑制、麻酔作用の報告がある (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))。 以上より、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - ヒトでの誤嚥による呼吸有害性を直接的に示す知見はList 2までの情報源からは得られなかった。ただし、List 3のICSCには、本物質を飲み込んだ場合、嘔吐を生じることがあり、吸引性肺炎 (日本語訳: 誤嚥性肺炎) を起こすおそれがある (ICSC (2013)、ICSC (J) (2013)) との記述があるが、ヒトでの直接的な有害性事例に基づくものではなく、ヒトでの急性ばく露影響と物理化学的性質からの推定懸念を表現した記述と考えた。 なお、本物質は3以上13を超えない炭素原子で構成されたケトンに属し、List 3 のGESTIS (Access on August 2015) に収載された数値データ (粘性率: 0.5 mPa・s (16℃)、密度 (比重): 0.81g/cm3 (20℃)) を基に、動粘性率計算値が 0.617 mm2/sec (16/20℃) である。以上、国連分類では区分2に該当するが、旧分類後に改訂された現行ガイダンスに従い、分類できないとした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 = 864 mg/L(ECETOC TR91, 2003)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。難水溶性ではなく(水溶解度=60800mg/L、PHYSPROP Database, 2009)、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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