GHS分類結果

名称:2-シアノアクリル酸エチル
CAS番号:7085-85-0

結果:
物質ID: H27-B-055/C-091B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省 省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点75℃ (closed cup) (ICSC (2001)、82.78℃ (closed cup) (HSDB (Access on August 2015) に基づいて区分4とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 化学構造に不飽和結合 (オレフィン) を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が485℃ (有機化合物辞典 (2004)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 低沸点の液体に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットへの5,000 mg/kg投与で、1/6例の死亡との報告 (CICAD 36 (2001)) からLD50値が > 5,000 mg/kgと推定されること及びラットのLD50値として、5,000 mg/kgとの報告 (HSDB (Access on August 2015)) とに基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギへの2,000 mg/kgの投与で死亡例なしとの報告 (CICAD 36 (2001)) に基づき、区分外とした。なお、ウサギのLD50値として、2,000 mg/kg (HSDB (Access on August 2015)) との報告があり、区分4に該当するが、分類ガイダンスに従い、優先度の高い情報源 (CICAD 36 (2001)) のデータを採用した。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。ラットのLC50値 (1時間) として、< 21.11 mg/L (4時間換算値:< 5.278 mg/L) との報告 (ACGIH (7th, 2001)) があるが、この値のみでは区分を特定できない。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (13.7 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質の液体を24時間適用した結果軽度の紅斑および浮腫 (平均スコア0.83) がみられたとの報告がある (CICAD 36 (2001))。また、ヒトにおいて単回ばく露による皮膚刺激性はみられないとの記載がある (CICAD 36 (2001))。なお、本物質は皮膚に対して重度の刺激性を有するとの記載があるが (ACGIH (7th, 2001))、ばく露時間等の詳細が不明な情報であるため区分に用いるには不十分なデータと判断した。以上より区分外とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin. Irrit. 2 H315」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質を適用した結果、刺激性の平均スコアが発赤1.75、結膜浮腫0.5、角膜混濁 0.75、虹彩反応 0.5であり 、症状は7日以内に全て回復したとの報告がある (CICAD 36 (2001))。また、本物質は眼に対して重度の刺激性を有するとの記載があるが (ACGIH (7th, 2001))、回復性などの詳細は不明である。以上の結果から、区分2とした。本物質はEU CLP分類において「Eye. Irrit. 2 H319」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 本物質を取り扱う職業ばく露において、喘息症状が報告されているが (ACGIH (7th, 2001)、CICAD 36 (2001)、DFGOT vol.13 (1999))、いずれの評価書も複合ばく露の可能性があることから、本物質によるものであるとは結論していない。また、CICAD 36 (2001) は、喘息がアレルギー性あるいは刺激性のどちらの機序によって誘発されるかについて結論できないとしている (CICAD 36 (2001))。以上より、分類できないとした。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 本物質を取り扱う職業ばく露において皮膚反応を示した労働者に対するパッチテストにおいて、陽性反応が報告されているが (ACGIH (2001)、CICAD 36 (2001)、DFGOT vol.13 (1999))、いずれの評価書も感作性の結論に足る情報ではないとし、本物質を感作性物質としていない (ACGIH (2001)、CICAD 36 (2001)、DFGOT vol.13 (1999))。以上より、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、ラット及びマウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (NTP DB (Access on September 2015))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (CICAD 36 (2001)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 1 (1990)、NTP DB (Access on September 2015))。
6 発がん性 分類できない - - - - 国際機関による分類結果もなく、データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は気道刺激性がある (ACGIH (7th, 2001)、CICAD 36 (2001)、DFGOT vol. 1 (1990))。その他、ヒト及び実験動物のデータはない。 以上より、区分3 (気道刺激性) とした。 なお、旧分類のCICADのデータで、ヒトの所見は反復ばく露の情報、また、ラットの所見は区分2を超える用量 (21,000 mg/m3=21 mg/L) であるため、採用しなかった。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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