名称:コバルト
CAS番号:7440-48-4
物質ID: | H27-B-052/C-088B_P |
分類実施者: | 厚生労働省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データが無く分類できない。なお、空気中に細かい粒子が分散したときには爆発性を有する (ICSC (2004)) との記載がある。また、コバルトに限定されていないが金属粉末 (可燃性のもの) (他に品名が明示されているものを除く) は、UNRTDG分類 UN3089 クラス4.1 容器等級U、Vに分類されている。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が760℃ (ATSDR (2004)) であり、常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水に不溶 (GESTIS (Access on August 2015)) との観察結果があり、水と激しく反応することはないと考えられる。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素、ハロゲンを含まない無機物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値として、6,171 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013)) に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、本物質の粉じんやヒュームが眼に入ると発赤を生じるとの記載がある (環境省リスク評価第11巻 (2013))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 区分1 | 危険 | H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P284: 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
日本産業衛生学会は本物質を気道感作性第1群としている (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。以上から区分1とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Resp. Sens. 1 H334」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。 | |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
日本産業衛生学会は本物質を皮膚感作性第1群としている (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。以上から区分1とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、In vivoでは、吸入ばく露によるマウスの末梢血赤血球を用いた小核試験で陰性である(NTP TR581 (2014))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、ヒト培養リンパ球の小核試験でいずれも陽性である (DFGOT vol. 23 (2007)、IARC 86 (2006)、NTP TR 581 (2014))。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
フランスの硬金属製造工場に従事する作業者を対象とした疫学研究において、本物質 (コバルト) とタングステンカーバイドを含む硬金属粉じんにばく露された集団では肺がん死亡のリスクが増加したとの複数の報告がある一方で、タングステンカーバイドを含まないコバルトのみにばく露された集団でも肺がんの過剰リスクがあるとした報告はばく露量-反応関係の記述がなく、他の発がん物質への共ばく露、喫煙など交絡因子による補正がなされていないなど問題があり、またコバルト製造工場で肺がん死亡のリスク増加はみられないとする他の報告もある (IARC 86 (2006))。IARCは本物質に関する以前の評価において、ヒトでの発がん性の証拠は不十分であるが、実験動物では金属コバルト粉末28 mgをラットに単回筋肉内注射後、2年後の観察で投与部位局所に肉腫 (主に横紋筋肉腫) の形成が認められた試験結果をはじめ、発がん性の十分な証拠があるとして、コバルト及びコバルト化合物全体の発がん性を「グループ2B」に分類した (IARC vol. 52 (1991)) 経緯を踏まえ、再評価では、タングステンカーバイドを含む金属コバルトに対して「グループ2A」、それを含まない金属コバルトに対して、「グループ2B」に分類した (IARC 86 (2006))。この他、ACGIH がコバルト (金属元素及び無機化合物) に対し「A3」に、日本産業衛生学会がコバルト及びコバルト化合物に対し「2B」に分類している (ACGIH (7th, 2001))。以上より、分類ガイダンスに従い本項は区分2とした。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、旧分類で区分2の根拠とされた生殖毒性影響は、塩化コバルトを主体とした可溶性コバルト化合物のデータに基づくものであり、本物質の分類に利用するのは不適切と判断した。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3 (気道刺激性) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は気道刺激性がある(ATSDR (2004)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1992)、IARC 86 (2006)、PATTY (6th, 2012))。 以上より、区分3 (気道刺激性) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトではダイヤモンドの研磨作業中に飛散したコバルトにばく露された作業者では咳など呼吸器症状の主訴、高濃度ばく露症例では肺機能への影響 (努力肺活量、1秒量、最大中間呼気流量の有意な減少) がみられた (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006)、ACGIH (7th, 2001)) との記述、コバルト精錬所の作業者では、皮膚病変 (湿疹、紅斑)、呼吸器症状 (呼吸困難、喘鳴、慢性気管支炎)、肺機能の低下、貧血所見 (赤血球数数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値の減少)、甲状腺機能影響 (T3の低値、甲状腺ホルモンの異常値) がみられた (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006)、ACGIH (7th, 2001)) との記述がある。これらのうち、皮膚病変は皮膚感作性による影響と考えられ、特定標的臓器の対象外の所見と判断した。 実験動物では本物質をミニブタに3ヶ月間吸入ばく露した試験では、0.1 mg/m3以上の用量で、嗜眠、肺コンプライアンスの低下、肺胞中隔の肥厚、心電図上の異常 (心室収縮力の低下、再分極異常) がみられた (環境省リスク評価第11巻 (2013)、ACGIH (7th, 2001))。 以上、本物質ばく露によるデータに基づき、本項は区分1 (呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系) とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | 適切なデータが得られておらず分類できない |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | 適切なデータが得られておらず分類できない |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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