名称:フッ化アンチモン(V)
CAS番号:7783-70-2
物質ID: | H27-B-037/C-073B_P |
分類実施者: | 厚生労働省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である (GESTIS (Access on July 2015))。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である (GESTIS (Access on July 2015))。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である (GESTIS (Access on July 2015))。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 半金属 (Sb) を含み、水と反応する (NITE総合検索 (Access on July 2015)) が、生じるガスはフッ化水素であって可燃性ガスではない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類できない | - | - | - | - | 酸素を含まず、フッ素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 多くの金属を侵す (ICSC (2011)) との記述があるが、データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、アンチモン塩としてのヒトの推定致死量として、5〜50 mg/kgとの報告 (Sittig's (5th, 2008)) があるが、信頼性にかける情報であるために分類には採用しなかった。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。マウスのLC50値として、152 mg Sb/kg (2時間) (SbF5換算値:270 mg/kg) との報告 (DFGOT vol. 23 (2007)) があるが、適切な単位が使用されていないために分類には採用しなかった。また、マウスのLC50値として、270 mg/m3 (30.5 ppm) との報告 (RTECS (Access on August 2015)) もあるが、ばく露時間が不明であるために分類には採用しなかった。LC50値が飽和蒸気圧濃度 (12,833 ppm) より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。ばく露時間を考慮し、区分を見直した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 |
本物質は皮膚に対して強い刺激性をもつとの記載や (HSDB (Access on August 2015))、皮膚火傷を起こすとの記載がある (HSDB (Access on August 2015))。回復性についての記載はないことから、区分2に変更した。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
具体的な情報はないが、本物質は眼に対して強い刺激性をもつとの記載がある (HSDB (Access on August 2015)) 。回復性についての記載はないことから、区分2Aに変更した。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 本物質の発がん性に関する情報はヒト、実験動物ともにない。 アンチモン化合物のうち、三酸化アンチモンに対しては、アンチモン製造工程で主に三酸化アンチモンのダストにばく露された英国の工場作業者のうち、8年以上従事した作業者に肺がんによる死亡例が多発したと報告され、その後、対象を拡げて調査した作業者の肺がん死亡の期待値 (5.7) は同年齢の肺がん死亡による期待値 (4.5) を僅かに上回るが、この程度の発がんの過剰リスクは例数が少なく、統計学的に必然的な事象とはいえず、「曖昧な結果」とされた (ACGIH (7th, 2001))。また、米国においてアンチモン鉱石精錬工場でアンチモンと砒素にばく露された作業者でも、三酸化アンチモンのダストばく露による肺がんが懸念されたが、肺がん死亡例の記録などがなく、情報不足で解析できなかった (ACGIH (7th, 2001)) と記述されている。これらの限定的なヒト疫学の知見に加えて、ラットに三酸化アンチモンのダスト (45 mg/m3)、又はアンチモン鉱石の破砕濃縮物 (40 mg/m3) をラットに1年間吸入ばく露した試験で、いずれのばく露群でも肺腫瘍が32%の発生率でみられ、腫瘍は組織学的に肺の扁平上皮細胞がん、細気管支/肺胞腺腫、細気管支/肺胞上皮がん、スキルスがんで構成されることが明らかにされた (ACGIH (7th, 2001)) との実験動物での知見に基づき、ACGIHは「三酸化アンチモンの製造工程」に対して「A2」に分類したが、アンチモン及びアンチモン化合物に対して、発がん性分類は付していない (ACGIH (7th, 2001))。日本産業衛生学会もアンチモン化合物の発がん性については、三酸化アンチモンに対してのみ第2群Bに分類している 産衛学会許容濃度の提案理由書 (2013))。 以上、発がん性に関して、三酸化アンチモンに対しては区分2又は区分1B相当と考えられるが、その他のアンチモン化合物には分類に利用可能なデータがなく、本物質についても、データ不足のため分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓) | 危険 | H370: 臓器の障害(呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓) |
P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は気道刺激性がある (DFGOT vol. 23 (2007)、HSDB (Access on August 2015))。また、データの詳細は不明であるが、ヒトの中毒による本物質の急性影響として、吸入及び経皮ばく露で、咳、喘鳴、呼吸困難、胸部圧迫感、肺水腫、経口摂取した場合、口腔と喉の重度の火傷、吐き気、嘔吐、腹部痙攣、血性下痢、任意の経路による全身吸収により、徐脈、低血圧、昏睡、発作、心停止、黄疸、糸球体腎炎、アルブミン尿、重度の低カルシウム血症、高カリウム血症、低マグネシウム血症の記載がある (HSDB (Access on August 2015))。 以上より、本物質は気道刺激性があり、その他の標的臓器は、List 2の情報源から、呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓への影響として、区分1 (呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓) とした。 新たな情報を追加し旧分類を見直した。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | 本物質のデータはなく、データ不足のため分類できない。 なお、ACGIH の「アンチモン及び化合物」において、高濃度の急性及び慢性ばく露で肺炎、心臓及び血液学的疾患が予想されるとの記載がある (ACGIH (7th, 2001))。また、ACGIH の「フッ化物」において、無機のフッ化物の職業ばく露によるフッ素沈着症に関連する骨の病変の報告がある (ACGIH (7th, 2001))。 旧分類では主にACGIHの記載からフッ化物として骨への影響、アンチモン化合物として肺、心血管系、肝臓への影響を分類していたが、本物質のデータではないことから参考に留めた。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、HSDB (Access on August 2015) に収載された数値データ (粘性率: 0.768 mPa・s (24.4 ℃)、密度 (比重) : 3.097 (25.8 ℃)) より、動粘性率は0.248 mm2/sec (25/26 ℃) と算出される。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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