名称:アセトアルデヒド
CAS番号:75-07-0
物質ID: | H27-B-034/C-070B_P |
分類実施者: | 厚生労働省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分1 | 危険 | H224: 極めて引火性の高い液体及び蒸気 |
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P233: 容器を密閉しておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P242: 火花を発生させない工具を使用すること。 P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点-38℃ (Closed cup) (ICSC (2003))、沸点20.1℃ (HSDB (Access on July 2015)) に基づいて区分1とした。なお、UNRTDG分類はUN.1089、クラス 3、PGTである。 | |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が175℃ (HSDB (Access on July 2015)) であり、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 低沸点の液体に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値として、660 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 167 (1995))、1,930 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第1巻 (2002)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 167 (1995)、DFGOT vol. 3 (1992)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1990)) に基づき、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P364: そして再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値として、640 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007)) との報告に基づき、区分3とした。優先度の高い新たな情報源に基づき、区分を見直した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
ラットのLC50値 (4時間) として、13,300 ppmとの報告 (NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 167 (1995)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1990)、IARC 36 (1985))、及びLC50値 (0.5時間) として、20,200 ppm (4時間換算値:7,142 ppm) との報告 (NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 167 (1995)、DFGOT vol. 3 (1992)) に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (1,000,000 ppm) より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質500 mgの適用により軽度の刺激性がみられたとの報告 (ACGIH (7th, 2001))より区分外 (国連分類基準の区分3) とした。なお、HSDB (Access on August 2015) には、腐食性を有するとの記載があるが、具体的な情報ではないためList1の情報を優先した。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質40 mgの適用した結果、強度の刺激性が見られたとの報告 (ACGIH (7th, 2001)) から区分2Aとした。なお、具体的な情報ではないが、本物質の液体や蒸気は眼に対して腐食性を有するとの記載がある (PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第1巻 (2002))。本物質はEU CLP分類において「Eye. Irrit. 2 H319」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトに対するパッチテスト2件の報告で、感作性がみられたとの報告がある (IUCLID (2000))。また、繊維工業において、接触性アレルギーの報告 (FROSCH, TEXTBOOK OF CONTACT DERMATITIS) や、本物質は接触性アレルゲンであるとの記載がある (PATTY (6th,2012))。以上より区分1とした。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
In vivoでは、腹腔内投与によるマウスの精子細胞の小核試験で陰性、腹腔内投与によるラット骨髄細胞、末梢血赤血球、マウス骨髄細胞の小核試験で陽性、妊娠13日目における経羊膜投与によるラット胚細胞の染色体異常試験、ラットの染色体異常試験(詳細不明) で陽性、腹腔内投与によるマウス骨髄細胞及びチャイニーズハムスター骨髄細胞の姉妹染色分体交換試験で陽性の報告がある(NITE初期リスク評価書 (2007)、IARC 71 (1999)、CEPA (2000)、ACGIH (7th, 2001))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、hprt遺伝子突然変異試験、小核試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陽性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、IARC 71 (1999)、CEPA (2000))。以上より、in vivo体細胞変異原性試験及びin vivo体細胞遺伝毒性試験で陽性、in vivo生殖細胞変異原性試験で陰性、in vivo生殖細胞遺伝毒性試験データなし、in vitro変異原性試験で陽性結果があることから、区分2とした。 | |
6 | 発がん性 | 区分1B | 危険 | H350: 発がんのおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質はエタノールの代謝物であり、アルコール飲料の摂取に関連したアセトアルデヒドについては、ヒトで食道がんなどを生じる十分な証拠があるとして、IARCはグループ1に分類した (IARC 100E (2012))。アルコール飲料摂取による影響を除外した本物質に対する発がん性分類はACGIHがA3 (ACGIH (7th, 2001))、EPAがB2 (IRIS Summary (1991))、NTPがR (NTP RoC 6th (1991)) とされている。IARCも1999年の本物質の発がん性分類では、本物質の発がん性に関して、実験動物ではラットを用いた吸入経路での発がん性試験において、1,500 ppm以上の用量で、鼻腔粘膜の腫瘍 (扁平上皮がん、腺がん) の増加がみられた他、ハムスターの吸入ばく露試験でも喉頭がんが認められたことから、実験動物では発がん性の確かな証拠があるが、ヒトでの証拠は不十分であるとして、「グループ2B」とされていた (IARC 71 (1999))。 以上より、実験動物での発がん性が確実であり、ヒトではアルコール飲料摂取以外のばく露による発がん性の証拠はないが、実験動物での吸入経路による鼻腔粘膜、又は喉頭における発がんはヒトでも吸入経路での職業ばく露等により、生じる可能性はあると考えられる。よって、本項は区分1Bとした。 なお、EU CLP分類では本物質、エタノールともに Carc. 2 に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on August 2015))。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分1B | 危険 | H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトでの生殖毒性影響に関して、本物質の直接的なばく露による報告はない。実験動物では、妊娠マウスに本物質を妊娠7〜9日に静脈内注射 (約31、62 mg/kg/day) した催奇形性試験において、胎児に用量依存的な吸収胚の増加、胎児重量の減少、外脳症、神経管閉鎖障害など奇形頻度の増加がみられた (NITE初期リスク評価 (2007)、PATTY (6th, 2012)) との記述、妊娠ラットの妊娠10〜12日に腹腔内注射した試験では、吸収胚の増加、胎児重量の減少、頭臀長及び尾長の減少、奇形 (指の異常、頭蓋・顔面の奇形) の増加がみられたとの記述 (ACGIH (7th, 2001))、妊娠ラットに経口投与した試験でも胎児に骨格奇形がみられた (NITE初期リスク評価 (2007)) との記述、さらにラット、及びマウスに本物質を in vivo、及びin vitro で処置した結果、胎児に奇形誘発がみられた (IARC 71 (1999) との記述などから、妊娠動物の器官形成期への本物質ばく露が奇形を誘発することは確実であると考えられる。なお、最近の報告として、胎盤に分化するとされている栄養膜細胞 (trophoblast) の市販細胞系を用いたin vitro培養実験系にエタノール、アセトアルデヒドを添加した実験において、いずれの添加群でも細胞増殖は抑制され、アルデヒド添加群ではアポトーシスも観察された。著者らは妊婦ではアルコール、アセトアルデヒドのいずれのばく露でも胎盤の成長を低下させることにより、胎児性アルコール障害の発症原因となり得るとの仮説を提唱している (Lui, S. et al., PLoS One, 2014 Feb 4;9 (2) : e87328 (2014))。 以上、本物質は実験動物での奇形誘発性が明らかである。ヒトでの催奇形性については不明であるが、ヒトの胎児性アルコール障害の原因物質と疑われ、上記のごとく調査研究が行われている。よって、本項は区分1Bとした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (中枢神経系、呼吸器)、区分3 (麻酔作用) |
危険 警告 |
H370: 臓器の障害(中枢神経系、呼吸器) H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は気道刺激性がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第1巻 (2002)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1990)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 167 (1995)、IARC 36 (1985)、PATTY (6th, 2012)、CEPA (2000)、DFGOT vol. 3 (1992))。 ヒトの吸入による中毒事例では、頭痛、咳、気管支炎、肺水腫、昏睡、中枢神経系抑制 (麻酔作用)、心拍数及び呼吸数の減少、運動麻痺、死亡、経皮ばく露において、咳き、肺水腫、肺壊死、中枢神経系抑制、高用量で痙攣、死亡がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第1巻 (2002)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1990)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 167 (1995)、IARC 36 (1985)、PATTY (6th, 2012)、CEPA (2000)、DFGOT vol. 3 (1992))。 実験動物では、ラットの経口 (区分2相当用量)、経皮 (区分1相当用量) で、中枢神経系抑制、呼吸数減少、心拍数増加、血圧上昇、肺水腫、蛋白尿、吸入 (区分1相当用量) で、麻酔作用、意識混濁、気管支炎、肺水腫の報告がある(NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第1巻 (2002)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1990)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 167 (1995)、IARC 36 (1985)、CEPA (2000))。 以上より、本物質は主として、気道刺激性、中枢神経系影響、麻酔作用、呼吸器への影響があり、区分1 (中枢神経系、呼吸器)、区分3 (麻酔作用) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについては、「紅斑、咳、肺水腫、麻酔作用」 (ACGIH (7th, 2001))、「頭痛、麻酔作用、麻痺、呼吸数の減少、呼吸器への刺激性、気管支炎、肺水腫」 (CEPA (2000)) 等の記載があるが、いずれも単回ばく露の影響に関する記述であった。 実験動物では、ラットを用いた4週間吸入毒性試験において、区分1の範囲である400 ppm (ガイダンス値換算:0.16 mg/L) で鼻粘膜の変性 (NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th、2001)、EHC 167 (1995))、ラットを用いた5週間吸入毒性試験において、区分1の範囲である243 ppm (ガイダンス換算値:0.16 mg/L) で嗅上皮の過形成、鼻粘膜の炎症、肺機能検査における残気量、機能的残気量の増加、遠位気道の損傷 (NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 167 (1995)) がみられた。このほか、ラットを用いた52週間吸入毒性試験では、区分2を超える範囲である750 ppm (1.37 mg/L) 以上で嗅上皮の変性、嗅上皮の呼吸上皮による置換がみられ、また、ハムスターを用いた90日間吸入毒性試験において 区分2の範囲である1,340 ppm (0.435 mg/L) で気管上皮の重層化がみられている (IRIS (1998)、ACGIH (7th, 2001))。 以上より、区分1 (呼吸器) とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、HSDB (Access on August 2015) に収載された数値データ (粘性率: 0.2456 mm2/sec (15 ℃)、密度: 0.7834 g/cm3 (18 ℃)) より、動粘性率は0.314 mm2/sec (15/18 ℃) と算出される。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)72時間ErC50 = 26 mg/L(環境省生態影響試験, 2008)であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(良分解性:28日でのBOD分解度=80%、TOC分解度=93%、GC分解度=100%(通産省公報, 1980))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC = 1.9 mg/L(環境省生態影響試験, 2008)であることから、区分外となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50 = 27.4 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2007)であるが、急速分解性があり、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow= -0.34(PHYSPROP Database、2008))ことから、区分外となる。 以上から、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
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