GHS分類結果

名称:ヨウ化水素
CAS番号:10034-85-2

結果:
物質ID: H27-B-021/C-042B_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分外 - - - - 不燃性である (GESTIS (Access on June 2015)。なお、UNRTDG分類はUN2197、クラス2.3、副次危険8である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類できない - - - - データがなく分類できない。
5 高圧ガス 液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 臨界温度 (151.0℃ (HSDB (Access on June 2015)) は65℃を超えているため、液化ガス (低圧液化ガス) とした。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(経皮) 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は強酸性物質である。具体的な報告はないが、ヒトの皮膚に対して腐食性を持ち、発赤や水疱を生じるとの記載や (CICAD 72 (2009))、ヒトの皮膚との接触により重度の刺激性と壊死を引き起こすとの記載がある (HSDB (Access on July 2015))。また、EU CLP分類において「Skin. Corr. 1A H314」に分類されている。以上より、区分1とした ((ECHA CL Inventory (Access on June 2015)))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
本物質は強酸性物質である。具体的な報告はないが、本物質は眼に対して腐食性を持ち、発赤と強い熱傷を示すとの記載 (CICAD 72 (2009)) や、本物質は眼に対して重度の刺激性を持つと記載がある (HSDB (Access on July 2015))。なお、本物質は皮膚腐食性/刺激性の分類で区分1に分類されている。以上より、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。なお、ACGIHはヨウ素、及びヨウ化物に対しA4に分類している (ACGIH (7th, 2008))。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (呼吸器) 危険 H370: 臓器の障害(呼吸器) P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は強い気道刺激性があり (HSDB (Access on June 2015))、ヒトの吸入ばく露で、頭痛、肺の傷害 (肺水腫、咽頭水腫など呼吸器影響) の報告がある (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2015))。実験動物のデータはない。 以上より、本物質は呼吸器への影響があり、区分1 (呼吸器) とした。 新たな情報を追加し旧分類を見直した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (皮膚、甲状腺、呼吸器、全身毒性) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(皮膚、甲状腺、呼吸器、全身毒性) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトにおいて、本物質の慢性ばく露により腎臓、脾臓の傷害、低血圧、動悸、運動失調、脱力感が生じ、肺の損傷を引き起こす場合がある。また、本物質の水溶液であるヨウ化水素酸の長期ばく露により皮膚発疹、頭痛、鼻粘膜の刺激が生じるとの記載がある (HSDB (Access on June 2015))。これらの所見について、本物質の反復ばく露に関する情報は不十分であるが、本物質は強酸性物質であり、急性毒性として刺激に基づく呼吸器への影響が報告されていることから、反復ばく露においても生じると推察される。一方、腎臓や脾臓に対する傷害については他に同様の報告がないことから、呼吸器系のみを標的臓器とした。本物質ではないが、ヨウ素中毒としてヨウ素疹や甲状腺の病変のほかに、喉頭炎、気管支炎、声門浮腫、喘息発作、唾液腺浮腫、耳下腺炎、胃炎、ヨウ素悪液質として、全身衰弱、心悸亢進、抑うつ、不眠、神経過敏などが記載されている (医療用医薬品集 2016 (2015))。以上のように、皮膚、甲状腺、呼吸器のほか標的臓器の特定が困難な全身性の諸症状がみられ、ヨウ素中毒については水溶性ヨウ素化合物において共通する影響と考えた。 したがって、区分1 (皮膚、甲状腺、呼吸器、全身毒性) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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