名称:ヘキサフルオロアルミン酸三ナトリウム【六フッ化アルミン酸三ナトリウム】
CAS番号:13775-53-6
物質ID: | H27-B-016/C-037B_P |
分類実施者: | 厚生労働省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である (GESTIS (Access on June2015))。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である (GESTIS (Access on June2015))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である (GESTIS (Access on June2015))。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水溶解度が測定されており、水と激しく反応しないと推定される。水溶解度:410 mg/L (GESTIS (Access on June2015))。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 酸素を含まずハロゲン元素 (F) を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値 (OECD TG 401) として、> 5,000 mg/kgとの報告 (ECHA RAC (2010)) に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、本物質の天然鉱物 (CAS 15096-52-3) のラットのLD50値として、> 5,000 mg/kgとの報告 (EPA Pesticide (1996)) がある。旧分類根拠のIUCLID (2000) のデータは検索サイト閉鎖により確認できなかったため、区分を変更した。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
ラットのLC50値 (4時間) (OECD TG 403) として、4,470 μg/L (4.47 mg/L) との報告 (ECHA RAC (2010)) に基づき、区分4とした。今回の調査で新たに入手したECHA RAC (2010) のデータに基づき、区分を見直した。なお、試験は本物質微粒子含有のエアロゾルで行ったとの記載に基づき、ミスト・ダストの基準値を適用した。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | 本物質の天然鉱物 (CAS 15096-52-3) について、ウサギを用いた皮膚刺激試験の結果、刺激性はみられなかったとの報告がある (EPA Pesticide (1996))。また、EU-RAR (2008) には、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において本物質の50%溶液を24時間適用した結果、刺激性はみられなかったとの報告や、ウサギに本物質を8時間又は24時間適用した結果刺激性はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2008))。以上の結果から区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 |
本物質 (合成クリオライト) をウサギの眼に適用した結果、結膜、強膜及び角膜に刺激反応はみられなかったとの報告や (ECHA RAC (2010))、中等度の結膜炎がみられたが7日以内に回復したとの記載がある (ECHA RAC (2010))。さらに、本物質の天然鉱物 (CAS 15096-52-3) について、ウサギを用いた眼刺激試験の結果、中等度の刺激性がみられたとの報告がある (EPA Pesticide (1996))。以上、回復性の記載をもとに区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、EU RAR (2008) にはモルモットを用いたマキシマイゼーション試験の結果、影響はみられなかったとの報告があるが詳細不明であるため、分類に用いるには不十分なデータと判断した。また、本物質の天然鉱物 (CAS 15096-52-3) は、労働者に発疹及びアトピー性皮膚炎をおこしたとの報告がある (PATTY (6th, 2012)) |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoデータは、ラット骨髄細胞の染色体異常試験で陰性 (EU-RAR (2008))、in vitroでは、本物質 (合成クリオライト)、天然鉱物 (CAS 15096-52-3) において、細菌の復帰突然変異試験、ヒトリンパ球の染色体異常試験、ラット初代肝細胞の不定期DNA合成試験でいずれも陰性である (EPA Pesticide (1996)、EU-RAR (2008))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 本物質 (合成クリオライト) についてはデータはないが、本物質の天然鉱物 (CAS 15096-52-3) に対しては、米国EPAが1957年以降、殺虫剤として登録使用されていた本物質の天然鉱物 (CAS 15096-52-3) に対し、1988年にGroup D (not classifiable as to human carcinogenicity) に分類した (EPA Pesticide (1996))。一方、ACGIHはフッ化物に対し、フッ素としてA4 (ACGIH (7th, 2001)) に分類している。以上、天然鉱物としても、フッ化物としても、本物質に関連して発がん性を示唆する知見はなく、分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | 本物質 (合成クリオライト) を用いた試験データはない。本物質の天然鉱物 (CAS 15096-52-3) を用いた試験データとしては、混餌投与によるラット2世代試験の報告があり、高用量の1,800 ppm (128-149 mg/kg/day相当量) を投与しても、親動物の生殖能に影響はないが、児動物には離乳まで体重増加抑制がみられた (EU-RAR (2008))。また、発生毒性影響としては、妊娠ラット、又は妊娠ウサギに天然クリオライトを強制経口投与した試験において、母動物に顕著な毒性影響 (体重増加抑制、胃の粘膜/内容物の暗赤色化、死亡例の発現) がみられる用量 (100-300 mg/kg/day以上) で、骨格変異 (肋骨、又は肢骨の湾曲)、又は奇形 (口蓋裂) の頻度増加がみられたとの報告がある (EU-RAR (2008)) が、他方で、妊娠ラットに3,000 mg/kg/dayの極量を妊娠6-15日に強制経口投与した試験では、母動物に歯の白色化がみられたのみで、胎児には無影響であったとの報告もある (EU-RAR (2008))。ECHAのリスク評価委員会 (RAC) は、本物質と天然物を併せてリスク/ハザード評価する過程で、上記の生殖毒性試験結果からはCLP分類に照らし、区分2への分類も考慮したが、発生毒性のデータは複数の試験間で結果の乖離が大きく、信頼性に疑問があるとして、生殖毒性には分類区分をつけないと結論した (ECHA RAC (2010))。 以上、EUの指摘どおり、天然クリオライトの発生毒性試験結果は一貫性がなく、本項は分類できないとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2 (呼吸器、肝臓) | 警告 | H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器、肝臓) |
P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質 (合成クリオライト) は気道刺激性がある ((EPA Pesticide Fact Sheet (1996)、EU-RAR (2008))。実験動物では、本物質 (合成クリオライト) のラットへの250 mg/kg以上の経口投与 (区分1相当) で衰弱、努力呼吸、> 5,000 mg/kg (LD50) で立毛、流涎、1.33-4.34 mg/Lの吸入ばく露 (区分2に相当) で、肺に肺胞中隔の線維化等、肝臓に小葉中心性の肝細胞の変性・壊死がみられたとの報告がある (EU-RAR (2008))。経口投与 (区分1相当) での努力呼吸は呼吸器への影響と判断せず、吸入試験 (区分2相当) の肺への影響、肝臓への影響の知見から区分2 (呼吸器、肝臓) とした。 新たな情報を追加し、旧分類の区分を見直した。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (神経系、骨、歯、肺、肝臓、腎臓、胃) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系、骨、歯、肺、肝臓、腎臓、胃) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質 (合成クリオライト) の情報として、ラットを用いた5ヶ月間反復吸入毒性試験において、0.001 mg/Lで持続性の硬直、自発運動低下、血漿中コリンエステラーゼ活性低下、尿・骨・歯のフッ化物増加、骨の骨膜/骨の異栄養性/溶骨性病変、歯のエナメル質欠損、肺胞炎、気管・気管支リンパ節の過形成、肝細胞の脂肪変性・単細胞壊死、近位尿細管の壊死、腺胃の限局性粘膜下炎症、脳の血管周囲の炎症・神経膠細胞の増殖がみられている (ECHA RAC (2010))。これらは区分1の範囲であった。また、ラットを用いた28日間反復経口投与毒性試験において、25 mg/kg/day (90日換算:7.78 mg/kg/day) で歯の色調及び物理的性質の変化がみられている (ECHA RAC (2010))。これらは区分1の範囲であった。 一方、本物質の天然鉱物 (CAS 15096-52-3) の情報として、ヒトでは、天然クリオライトのダストの長期職業ばく露による関節痛や関節の可動域の制限を合併した骨のフッ素沈着症の報告がある (EU-RAR (2008)、ECHA RAC (2010))。また、デンマークの天然クリオライト関連従業者の子供においてフッ化物の間接ばく露による歯のフッ素沈着症の報告がある (ECHA RAC (2010))。また、実験動物では、ラットを用いた90日間反復吸入毒性試験において、0.00104 mglLで肺の肺胞管壁の肥厚の形跡を伴った肺胞炎、0.0046 mg/Lで骨・歯の無機フッ化物濃度の増加、肺の絶対重量増加、気管気管支リンパ節の貪食マクロファージの集簇がみられている (ECHA RAC (2010))。これらは区分1の範囲であった。 したがって、区分1 (神経系、骨、歯、肺、肝臓、腎臓、胃) とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(ミジンコ)EC50 = 10.0 ppm(U.S. EPA: RED, 1996)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 | - | H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。無機化合物であり、急速分解性に関するデータも得られておらず、急性毒性区分2であることから、区分2とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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