名称:プロピオンアルデヒド
CAS番号:123-38-6
物質ID: | H27-B-010/C-031B_P |
分類実施者: | 厚生労働省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分2 | 危険 | H225: 引火性の高い液体及び蒸気 |
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P233: 容器を密閉しておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P242: 火花を発生させない工具を使用すること。 P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点-30℃ (closed cup)、沸点48℃ (HSDB (Access on June 2015)) に基づいて区分2とした。 なお、UNRTDG分類はUN.1275、クラス3、PGIIである。 | |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が207℃ (HSDB (Access on June2015)) であり、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 低沸点の液体に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値として、800-1,600 mg/kg (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2002))、1,410 mg/kg (SIDS (2007))、2,000 r/s (雄)、1,700 mg/kg (雌) (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2002)) との報告に基づき、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギのLD50値として、2,000 mg/kg (雄)、2,500 mg/kg (雌) (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2002))、5.0 mL/kg (4,036 mg/kg) (SIDS (2007))、5.0 mL/kg (4,036 mg/kg) (ACGIH (7th, 2002)) との4件の報告がある。最も多くのデータ (3件) が該当する区分外 (国連分類基準の区分5) とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
ラットのLC50値 (30分) として、26,000 ppm (4時間換算値:9,200 ppm) との報告 (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2002)) に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (420,000 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 |
ウサギを用いた2件の皮膚刺激性試験 (OECD TG404、GLP準拠又はEPA TSCA ガイドライン、GLP適合) において、本物質の原液0.5 mLを適用した結果、前者の試験では軽度の紅斑がみられたが24時間以内に回復し (BUA 195 (1996))、後者の試験では壊死を伴う中等度から強度の刺激性がみられ4/6匹は14日後まで持続した (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2002))。また、ウサギを用いた別の皮膚刺激性試験において、未希釈の本物質0.01 mLを適用した結果1/5匹に顕著な紅斑がみられたとの報告や (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2002))、未希釈の本物質を24時間閉塞適用した結果、軽度から強度の刺激性がみられPII (一次刺激指数) は3.9だったとの報告がある (ACGIH (7th, 2002))。さらにモルモットを用いた刺激性試験の結果、強度の刺激性がみられたとの報告があるが回復性について記載はない (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2002))。さらにヒトの報告では、アジアのボランティア12人に対して本物質の5分間のパッチテストを行った結果、5人に強度の紅斑、7人に弱い紅斑が見られたとの報告がある (ACGIH (7th, 2002))。以上の結果から区分2と判断した。なお、本物質は、EU CLP分類において「Skin. Irrit. 2 H315」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2015))。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
未希釈の本物質0.02 mL又は0.005 mLをウサギの結膜嚢に適用した結果、0.02 mL適用群で強度の眼傷害がみられ、0.005 mL適用群で中等度の刺激性がみられたとの報告があるが回復性については記載がない (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2002))。また、別の報告ではウサギの結膜嚢に本物質0.01 mLを適用した結果、軽度の角膜外傷、中等度から強度の結膜刺激を伴う虹彩炎がみられたが10日以内に回復した (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2002))。以上の結果から区分2とした。なお、未希釈本物質を一滴ウサギの角膜嚢に適用した結果、角膜混濁がみられ観察期間中に回復しなかったとの報告があるが (ACGIH (7th, 2002))、観察期間が不明であるため区分に用いなかった。本物質は、EU CLP分類において「Eye. Irrit. 2 H319」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2015))。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性 (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2002)、食品安全委員会_添加物評価書 (2010))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性及び陽性の結果、染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験、不定期DNA合成試験で陽性の結果が報告されている (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2002)、食品安全委員会添加物評価書 (2010)、IRIS Summary (2008)、IRIS Tox. Review (2008)、NTP DB (Access on July 2015))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ヒトでの生殖毒性に関する情報はない。実験動物では、ラットの吸入経路での反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、親動物に毒性影響 (体重増加抑制 (雌のみ)、鼻腔嗅上皮の空胞化、萎縮 (雌雄)) がみられる用量 (最大 1,500 ppm) で、生殖能への有害性影響はなく、F1児動物に生後0及び4日における生存率、及び体重には影響はみられなかった (IRIS Tox. Rev. (2008)、ACGIH (7th, 2002)、SIDS (2007))。また、妊娠ラット (7匹/群) に妊娠期間中 (妊娠0-20日)、吸入ばく露した発生毒性試験において、母動物に体重増加抑制がみられる用量 (1,000 ppm) を超える用量 (2,500 ppm) で、胎児重量の低値がみられたと報告されている (IRIS Tox. Rev. (2008)、ACGIH (7th, 2002)、SIDS (2007))。以上より、実験動物を用いた試験では明らかな生殖発生毒性影響は検出されていないが、前者はスクリーニング試験結果のため、この結果のみでは区分外にはできない。また、後者は母動物毒性が生じる用量で、発生毒性影響としては胎児重量の低値のみの最小限の影響と考えられ、分類ガイダンス上で分類の根拠とすべき所見ではないと判断された。以上、既知見からは分類可能な所見はないが、区分外とするにはデータ不足と判断し、本項は分類できないとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2 (呼吸器)、区分3 (麻酔作用) | 警告 |
H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器) H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は気道刺激性及び麻酔作用がある (ACGIH (7th, 2002))。実験動物では、ラットの吸入ばく露で、気管支炎、気管支肺炎、肝臓及び腎臓の充血の報告があり (ACGIH (7th, 2002))、その症状は区分2相当でみられた。この肝臓、腎臓の充血について詳細な情報は記載がなかった。 以上より、区分の対象となる情報は、呼吸器への影響と麻酔作用であり、区分2 (呼吸器)、区分3 (麻酔作用) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2 (呼吸器) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトに関する情報はない。 実験動物では、ラットを用いた吸入経路での反復投与・生殖発生毒性併合試験において、区分2に該当する150 ppmの52日間吸入ばく露 (ガイダンス値換算:88.3 ppm=0.21 mg/L (蒸気)) で鼻腔の嗅上皮細胞の空胞化がみられ、回復性がみられた (ACGIH (7th, 2002)、IRIS Tox. Review (2008)、SIDS (2007))。 経口経路では、ラットを用いた90日間強制経口投与毒性試験において、区分2を超える範囲である1,000 mg/kg/dayで、体重増加抑制、食道〜空腸の壊死あるいは潰瘍・細胞浸潤・出血等、精巣の精細胞減少、精母細胞の変性、尿pHの低値、尿細管上皮細胞の変性・壊死・好塩基性化がみられた (食品安全委員会添加物評価書 (2010))。 なお、旧分類では吸入経路での反復投与・生殖発生毒性併合試験が生殖毒性試験のスクリーニング試験であること、他の試験では90 ppmで毒性影響がみられていないことを根拠として、データ不足により分類できないとしていた。しかし、この反復投与・生殖発生毒性併合試験は単なる生殖毒性のスクリーニング試験ではなく、反復投与毒性の検出も目的とした試験であること、また、毒性のみられなかった試験のばく露条件は90 ppmを20回ばく露した結果であり、ばく露条件からの換算値は0.048 mg/Lとなり、併合試験で影響の出た用量に比べて低いことから併合試験の結果を否定する根拠とはならない。 以上のように吸入経路では区分2に該当する濃度で鼻腔の嗅上皮細胞の空胞化がみられたことから、区分2 (呼吸器) とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。なお、HSDB (Access on June 2015) に収載の数値データより、動粘性率計算値は0.37 mm2/sec (26.7/25℃) (粘性率: 0.3167 mPa・s; 密度: 0.8657 g/cm3) と算出される。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ファットヘッドミノー)96時間LC50 = 14 mg/L(SIDS, 2007)であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性があり(良分解性:28日でのBOD分解度=94%、TOC分解度=97%、GC分解度=100% (通産省公報, 1990))、急性毒性は区分3であるが、生物濃縮性が低いと推測される(LogPow=0.59(PHYSPROP Database, 2009))ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
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