名称:テトラヒドロメチル無水フタル酸【メチルテトラヒドロイソベンゾフラン-1,3-ジオン】
CAS番号:11070-44-3
物質ID: | H27-B-006/C-027B_P |
分類実施者: | 厚生労働省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 引火点157℃ (開放式)、沸点290℃ (SIDS (2005)) に基づいて区分外とした。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 化学構造に不飽和結合 (オレフィン) を含むが、データがなく分類できない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値として、1,900 mg/kg (環境省リスク評価第4巻暫定的有害性評価シート (2005)、SIDS (2005))、> 2,000 mg/kg (OECD TG401準拠) (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2015)、環境省リスク評価第4巻暫定的有害性評価シート (2005)、SIDS (2005))、1,900-2,590 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)) との3件の報告がある。1件が区分4、1件が区分外に該当するので、LD50値の最小値が該当する区分4とした。なお、1件は集約データであるために該当数に含めなかった。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分4 | 警告 | H312: 皮膚に接触すると有害 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぐこと。 P364: そして再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギのLD50値として、1,710 mg/kg (SIDS (2005))、1,710 mg/kg (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002))、> 2,000 mg/kg (SIDS (2005)) との3件の報告がある。最も多くのデータが該当する区分4とした。今回の調査で入手したSIDS (2005)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002) の情報に基づき、区分を見直した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 |
ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (適用時間不明) においてPII (皮膚一次刺激指数) は3.5であり「中等度の刺激性あり」との報告されている (SIDS (2005))。また、別の報告でウサギの腹部に本物質の原液0.01 mLを開放適用した結果、刺激スコアは1だったとの報告があるが詳細不明である (SIDS (2005))。以上の結果から、区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質の原液0.1 mLを適用した結果、1分後に角膜混濁及び眼球の不透明化、24時間後に虹彩のうっ血がみられ、10日後に完全に回復しなかった (SIDS (2005))。また、別の試験において原液0.005 mL又は5%溶液0.5 mLを適用した結果、18-24時間後に強度の角膜損傷がみられたとの報告がある (SIDS (2005))。以上の結果から、10日後に回復性がみられなかったことや、強度の角膜損傷の報告から区分1とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Eye Dam. 1 H318」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2015))。情報を精査し区分を変更した。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 区分1 | 危険 | H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P284: 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
複数の職業ばく露の報告において、喀痰を伴う咳、喘鳴、喘息、咳嗽など呼吸器感作性による影響が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2005)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002)、環境省リスク評価第4巻 (2005)、DFGOT vol. 10 (1998))。また、本物質は日本産業衛生学会で気道感作性物質の第1群に分類されている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002))。以上より、区分1とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Resp. Sens. 1 H334」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2015))。 | |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P362+P364: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
複数の職業ばく露の報告において、皮膚炎、じんま疹など皮膚感作性を示す所見が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2005)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002))。以上の結果から、区分1とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2015))。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で疑陽性である (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2015)、NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2005)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットを用いた経口経路 (強制経口) での反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、最高用量の300 mg/kg/dayまで親動物の生殖能力、児動物の生後4日までの生存率、体重推移に有害影響はみられなかった (SIDS (2005)、環境省リスク評価暫定的有害性評価シート (2005)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2015))。ただし、本データはスクリーニング試験結果であり、この結果のみでは「区分外」とできず、他に利用可能なデータはない。よって、データ不足のため分類できないとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) | 警告 |
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用) H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は気道刺激性がある (SIDS (2005)、NITE初期リスク評価書 (2008))。実験動物では、ラットの2,000 mg/kg経口投与で自発運動低下、緩徐呼吸、腹臥姿勢が見られたが投与3日後以内に回復したとの報告(厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2015))、局所刺激性に起因する前胃粘膜の肥厚、扁平上皮過形成及び粘膜下の肉芽腫性炎症 (LD 50:1,900 mg/kgのほか、詳細な記載無し) の報告がある (SIDS (2005)、NITE初期リスク評価書 (2008))。 上述の自発運動低下、緩徐呼吸、腹臥姿勢は麻酔作用の症状とした。また、前胃粘膜の肥厚、扁平上皮過形成及び粘膜下の肉芽腫性炎症は本物質の刺激性に起因するものであり消化管を対象としなかった。以上より、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 ラットを用いた14日間強制経口投与毒性試験において、区分2相当の300 mg/kg/day (90日換算:46.7 mg/kg/day) で前胃粘膜肥厚がみられた (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002)、環境省リスク評価第4巻暫定的有害性評価シート (2005))。また、ラットを用いた経口経路 (強制経口) での反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験において、区分2相当の100 mg/kg/day (90日換算:54.4 mg/kg/day) で前胃の扁平上皮化生がみられた (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002)、環境省リスク評価第4巻暫定的有害性評価シート (2005)、SIDS (2005)、NITE初期リスク評価書 (2008))。これら前胃の病変は刺激性に起因したものと考えられることから分類に用いなかった。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)72時間ErC50 = 81 mg/L(環境庁生態影響試験, 1996)であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 | - | H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BioWin)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖) = 0.94 mg/L(環境庁生態影響試験, 1996、SIDS, 2007、NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がない(BioWin)が、魚類(メダカ)の96時間LC50 >100 mg/L(環境庁生態影響試験, 1996、SIDS, 2007、NITE初期リスク評価書, 2008)であり、水溶解度が176.4 g/L(NITE総合検索, 2015)であることから、区分外となる。 以上の結果を比較して、区分2とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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