GHS分類結果

名称:硫酸カルシウム (二水和物) 【石膏、二水石膏、軟石膏】
CAS番号:10101-41-4

結果:
物質ID: H27-A-016/C-016A_P
分類実施者: 厚生労働省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性である (ICSC (2009))。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性である (ICSC (2009))。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性である (ICSC (2009))。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水溶解度が測定されており、水と激しく反応しないと推定される。水溶解度2.05 g/L (SIDS (2005))
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - ハロゲン元素を含まず酸素を含む無機化合物であるが、データが無く分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg との報告 (SIDS (2005)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ラットを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404、GLP適合) において、本物質500 mgを4時間適用した結果、刺激反応はみられなかったとの報告がある (SIDS (2005))。以上の結果から区分外と判断した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いたビューラー試験 (OECD TG 406、GLP適合) で全ての供試動物の感作性スコアが0であったことから、感作性なしと結論されている (SIDS (2005))。以上の結果から区分外と判断した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。本物質は、in vivoではマウスの小核試験で陰性 (SIDS (2005))、in vitroでは細菌の復帰突然変異試験で陰性である (SIDS (2005))。本物質の類縁物質の硫酸カルシウム (CAS 7778-18-9) は、in vitroで細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験において陰性の報告がある (SIDS (2005))。以上、類縁物質の情報に基づき判断した。
6 発がん性 分類できない - - - - 国際機関による分類結果もなく、データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 本物質をラットに強制経口与した反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、限度量 (1,000 mg/kg/day) まで投与しても親動物の生殖能、及び児動物への発生影響はみられなかった (SIDS (2009))。ただし、スクリーニング試験結果のみでは「区分外」に分類できず、他に本項の分類に利用可能なデータはなく、データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質はヒトに対して気道刺激性がある (SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2006)) との情報から、区分3 (気道刺激性) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ヒトについては、本物質 (二水和物) の明確な健康影響の報告はない。 ドイツのストーンウェア工場の石膏型製造者の肺X線所見で影響がみられたとの報告 (DFGOT vol. 2 (1991))、カナダの石膏鉱山労働者、粉砕作業従事者の横断的研究 において呼吸困難、X線検査において肺の陰影がみられたとの報告やイギリスの石膏鉱山の従業員の横断的研究 において肺実質の影響、肺機能への影響がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2006))。しかし、疫学データはばく露情報がなく、また、石英のばく露の影響を除外できない。 動物実験において、本物質をラットに強制経口投与した反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、雄300 mg/kg/day以上 (90日換算: 117 mg/kg/day以上) で総蛋白、アルブミン、BUN、AST、ALT、クレアチニンの減少がみられている (SIDS (2009))。これらの変動は区分2の範囲を超えている。 上記のとおり、ヒトにおいて本物質の明確な健康影響の報告がなく、実験動物において十分な毒性試験データがない。したがって、データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)72時間ErC50 > 100 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 > 100 mg/L、魚類(メダカ)96時間LC50 > 100 mg/L(いずれもSIDS, 2005)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。難水溶性ではなく(水溶解度=2.05 g/L、SIDS, 2005)、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)


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