名称:2,6−キシレノール
CAS番号:576-26-1
物質ID: | H27-B-04-METI/M-025B_P |
分類実施者: | 経済産業省/環境省 |
分類実施年度: | 平成27年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1)) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 可燃性という情報 (HSDB (Access on 2015)) があるが、データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が> 500℃ (GESTIS (Access on November 2015)) であり常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 融点が55℃以下の固体ではあるが、データがなく分類できない。なお、アルミニウム、銅及び銅合金は腐食作用を受け、鋼、ステンレス鋼、ガラス、セラミック及び多くの合成物質は耐久性があるとの情報 (Hommel (1997)) がある。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分3 | 危険 | H301: 飲み込むと有毒 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P361+P364: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値として、296 mg/kgとの報告 (環境省リスク評価第5巻 (2006)) に基づき、区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P364: そして再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値として、2,325 mg/kg及びウサギのLD50値として、1,000 mg/kgとの報告 (環境省リスク評価第5巻 (2006)) がある。ラットでは区分外であり、ウサギでは区分3となる。LD50値の最小値が該当する区分を採用し、区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は皮膚に対して腐食性を示す (環境省リスク評価第5巻 (2006)) との記載や、化学熱傷が生じると考えられるとの記載 (NITE初期リスク評価書 (2008)) がある。また、ラット、ウサギ、モルモットの皮膚に局所適用すると適用部位に刺激性を示し、潰瘍を生じる (NITE初期リスク評価書 (2008)) との記載がある。また、本物質はウサギの皮膚への適用で腐食性を有するとの記載がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。以上から、区分1とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin. Corr. 1B H314」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on October 2015))。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
本物質はウサギの眼に対して刺激性を有する (NITE初期リスク評価書 (2008)) との記載や、眼に対して腐食性を示す (環境省リスク評価第5巻 (2006)) との記載がある。また、本物質は皮膚腐食性/刺激性の分類で区分1に分類されている。以上から区分1とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | In vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性、ヒトリンパ球の姉妹染色分体交換試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、HSDB (Access on October 2015)、NTP DB (Access on November 2015))。したがって、ガイダンスに従い分類できないとした。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | ヒトでの発がん性に関する情報はない。実験動物では、本物質をベンゼン溶液として、雌マウスの背部皮膚に10%の濃度で25 μL反復適用 (2回/週) した試験において、20週間後に適用部位に乳頭腫が8%の発生頻度でみられたが、がんはみられなかった (環境省リスク評価第5巻 (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008))。また、イニシエーターのDMBA (9,10-ジメチル-1,2-ベンズアン卜ラセン) のベンゼン溶液を背部皮膚に塗布後、本物質をベンゼン溶液中20%の濃度で25 μL、反復経皮適用 (2回/週) した試験において、DMBAとの併用群では15週間投与後、適用部位に乳頭腫が30%、がんが4%に発生し、23週間投与後にはがんの発生頻度は11%となった。一方、DMBA塗布のみの対照群では15週間後に乳頭腫が13%、がんは0%、53週間後にがん発生頻度が6%となった。また、DMBA塗布後ベンゼンのみを反復適用した群では24週間後に乳頭腫が11%にみられた (環境省リスク評価第5巻 (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008))。以上、環境省のリスク評価では、同時に試験した2,4-キシレノールの結果と併せて、本物質は2,4-キシレノールより弱いプロモーター作用を有するとの原著者による示唆に対し、溶媒に用いたベンゼン自体に発がん作用があるため、プロモーター作用の有無の結果の解釈は難しいと記述されている (環境省リスク評価第5巻 (2006))。この他、発がん性の分類に利用可能な動物実験データはない。また、国際機関による発がん性分類もなされていない。したがって、本項はデータ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物では妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6〜15日) に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物には180 mg/kg/day以上で体重増加抑制、540 mg/kg/dayで死亡 (2/24例) がみられたの対し、胎児には540 mg/kg/dayで体重の低値がみられた (環境省リスク評価第5巻 (2006)) との記述がある。すなわち、母動物に顕著な毒性が発現する用量まで投与しても、胎児には発生影響として分類対象所見に含めない軽微な変化がみられたのみであった。しかしながら、性機能・生殖能への影響を評価した試験結果がなく、本項はデータ不足のため分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) |
危険 警告 |
H370: 臓器の障害(中枢神経系) H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用) H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P308+P311: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質のヒトデータはないが、実験動物では、本物質のラット、マウス吸入ばく露 (0.27 mg/L、区分1相当) で、呼吸阻害、れん縮性振戦の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、HSDB (Access on October 2015))。本物質はフェノールに類似の毒性を示すと報告されており (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、HSDB (Access on October 2015))、フェノールから推定される毒性は、経口ばく露あるいは経皮ばく露で粘膜腐食性による灼熱感、頭痛、眩暈、吐き気、腹痛、嘔吐、下痢、筋肉れん縮、中枢神経抑制、意識喪失、吸入ばく露で、気道刺激性、頭痛、咳、衰弱、吐き気、嘔吐、感覚異常、アルブミン尿症であるとの記載がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、HSDB (Access on October 2015)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。 以上より、本物質は気道刺激性のほか、中枢神経系に影響があり、区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓)、区分2 (血液系) |
警告 危険 |
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓) H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱い後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトに関する情報は得られていない。 実験動物に関して、経口経路では、ラットを用いた28日間強制経口投与毒性試験において、区分2の範囲内である400 mg/kg/day (90日換算値=88.9 mg/kg/day) の雌雄で肝臓重量の有意な増加、運動失調、流涎、脾臓での髄外造血、雌で貧血の報告 (環境省リスク評価第5巻 (2006))、ラットを用いた8ヶ月間反復経口投与毒性試験において、区分1の範囲内である6 mg/kg/day群で主に肝臓、腎臓、脾臓の病理組織学的変化 (肝細胞の脂肪変性、腎臓の硝子滴変性、脾臓の骨髄性細胞及び網内系細胞の増加、脾臓リンパ濾胞の萎縮) の報告がある (環境省リスク評価第5巻 (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008)、IRIS Summary (1988))。 吸入経路では、ラットを用いた4.5ヶ月間吸入毒性試験において、区分1の範囲内である22 mg/m3群 (ガイダンス値換算:0.015 mg/L/6hr/day) でヘキソバルビタール睡眠時間の有意な延長、遊泳能力の阻害、血中のカタラーゼ活性及びコリンエステラーゼ活性の有意な低下、体重及び肝臓重量の有意な減少、気道で気管周囲及び血管周囲性のリンパ球浸潤、気管及び主気管支粘膜の変性、肺胞の出血、肺胞壁の障害、肝臓で円形細胞浸潤や脂肪変性、腎臓で退行性変化、脾臓で白脾髄の増加と赤脾髄の鬱血、毛細管の肥厚が報告されている (環境省リスク評価第5巻 (2006))。 以上のように、経口経路では、血液系に対する影響が区分2、肝臓、腎臓、脾臓への影響が区分1の範囲でみられ、吸入経路では、中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓、脾臓に対する影響が区分1の範囲でみられた。しかし、脾臓については貧血に対する二次的変化や非特異的変化と考えられることから標的臓器とはしなかった。 したがって、区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓)、区分2 (血液系) とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(ブラインシュリンプ)48時間LC50 = 2.2 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 | - | H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、28日でのBOD分解度=2%、HPLC分解度=1%(経済産業公報, 2003))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC (繁殖) = 0.538 mg/L(環境省リスク評価第5巻, 2006))であることから、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく、魚類(メダカ)の96時間LC50 = 15.4 mg/L(環境省リスク評価第5巻, 2006)であることから、区分3となる。 以上の結果を比較し、区分2とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
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