GHS分類結果

名称:(RS)-1-[3-クロロ-4-(1, 1,2-トリフルオロ-2-トリフルオロメトキシエトキシ)フェニル]-3-(2, 6-ジフルオロベンゾイル)ウレア (別名ノバルロン)
CAS番号:116714-46-6

結果:
物質ID: H27-A-12-METI/M-010A_P
分類実施者: 経済産業省/環境省
分類実施年度: 平成27年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版(Ver.1.1))

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 熱に200℃まで安定 (農薬抄録 (2013)、農薬ハンドブック (2005)) であり、常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素及び塩素を含む有機化合物であるが、この酸素、フッ素及び塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kgとの報告 (農薬抄録 (2013)、食品安全委員会農薬評価書 (2012)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kgとの報告 (農薬抄録 (2013)、食品安全委員会農薬評価書 (2012)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットのLC50値 (4時間) として、> 5,150 mg/m3との報告 (農薬抄録 (2013)、食品安全委員会農薬評価書 (2012)) に基づき、区分外とした。なお、被験物質が固体であるため、粉じんの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質500 mgを4時間、閉塞適用した結果、刺激性変化は認められなかったとの報告がある (農薬抄録 (2013))。以上より区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質0.1 mL (72 mg) を適用した結果、角膜及び虹彩に刺激性変化がみられなかった。結膜には発赤が認められたが1日後には回復したことから、本物質は眼に対して刺激性はないと報告されている (農薬抄録 (2013))。以上より、区分外とした。なお、HSDB (Access on October 2015) には、一時的ではあるが顕著な眼に対する傷害を示す (HSDB (Access on October 2015)) との記載や、本物質は眼刺激性を示さないとの記載 (HSDB (Access on October 2015)) があるが、より詳細な記載のあるウサギの情報から区分した。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、感作惹起後に感作反応はみられず、感作性なしと報告されている (農薬抄録 (2013)、食品安全委員会農薬評価書 (2012))。上記の試験は、OECD TG 406相当のGLP適合試験であることから、本物質を区分外とした。なお、HSDB (Access on October 2015) には、反復ばく露により一部のヒトにアレルギー反応を起こす可能性がある (HSDB (Access on October 2015)) との記載や、本物質は皮膚感作性を示さない (HSDB (Access on October 2015)) との記載があるが、詳細不明であるため分類には用いなかった。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - In vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、培養ヒト末梢血リンパ球の染色体異常試験で陰性である (農薬抄録 (2013)、食品安全委員会農薬評価書 (2012)、HSDB (Access on October 2015)、EPA Pesticide Fact Sheet (2001))。したがって、ガイダンスに従い分類できないとした。
6 発がん性 区分外 - - - - ヒトの発がん性に関する情報はない。実験動物では、ラットに2年間、又はマウスに1.5年間、本物質を混餌投与した発がん性試験において、ラットの700 ppm以上、及びマウスの450 ppm以上の投与群で、血液影響、脾臓、肝臓における組織変化など非腫瘍性変化が認められたが、ラット、マウスの雌雄いずれも毒性発現量においても腫瘍性病変の発生頻度の増加はみられていない (農薬抄録 (2013)、食品安全委員会農薬評価書 (2012))。発がん性の既存分類結果としては、EPAが2004年にNL (Not Likely to be Carcinogenic to Humans) に分類した (U.S. EPA Office of Pesticide Program. Chemicals Evaluated for Carcinogenic Potential. (April, 2006)、HSDB (Access on October 2015)) 以外、国際機関による分類はなされていない。 以上、経口経路での発がん性試験結果、及び既存分類結果より、本項はガイダンスに従い区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物ではラットを用いた経口経路 (混餌投与) による2世代繁殖毒性試験において、親動物では中用量 (4,000 ppm) 以上で腎臓相対重量の増加 (F1雄) が、高用量 (12,000 ppm) 群では脾臓ヘモジデリン沈着 (F0、F1の雌雄)、小葉中心性肝細胞肥大 (F1雄)、小葉周辺性肝細胞脂肪変性 (F1雌)、子宮広間膜のヘモジデリン沈着 (F0雌) がみられたが、生殖能への有害影響は認められなかった。児動物では12,000 ppm 群で哺育14日、21日の生存児数の減少 (F1)、離乳時の剖検で肝臓及び脾臓重量の増加 (F1、F2) がみられた。なお、肝臓又は脾臓重量の増加は1,000 ppm以上で主に相対重量の増加として、F1、F2両世代の雌雄で散見された (統計的有意差を示さない投与群も含まれた) (農薬抄録 (2013)、食品安全委員会農薬評価書 (2012))。催奇形性試験としては、妊娠ラットの妊娠6〜15日に、妊娠ウサギの妊娠6〜19日に1,000 mg/kg/dayまでの用量を強制経口投与した試験において、ラットの試験では限度量まで投与しても母動物、胎児いずれにも毒性影響はみられなかった (農薬抄録 (2013)、食品安全委員会農薬評価書 (2012)、HSDB (Access on October 2015))。一方、ウサギの試験では母動物毒性は1,000 mg/kg/day で体重増加抑制が、胎児への影響は300 mg/kg/day以上で骨格変異 (第5胸骨分節不完全骨化の頻度増加) がそれぞれ認められたが、催奇形性は示されなかった (農薬抄録 (2013)、食品安全委員会農薬評価書 (2012))。 以上、実験動物を用いた繁殖毒性試験及び催奇形性試験結果からは性機能・生殖能への影響、及び催奇形性は示されなかった。唯一、妊娠ウサギへの器官形成期投与で、母動物に対し無毒性である用量から、胎児毒性として骨格変異の頻度増加がみられただけで、分類可能な明確な発生影響とは言い難い。したがって、繁殖試験、及び催奇形性試験結果から分類可能な所見は示されず、本項は区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分外 - - - - 本物質に関するヒトのデータはない。実験動物では、ラットの経口投与 (LD50 > 5,000 mg/kg、区分2超) で立毛、円背位、ラットの経皮投与 (LD50 > 2,000 mg/kg、区分2超) で異常所見なし、ラットの吸入ばく露 (LC50 > 5.15 mg/L) で異常所見なし (農薬抄録 (2013)、食品安全委員会農薬評価書 (2012)) より、いずれも限度量 (又は達成可能な最高濃度) まで投与しても症状及び剖検所見に異常が認められていないことから、区分外とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (血液系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(血液系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱い後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトに関する報告はない。 実験動物に関しては、ラットを用いた90日間混餌投与毒性試験において、区分1の範囲である50 ppm (雌:4.7 mg/kg/day) 投与群以上で雌に血液系への影響 (赤血球の減少等) がみられた (食品安全委員会農薬評価書 (2012)、農薬抄録 (2013))。 以上のように、血液系への影響が区分1の範囲でみられた。 このほか、ラットを用いた慢性毒性/発がん性併合試験、マウスを用いた90日間混餌投与毒性試験、18ヶ月間混餌投与毒性試験、イヌを用いた90日間混餌投与毒性試験、52週間混餌投与毒性試験において、区分2の範囲で血液系への影響がみられた (食品安全委員会農薬評価書 (2012)、農薬抄録 (2013)) したがって、区分1 (血液系) とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50 = 0.13 ppb(AQUIRE, 2016)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BioWin)、甲殻類(ミシッドシュリンプ)の28日間NOEC = 0.026 ppb(AQUIRE, 2016)であることから、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BioWin)、魚類(シープスヘッドミノー)の96時間LC50 = 2.0 ppb(AQUIRE, 2016)であることから、区分1となる。 以上の結果から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - データなし


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)


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