項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 7697-37-2 |
名称 | 硝酸 (再分類) |
物質ID | H26-B-114, R-054 |
分類実施年度 | 平成26年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 区分外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団 (N-O) を含むが、UN2031、クラス8、副次危険5.1、PGIに分類されており区分外とした。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品ではない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2006)) |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団 (N-O) を含むが、酸化性液体に分類されている。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2006)) |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2006)) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At) を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 区分3 |
警告 |
H272 | P370+P378 P210 P220 P221 P280 P501 |
硝酸 (65%) は、UNRTDG Manual of Tests and Criteria 5th revised edition (2009) でクラス5.1の試験結果例としてPGⅢとの記載があり区分3とした。 なお、国連番号はUN2031、クラス8、副次危険5.1、PGIに分類されている。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 無機化合物 |
16 | 金属腐食性物質 | 区分1 |
警告 |
H290 | P234 P390 P406 |
試験データはないが、金属を腐食する (ICSC (2006)) ことから、腐食性の基準を満たすと判断した。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分1 |
危険 |
H330 | P304+P340 P403+P233 P260 P271 P284 P310 P320 P405 P501 |
ラットのLC50値 (4時間) として、49 ppm (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1982)) 及びLC50値 (30分) として、334 ppm (4時間換算値:118 ppm) との報告 (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on September 2014)) がある。分類ガイダンスに従い、4時間値に基づき、区分1とした。新たな情報源 (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on September 2014)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1982)) を追加し、区分を見直した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、発煙硝酸のデータはあるが、主成分が硝酸ではなく、二酸化窒素又は四酸化二窒素であるために、分類には採用せず、分類できないとした。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 |
危険 |
H314 | P301+P330+P331 P303+P361+P353 P305+P351+P338 P304+P340 P260 P264 P280 P310 P321 P363 P405 P501 |
本物質の液体や蒸気はヒトの皮膚に対して重度の損傷性を示す (ACGIH (7th, 2001)) との記載や、短時間のばく露であっても皮膚に対して損傷を与える (DFGOT vol. 3 (1992)) との記載がある。また、ウサギに本物質の8%溶液を適用した結果、壊死がみられたとの報告がある (DFGOT vol. 3 (1992)) 。以上の結果から区分1とした。細区分するための具体的なデータがないため、区分を変更した。なお、本物質はEU DSD分類において「C; R35」、EU CLP分類において「Skin Corr. 1A H314」に分類されている。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 | P305+P351+P338 P280 P310 |
本物質は角膜に傷害を与え、回復性のない視力障害を生じさせる (DFGOT vol. 3 (1992)) との記載や、ヒトの眼に対して重度の化学火傷を起こし、眼球の縮小、眼瞼癒着、回復性のない角膜混濁から失明に至る (ACGIH (7th, 2001)) との記載がある。また、本物質は皮膚腐食性/刺激性で区分1に分類されている。以上の結果から区分1とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。In vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (SIDS (2010)、DFGOT vol. 3 (1992)、HSDB (Access on September 2014))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 なお、ラットの経口経路 (飲水) での催奇形性試験において、胎児にわずかな骨化障害 (舌骨、頭頂骨/後頭骨、波状肋骨) がみられたのみで、催奇性、胎児毒性は起こさないとの報告がある (IUCLID (2000))。しかし、試験条件、試験結果に関する記載が不十分であることから分類に用いなかった。また、生殖能に関する十分な情報がないことから分類できないとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (呼吸器) |
危険 |
H370 | P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
本物質は、気道刺激性がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1982)、SIDS (2010)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992))。ヒトにおいては、吸入ばく露で咳、頭痛、吐き気、胸痛、呼吸困難、気管支収縮、呼吸器障害、肺水腫、経口ばく露で口腔、食道、胃の腐食壊死、肺炎が報告されている (SIDS (2010)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992))。実験動物では、ラットの8 ppm (0.02 mg/L) の吸入ばく露で、気道の広範な炎症、鼻炎、気管支炎、肺炎 (SIDS (2010))、49 ppm (0.12 mg/L) で肺浮腫の報告 (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1982)) がある。これらの症状は区分1に相当する範囲の用量で認められた。 以上より、本物質は呼吸器に影響を与えることから、区分1 (呼吸器) とした。本物質は腐食性物質のため局所影響を与えると考えられ、ヒトにおける口腔、食道、胃を標的臓器に含めなかった。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器、歯) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
硝酸に職業的に吸入ばく露された32名のうち3名に歯の歯牙侵食 (対照群は293例中発症なし) がみられた (SIDS (2010)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992)) との記述、並びに硝酸の蒸気及びミストへの反復ばく露により、慢性気管支炎を、さらに重度のばく露症例では化学性肺炎を生じるとともに、歯牙、特に犬歯及び切歯を侵食する (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992)) との記述がある。 実験動物では本物質反復ばく露による試験結果はない。以上、ヒトにおける職業ばく露例の知見に基づき、区分1 (呼吸器、歯) に分類した。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 本物質を大量経口摂取後に遅延死亡した症例で、剖検により吸引による化学性肺炎を生じた (ACGIH (7th, 2001)) との記述があるが、1例のみの知見であり、大量摂取に伴う二次的な「吸引」による影響 (ACGIH (7th, 2001)) との記述から考えて、区分1相当基準の「ヒトに関する信頼度が高く、かつ質の良い有効な証拠」に該当するとは言い難い。よって、データ不足のため分類できないとした。なお、旧分類はこのACGIH の所見を根拠に区分1と分類したが、今回の見直しでは判断を変更した。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 |
- |
H402 | P273 P501 |
魚類(カダヤシ)の96時間LC50 = 72 mg/L (SIDS, 2010) であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 |
- |
- | - | 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。硝酸は天然物として広く存在し、塩の毒性試験の結果からは急性毒性はpH低下が悪影響の要因であることが知られている。硝酸イオン濃度が高い場合には有害な作用があることが知られているが、慢性区分の1mg/Lの濃度では概ね毒性は発現しないと考えられることから区分外とする。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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