GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 7664-38-2
名称 りん酸 (再分類)
物質ID H26-B-107, R-050
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2000))
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性及び自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2000))
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- - 不燃性 (ICSC (2000))
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- - 水に非常によく溶ける (ICSC (2000)) という観察結果が得られており、水と激しく反応することはないとみられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - ハロゲンを含まず、酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 無機化合物
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P362+P364
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値 (OECD TG 423) として、約2,000 mg/kgとの報告 (SIDS (2011)) に基づき区分4とした。なお、ラットのLD50値として、3,500 mg/kg (85%) (純品換算値:2,975 mg/kg)、4,200 mg/kg (80%) (純品換算値:3,360 mg/kg)、4,400 mg/kg (75%) (純品換算値:3,300 mg/kg) との報告 (SIDS (2011)) (いずれも区分外に相当) があるが、OECD TG 423のデータを優先して、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分4


警告
H312 P302+P352
P280
P302
P312
P321
P352
P362
P364
P501
ウサギのLD50値として、1,260 mg/kg (85%)(純品換算値:1,071 mg/kg)、3,160 mg/kg (80%)(純品換算値:2,528 mg/kg)、3,160 mg/kg (75%) (純品換算値:2,370 mg/kg) との報告 (SIDS (2011)) に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分3


危険
H331 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P311
P321
P405
P501
ラットのLC50値 (1時間) として、3,846 mg/m3 (4時間換算値:0.9615 mg/L) との報告 (SIDS (2011)) に基づき、区分3とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (0.158.2 mg/L) より高いため、粉じんの基準値を適用した。優先度の高い新たな情報源 (SIDS (2011)) を追加し、区分を見直した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
ウサギに本物質の85%溶液を適用した結果、4時間以内に腐食性がみられたとの報告がある (SIDS (2011))。一方で、75%溶液を4時間半閉塞適用した結果、腐食性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2011))。また、詳細は不明であるが、75%溶液は皮膚に激しい薬傷を引き起こすとの記載がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1990))。本物質は強酸性を示し、EPA Pesticideにより刺激性Ⅰ、EU DSD分類で「C; R34」、EU CLP分類で「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。以上の結果から区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
ウサギの眼に本物質 (75-85%) を適用した結果、腐食性がみられたとの結果がある (SIDS (2011))。また、本物質は皮膚腐食性/刺激性で区分1に分類されている。以上の結果より、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。In vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性である(SIDS (2011))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ラットを用いた経口経路 (強制) での反復投与毒性・生殖毒性併合試験 (OECD TG 422) において、親動物毒性 (雌で2/13例死亡) がみられる用量においても生殖毒性、発生毒性はみられていないとの報告がある (SIDS (2011))。しかし、スクリーニング試験であること、催奇形性に関する情報が不足していることから分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質はヒト及び実験動物に気道刺激性がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1990)、SIDS (2011)、ACGIH (7th, 2001)、EPA Pesticide (1993))。ヒトの事例は複数あるが、吸入では重度のばく露で嗄声、呼吸困難、喘鳴(喉頭浮腫による)、最も深刻なケースでは非心原性肺水腫を引き起こす場合がある。経口摂取で悪心、嘔吐、腹痛、出血性下痢、食道、胃の刺激あるいは火傷が報告されている (HSDB (Access on September 2014)、UKPID MONOGRAPH (1998))。
以上より、区分1(呼吸器) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - ヒトでの有害性知見はない。実験動物ではラットに本物質を強制経口投与 (雄:42日間、雌:40-52日間) した反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験において、250 mg/kg/day (90日換算: 約117 mg/kg/day (区分外)) まで無毒性であり、500 mg/kg/day で死亡例がみられたものの、標的臓器は不明であった (SIDS (2011))。よって、経口経路では区分外相当であるが、他の経路での毒性情報がなく、データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
魚類(メダカ)の96時間LC50 = 75.1 mg/L (pH調整なし) (SIDS, 2011) から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。無機化合物であり、環境中の動態に関する適切なデータは得られていないが、pH調整された場合の甲殻類(オオミジンコ)の急性遊泳阻害試験においては、48時間EC50 > 376 mg/L (SIDS 2011) であること、また、りん酸は環境中に普遍的に存在し、生物の必須栄養素であることから慢性分類を区分外とすることは妥当であるとの専門家判断より区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
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