項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 1313-13-9 |
名称 | 二酸化マンガン (Ⅳ) (再分類) |
物質ID | H26-B-098, R-044 |
分類実施年度 | 平成26年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2003)) |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性及び自己反応性に関する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2003)) |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 |
- |
- | - | 不燃性 (ICSC (2003)) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 |
- |
- | - | 水に不溶 (ICSC (2003)) という観察結果が得られており、水と激しく反応することはないとみられる。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない |
- |
- | - | ハロゲンを含まず、酸素を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 無機化合物 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLD50値として、> 2,197 mg/kg との報告 (SIDS (2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)) に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg との報告 (SIDS (2012)) に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。ラットのLC50値として、> 1.5 mg/L との報告 (SIDS (2012)) があるが、このデータのみでは区分を特定できない。なお、本物質は固体であり、昇華性を有するものでないので、mg/L を単位とする基準値を適用した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、ヒトに対してわずかな刺激性を示したとの記載や (SIDS (2012)) 、刺激性はない(種は不明) (SIDS (2012)) との記載があるが、詳細について不明であり、SIDS (2012) においても信頼性の低いデータとして評価に用いられていないため、分類に用いるには不十分なデータと判断した。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、ヒトの眼に対してわずかな刺激性を示したとの記載や (SIDS (2012)) 、刺激性はない (種不明) (SIDS (2012)) 、刺激性あり (種不明) (SIDS (2012)) との記載があるが、詳細について不明であり、SIDS (2012) においても信頼性の低いデータとして評価に用いていないため、分類に用いるには不十分なデータと判断した。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、ヒト190人に本物質10%を適用した結果、2人に感作性がみられたとの報告や (SIDS (2012))、作業者48人のうち2人に本物質による感作性がみられた (CICAD 12 (1999)) との報告があるが、SIDS (2012) やCICAD 12 (1999) では結論付けられていない。したがって、本分類においても不十分なデータと判断した。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 |
警告 |
H341 | P308+P313 P201 P202 P280 P405 P501 |
In vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陽性である (SIDS (2012))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性である (SIDS (2012))。以上より、本物質は染色体異常誘発性があると考えられ、区分2とした。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | 本物質の国際評価機関の分類はない。データ不足のため分類できない。なお、EPAはマンガンをDに分類している (IRIS (1995))。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 雌マウスを用いた吸入経路での生殖毒性試験において母動物の神経系への影響、児動物の自発運動減少の報告 (SIDS (2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)) があるが、1用量のみの試験であり、また、通常の生殖発生毒性試験ではないため分類に用いなかった。 また、疫学報告として、Lauwerysら (1985) の二酸化マンガンだけでなく他のマンガン酸化物あるいは塩類にもばく露された85人の労働者で出生児数の減少が観察されたとの報告がある (SIDS (2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、IRIS (1995))。ACGIH (7th, 2001) は、Lauwerysらの疫学報告から、1 mg/m3のマンガンの濃度が男性生殖能を妨げるかもしれないことが示されたとしている。しかし、より新しいGennart ら (1992) の報告では労働者70人の授精能には差がみられなかったとしている (SIDS (2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、IRIS (1995))。SIDS (2012) では、男性の授精能に対するあいまいなデータ、女性に関する生殖データの欠如のためヒトにおいては、生殖毒性を明確に結論付けることができないとしている。 なお、産業衛生学会では許容濃度の勧告 (2014) において、マンガン及びマンガン化合物を生殖毒性第2群 (暫定) (1B相当) としているが、本物質は水に対して不溶性であるので該当しない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (呼吸器) |
危険 |
H370 | P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
本物質の単回ばく露による情報は少ない。ヒトにおいては、二酸化マンガン粉じんの単回吸入ばく露は、肺の炎症反応をもたらす。その症状は、咳、気管支炎、肺炎、肺機能の低下である。また、マンガンのヒューム吸入ばく露でヒューム熱の発症が認められている(CICAD 63 (2004)、NITE有害評価書 (2008))。 実験動物では、げっ歯類 (動物種不明) の2.8-43 mg/m3 (0.0028-0.043 mg/L) の吸入ばく露で肺の炎症、ラットの吸入ばく露(気管内注入、用量不明) で肺の組織学的変化が認められている (CICAD 12 (1999)、ACGIH (7th, 2001)、EHC 17 (1981)) が、これらの実験動物のデータは分類に用いなかった。 以上より、本物質は呼吸器に影響を与えると考えられ、区分1 (呼吸器) とした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (神経系、呼吸器) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
ヒトでは本物質粒子への慢性吸入ばく露により、呼吸器障害 (咳、気管支炎、肺炎)、マンガン粒子を貪食したマクロファージを特徴とする肺炎の発生率の増加がみられ、一部の例には肺水腫も併発していた (SIDS (2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ATSDR (2012)) との記述、並びにアルカリ乾電池工場で本物質への職業ばく露 (吸入性粉じん濃度: 0.021-1.32 mg Mn/m3;ばく露期間: 0.2-17.7年間) により、視覚の単純反応時間及び眼と手の協調運動の低下に加え、手の硬直がみられた (SIDS (2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ATSDR (2012)) との記述がある。ATSDR (2012) は疫学研究報告を詳細に調査し、前述のアルカリ乾電池工場での職業ばく露報告のように、低濃度のマンガン化合物の長期ばく露による神経学的な影響は神経運動能検査、認知機能検査における機能低下や、気分の変化など微妙な変化であるが、本物質を主体としたマンガン化合物への高濃度の反復吸入ばく露により、初期には軽度であるが、次第に感情鈍磨、歩行障害、微細な振るえ、精神障害など明確な神経系障害へと進展していくことは確かであると結論している (ATSDR (2012))。 実験動物ではアカゲザルに本物質粉じんを10ヶ月間吸入ばく露 (22時間/日) した試験で、区分1の濃度範囲 (0.7 mg Mn/m3 (1.108 mg MnO2/m3) : ガイダンス値換算値 (0.0041 mg/L/6時間)) で、カタル性肺炎、肺間質組織の増生がみられ (SIDS (2012)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ATSDR (2012))、ラットでも10日間の吸入ばく露により間質性肺炎を生じた (NITE初期リスク評価書 (2008)) との記述がある。 以上より、分類は区分1 (神経系、呼吸器) とした。なお、旧分類ではATSDR (2000) より、ばく露されたヒトで心拡張期血圧低下の発生率の増加がみられたとの記述より、「心血管系」を標的臓器に加えたが、該当データによれば、本物質へのばく露期間が短い若年作業者の群で発生率が最大で、ばく露期間が長い中高年作業者では発生率が低いこと、心電図上の異常例の発生率は年齢構成をマッチさせた対照群と差がないこと (ATSDR (2012)) が記述されており、当該報告 (1995年) 以降に同様の心血管系障害の報告がないため、今回の分類では「心血管系」を削除した。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 |
- |
- | - | 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間 ErC50 > 100 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)の48時間 EC50 > 100 mg/L、魚類(メダカ)の96時間 LC50 > 100 mg/L (いずれもSIDS, 2012) から区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分4 |
- |
H413 | P273 P501 |
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急性毒性は水溶解度まで影響はみられていないが、難水溶性であり(水に不溶、SIDS, 2012)、金属化合物で環境中の挙動に関する情報が不足していることから区分4とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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